生駒 忍

記事一覧

複数回答可での足し算と番号札システムの害

きょう、マイナビニュースに、患者の3割は、アレが長いことを理由に医療機関を変えたがっていると判明という記事が出ました。

タイトルは、34%という数値をぎりぎりで四捨五入しているようなのも気になりますが、「全国の20歳以上の成人男女を対象に実施した「医療機関受診に関する意識調査」」について、実は患者のデータであったように思われる書き方をしています。先日からKindleで読めるようになった、「生活習慣病」がわかる本 健康のため、その〝習慣〟を改めなさい(日野原重明著、ゴマブックス)の、「元気で活躍している人でも、体のどこにも何の病気もないという人など、例外的にしかいないのでは」、「どんなに健康に注意している人でも、完全な健康者などいないと考えたほうがいいと思う」という考え方をとがらせたような立場なのでしょうか。

ひとつ目のグラフで、赤色で強調してあるのは、2位と10位で、なぜこの2点をこうも強調したのかは、本文からは読みとれません。また、そのまま足した40%を示すのも、複数回答可の調査ですので、奇妙です。両方ともあるという人が、ほぼゼロだったのでしょうか。

本文は、「かかっていた医療機関を変えたいと思ったきっかけについて尋ねたところ、最も多い回答は「待ち時間が長い」(34%)だった。」と、強調の対象にされなかった1位から示していきます。QLife病院検索の記事では病院の、薬剤師への注文の記事では薬局の待ち時間の問題を取りあげましたが、1位というのは、後者と同様です。マシュマロ・テスト 成功する子・しない子(W. ミシェル著、早川書房)ではありませんが、待つだけなら誰にでもできそうでいて、誰にとっても苦しく、何とかして回避したくなるものです。全球にきょう出た記事、「去你的中國人」 西班牙小王子插隊飆粗口は、国際関係にひびきひびが入らないことを願いたいところですし、日本では、J-CASTに1週間前に出た記事、母娘が列に割り込み、制止した男性を痴漢呼ばわり? 京王線・新宿駅ホーム上のトラブルが騒動にが話題になりました。今日の病院は、番号札システムを導入して、順番のトラブルを防ぐ効果も得ていると思いますが、「しつけ」はどこに消えた?(中原英臣著、主婦の友社)によれば、あのシステムは実は不公平である上に、ゆずり合いの精神をなくさせている可能性もあるそうです。

信じてはいけない広告コピーとあやしいバイト

きょう、マイナビウーマンに、女性に聞いた! 貯金するために信じてはいけない「広告の文言」3選という記事が出ました。

「人々の興味をそそるキャッチコピー、しかし、中には「これって絶対ウソでしょ!」と疑ってかかりたくなるものもあります。」、「そんな「このキャッチコピーは信じちゃダメ!」と思うもの」のアンケート結果の紹介です。あたりまえかもしれませんが、あたりまえな結果でした。業界内の人にだけ見わけがつくポイントや、いかにもな背景説明つきの都市伝説風のものもあるかと期待したのですが、わざわざうたがうまでもないものばかりでした。また、品質や企業イメージに関するうさんくさいコピーではなく、お金に直結するものばかりでした。そういえば、「リズムネタ」のつまらなさの分析の記事で触れた「あたりまえ体操」では、「お金が欲しい」と歌われました。

「1カ月で100万円!など怪しいバイトの広告。」、あやしい以前のようにも思います。数字にリアリティがあれば、あやしさがもう少し出るかもしれません。どう使うねん(鰻和弘作、竹書房)の、「時給1800円」のような感覚です。

「割引にだまされない!」、ここはSuica騒動と限定品商法の記事で取りあげた話題とも関連します。「安いからといって安易に飛びつくのは危険」、ちょうど「安」も「易」も「やす(い)」と読むことが、暗意のようでもあります。

