生駒 忍

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やらせ疑惑の食文化の調査と電話番号での露見

きょう、しらべぇに、県民が『秘密のケンミンSHOW』はヤラセと激怒!調査した結果という記事が出ました。

「全国47都道府県民の面白い特徴をとりあげることで大人気の番組だが、インターネット上では「ヤラセでは?」という声も多い。」とあります。テレビドラマの二極化の記事で触れた「愚民化装置」論を持ちだすと大げさですが、テレビはそういうものだと、わりきってたのしむくらいが、よいかかわり方でしょう。だからといって、ネットで流されるものも、すばらしいというわけではありません。ウェブニュース一億総バカ時代(三田ゾーマ著、双葉社)にある発信側の金言、「そもそもなぜ記事を読めているのかをユーザーは考えた方がいいよね。」が、とてももっともです。すばらしいものもありますが、ストレスと「負けるが勝ち」の記事で触れた問題、最近では週刊新潮 4月7日号(新潮社)で藤原正彦が、「無限にある石ころから玉を選び出す」と表現したような限界があります。こちらも同じ大学の名誉教授ですが、PHP 2015年2月号(PHP研究所)で土屋賢二が示した、他人もネットの情報もあてにならないので犬を、とまでわりきる感覚も、楽かもしれません。クッキングパパ連載30年の記事でも取りあげた号です。

このタイトルで、何をどのように調査したのかと思ったら、熊本県に関するもの2件について、飲食店3軒でのコメントをならべるものでした。しかも、2件は手と足という組みあわせのつもりなのかわかりませんが、ヒトデの話題のほうは、同じくしらべぇにおととい出た記事、熊本県民はヒトデを食べる!?真相を探りに天草へ行った結果の取材の使いまわしのようで、足を使わず手ぬきに見えます。それでも、同じ画像に見えるものは、2枚とも画質を下げてあったり、秀寿しを「秀寿司」と書きかえてみたりと、手を入れてはあります。

「もうひとつあった熊本ネタ「熊本県民は揚げ豚足が大好き」についても検証」、こちらは倍の軒数のコメントを取ってあり、ヒトデよりは手がかかっていますが、そのうち片方は「菊池市でピザ店『イルフォルノドーロ』を営む原田さん」です。そのうち、原田将和やその店をメインにした記事が出てきて、そういうことかとわかるのかもしれません。ふと、YouTubeに3年2か月前に出た動画、Vanishing Leprechaunを思い出しました。もちろん、どこに気を向けて見るべきかは、きょう出た動画、【全国の女子たちに聞いてみた】女子が意外と気にしない「男のコンプレックス」って何?の後のほうで言われたことなのですが、どこがどのようにと具体的な説明まではできない人は、自分でつくって検証してみましょう。

さて、「揚げ豚足の名店『とん八』」、こちらの取材は、安直ですがうなずけます。「食べないですよ。」「とあっさり言われて」、揚げた足についても、あっさりお手あげなのでした。

「結果としてはヒトデも豚足もかなり大げさに盛っている部分があると感じたが、どちらも名物として通用するぐらい美味しかったのは事実。」とあります。この中身でこのタイトル、「激怒」と入れたこともふくめて、「かなり大げさに盛っている」のはおたがいさまですし、これで通用するのは、ライターにとっておいしいのも事実でしょう。

「該当する県民からすると誇張されて違和感を感じるだろうが、県外の人が観光へ行くきっかけになるという点では、地域の活性化などにも役立っているのかもしれない。」と締めます。松山が坊っちゃん(夏目漱石作、岩波書店)を、仁和寺が徒然草を使う開きなおりを見れば、ただの違和感と引きかえにインバウンドをかせげるのは、ありがたい面もあるかもしれません。ここで気になったのは、県内の人の視点にたつお話であっても、「観光へ行く」であって、観光に来るとは書かなかったことです。どちらでも通じますが、行くか来るかで、印象が異なります。

それで思い出したのが、チューリップテレビのウェブサイトにきょう出た記事、県西部の少女を誘拐 LINEで誘い出し山形へです。被害者の手をつかんで車に乗せていったという埼玉失踪少女保護事件が、ひとりで手をつかんだまま乗せて発進する動作が裁判でどう検証されるかはともかくとしても、それとは異なり、こちらは家出の延長線上にあるパターンですが、出る方向のはずが、「親子2人で富山県にきて電車などを使い山形県の自宅に連れ去った疑い」と、親子がはるばるむかえに来る、異例の家出です。「渡辺容疑者はスマートフォンの無料通信アプリ『LINE』のやりとりで少女の悩みを聞きだしたうえで「こっちに来るか」「俺に甘えろ。全て解放してやるなどとそそのかし、誘い出していたことが捜査関係者への取材でわかりました。」とあり、ヘンな求人広告(イースト・プレス)にある「『胸少し大きいけどいろいろ大変でしょ」」のような、別の種類で対応させるものはまれでも、かぎかっこが閉じられていないことだけでしたらよくあることなのはともかくとしても、なやみから「全て解放してやる」と言われて、親子に期待したようです。ただし、朝日新聞DIGITALにきょう出た記事、13歳少女は無事保護 25歳男と母、誘拐容疑を認めるには、「全て開放してやる」とありますが、どちらもうたがわしい報道機関ではないと考えると、LINEにはどちらの表現も見つかったのだと思います。「少女は外出してから一度、母親と連絡をとっています」「体をしばられるなどの身体的な拘束はなく、ケガはありません」とあり、開放的でもあったのでしょうか。「あいの風とやま鉄道などで山形県にまで連れ去った」のも、いのしししか乗っていないなどということは絶対になく、物理的に拘束しての移動はできなかったはずですが、「山形県にまで」と、遠さが強調される表現が気になりました。それでも、いまは新幹線で乗りついで行けるようになりましたが、富山には、ほんものの新幹線では山形に行けない、格が違うと強調したい人はいますでしょうか。これだけ遠くなら見つかるまいと、親子は思っていたことと思いますが、「少女の自宅の部屋から大量の電話番号を書いたメモが見つかり、番号を調べていったところ渡辺容疑者らが浮上」、まるで陽動作戦かと思うほど物証がストレートで、どまんなかということでも山形を連想させたのでした。