生駒 忍

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フィクションとしての埼玉と首位からの転落

きょう、CHARAPEDIAに、読者の3割が埼玉県人!?埼玉ディスマンガ『翔んで埼玉』が55万部突破!という記事が出ました。「2016年3月の重版をもって、復刊マンガとして異例の刷55万部を突破」、まずはおめでとうございます。

「1986年に刊行された書籍『やおい君の日常的でない生活』に収録されていた作品」とされています。書籍とは、めずらしいと思います。コミックのようなものは、KADOKAWAやエンターブレインなどは書籍で出しますが、一般には雑誌にされることが多いのです。一般の人には、発売日のあつかいくらいしか関係がないことですが、やおい君の日常的でない生活(魔夜峰央作、白泉社)を持っていましたら、裏のコードを確認してみてください。もちろん、ISBNがついていたから書籍だという早合点は、しないようにしましょう。

「当時、埼玉の所沢に住んでいた魔夜氏が描いた、“埼玉”を題材にした」という説明が、意識してこう書いたことを感じさせます。あくまでもフィクションで、実在の地名とはまったく無関係だと宣言しての作品ですので、舞台は埼玉ではなく、「“埼玉”」なのです。そして、実在の作者が住んだのが、ほんとうの埼玉です。「埼玉の所沢」という表現には、埼玉とはいっても所沢ですが、あるいは、埼玉の、それも所沢なのですといった意味あいを感じる人も、いるかもしれません。それとも、所沢だけでは埼玉かわからない人への、親切でしょうか。ちなみに、メインベルトの所沢は、当時もありましたが、発見はまだでした。

「埼玉をネタにした台詞」として登場するものは、せりふそのままのようにかぎかっこでくくられましたが、「埼玉狩りだー!」はふりがなを足せば同じになるものの、ほかの2本は、本文中とは少し表現が異なります。うるさく言われてさらに変えることにされた「小保山さん」のように意識してごまかしたとも、何か魔がさして変えたとも思えず、よくわかりません。そういえば、Menjoy!にきょう出た記事、極上ひとりエッチのしすぎ?イマドキ男子の「演技派ウソH」3つには、「もう人格変わっちゃってますよね(苦笑)、エッチを誤摩化すために」と、変換ミスとごまかすことのむずかしい表現がありました。

「多数のテレビ番組などでも取り上げられ話題となった」、どのくらいが多数なのか、「それなりの多数」なのかはともかくとしても、こんな過激なものをテレビに出すなんてと思った人も、いるかもしれません。ですが、「27時間テレビ」の惨状の記事で触れた、小野ほりでいのことばとはまた異なり、思いきり突きぬけて大げさにしたことで、笑いに純化できているように思います。週刊大衆 3月23日号(双葉社)でビートきよしは、山形でも山形いじりで笑いをとれたとしましたし、おぼっちゃまくん(小林よしのり作、小学館)を読んで資産家にはらわたが煮えくりかえった人は、まずいません。「メニューがわかれとる」のところも、埼玉県民用があまりに現実ばなれしているので、腹もたたないのです。食べものに関しては、納豆での茨城いじりは、それよりもずっとリアルなために、実話BUNKA超タブー Vol.6(コアマガジン)の「韓国ではキムチと犬を食べます。」くらいの不愉快さは生じるかもしれません。ですが、茨城新聞のウェブサイトの記事、納豆購入額、全国首位遠く 水戸5位に転落にあるように、リアルのほうが変わりつつあります。