「ビール強要」をきらう若者と水だけの客

きょう、しらべぇに、「若者のビール離れ」の原因?「飲み会でのビール強要」がイヤな人は驚きの割合!という記事が出ました。

「空気を読んでビールに」にまで、「ビール強要」という強い表現をあてています。自分の思うところを少しでもさまたげられたら、強要されたととるのでしょうか。そうだとすると、もう一杯、もう一軒と行きたい人が、その希望を引っこめるような空気にするのも、強要にあたりそうです。自分がそういう「強要」に寄与することにも、「ビール強要」に敏感な人は、注意していますでしょうか。

「若い年代ほど「1杯目ビール強要空気」を嫌がっている」とするグラフの、世代差があざやかです。向きは逆ですが、BLOGOSにきのう出て、多くのアクセスを集めている記事、朝生見て左系の皆さんにいろいろ聞いてみたいことにあるグラフにも似ています。

「若者のビール離れ」と「無関係ではなさそう」という解釈は、うなずけるところです。関連して、若者は本当にお金がないのか? 統計データが語る意外な真実(久我尚子著、光文社)には、「若者だけではない「アルコール離れ」」の話題があり、図表30が、日本国内のビール消費量が1994年にピークに達してから、その後の20年、すさまじいいきおいで落ちていく展開を示しています。並行して、何倍にも増えていったのは、リキュールでした。いまの若者は苦いものが苦手という話題とも、よく対応して見えます。では、ほかの国ではどうでしょうか。そういえば、るるぶドイツ・ロマンチック街道(JTBパブリッシング)には、「ドイツのビールの特徴は苦味が少ないこと。現地の若者はレモネードやコーラで割って飲むんだって!」とあります。

「ビールは強要される、楽しくないお酒になってしまったのでしょうか…。」、ここから、宣伝に入ります。きょうからのプロジェクトのアピールのほか、「5月19日からは、過去の同プロジェクトから誕生した「百人のキセキ 魅惑の黄金エール」が、全国の主要なコンビニエンスストアにて数量限定で発売となっています。」ともあります。その写真が、とてもしろうと風なのも、一般参加型であることのアピール目的かもしれません。

「とりあえずビール」の文化には、ビール以外を飲みたいという人とはまったく逆の立場からも批判があることも、紹介しておきましょう。知識ゼロからのビール入門(藤原ヒロユキ著、幻冬舎)は、「なじみ深いが、意識は薄い。」「こんな素敵なお酒を「とりあえず」で飲むなんて……。」となげきます。

あるいは、そもそも飲まない、飲むのは水という人もいます。おかんメール2(扶桑社)の「厳しい母②」はともかくとしても、水で足りるのは、お金がかからず、しあわせかもしれません。けさの朝日新聞朝刊では、山本卓という人が、「居酒屋で水だけはだめなの?」として、ソフトドリンクまでいやがり、店員を感情的にさせたことまで書いています。浦安鉄拳家族事件の、「一円でもお店に利益をもたらした時点で私たちはお客様です。」のような感覚もあったのかはわかりませんが、そこまでの店員の反応からすると、その「一円でも」にさえならない、お店を赤字にさせ続ける行動だったのかもしれません。それでも、BLOGOSにきょう出た記事、日本経済に広がりつつある「老人共産圏」にある、「つまり、彼らは常に過大な要求をする割には、その要求に見合うマネーを払わない。」「膨大にして貧困、徹底して吝嗇な客」とは、まったく別の世代です。そして、ガジェット通信に先日出た記事、個人店に大切にされる1人飲み食いの仕方について(ベンチャー役員三界に家なし)の美意識とは、まるで対極です。「強要」は、とにかくいやだったのでしょう。ふと、「搾取される感じがするものはとにかくもう嫌なんですよ」を思い出しました。

アダルトビデオ撮影現場の閉鎖と夫婦の意味

きょう、産経ニュースに、アダルトビデオ撮影、盗撮…風紀乱す行為絶えず 塩原温泉「不動の湯」1日閉鎖 自治会が苦渋の決断という記事が出ました。

混浴の危機の記事で取りあげたような問題は、各地で起きていますが、またひとつ、閉鎖となります。「管理・運営する福渡自治会などによると、約1年前から男女十数人のグループが週末に集まり、風紀を乱す行為をしているところなどを観光客らが目撃。行政や観光協会などに苦情が相次いでいた。」、これが主因のようです。県レベルで紹介されている観光資源で、観光客はありがたい存在である一方で、「定期的に不適切な行為をしていたのは1グループだが、ほかにも盗撮やアダルトビデオの撮影に関する苦情もあった。」とあるように、害悪をもたらす人々もよび込んでしまったのでした。ふと、<面白さ>の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか(都留泰作著、角川書店)に、「「聖なるもの」も「穢れたもの」も、対極にありながら、共に共同体の外部にあるという点は同じなのである。」とあるのを思い出しました。

「つくば市から夫婦で来た自営業の男性(45)」の、「怒り気味」の声があります。匿名でありながら、属性が意外にくわしく書かれていますが、こういう話題ですので、「夫婦で」とつけておくことには、意味があるでしょう。

自分への挑戦と悪気なくうそをつく女性の増加

きょう、ライフハッカー日本版に、学習速度を速めるために知っておきたい3つのことという記事が出ました。

「若いときに学ぶのは簡単です。」、頭から真理です。純粋な記憶力だけでなく、「自分自身に挑戦してはワクワク」、「若い人の方が時間がある」、内外の要因がかかわります。さらに、失敗がゆるされやすいこともあるでしょう。「29歳の決断」の記事で取りあげた郷ひろみやレデスマのことば、宮崎あおいの朝ドラ再登場の記事で取りあげたマギーのことば、その他どこでもいわれることです。

「人の心身は働くのが好きではありません。」、新版 企業の人間的側面(D. マグレガー著、産能大学出版部)のX理論の世界ですが、だとすると、「複数の作業を、あっちをやったりこっちをやったりしていると、脳がものすごく働くことになってしまいます。」、これは苦しいことでしょう。福島県の甲状腺がん統計と地震予知の記事で取りあげた、マルチタスクの害を思い出します。

「だから、新しいスキルを学んでいるときは、最初は大変ですが、それでやる気を無くさないでください。大変なのは想定内です。」、そのとおりと思う人も、そうはいってもと思う人もいると思います。リラックマのことばのうち、ネットメディアの発達阻害の記事で取りあげたものと、レストランが使うトリックの記事で取りあげたものと、どちらがよりあてはまりそうでしょうか。

「明日まで先延ばしするのが1つの選択肢になり始め、集中するのは不可能な気がします。」、よくあることです。先のばし対策法の記事でも取りあげた話題です。ぐでたま哲学2(大和書房)でしたら、たったひと言、「後でしょ!」です。

「集中するために自分をだまさなければ」、「学んだことが楽しくなるまで自分をごまかしましょう。」とあります。だます、ごまかすというと聞こえが悪いですが、自分がしあわせになるために、自分の中で完結するのでしたら、それでよいでしょう。

それで思い出したのが、Googirlにきょう出た記事、現代女性に蔓延中? 悪気はないのにやってしまう、“ウソつきさん”の心理とはです。「今、悪気はないのについつい嘘をついてしまう……という女性が増えているのだそうです。」とあることにおどろき、そのエビデンスに興味があるので、知っている人がいましたら教えてほしいのですが、こちらはほかの人に向けてだます、ごまかすことの話題です。「自分が人より劣っていることに耐えきれず、真実を受け入れることができません。」、これにまわりを巻きこむのは、とても迷惑です。FRIDAY 5月8日号(講談社)で石川弘子が、「実務能力はゼロなのに、自意識が高くそれを認めない。」若者の問題を指摘したことともつながりそうです。