生駒 忍

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LIXILの常滑本社とフロントスリムの発明

きょう、しらべぇに、これがわかればトイレ通!TOTO・LIXILについで衛生陶器シェア第三位はどこ?という記事が出ました。

「突然ですが、知っていればトイレ通の質問をします。」「ほとんどの方が思い浮かばないことでしょう。」とされた話題ですが、「衛生陶器シェアの第三位を知っている人がどのくらいいるか調べて」、約5%という結果が報告されます。「知っていればトイレ通」ですから、知らなくても「トイレ通」である可能性はあり、世の中には意外に多くの「トイレ通」がいることがうかがえます。

「ジャニス工業は、愛知県常滑市に本社がある歴史ある会社です。LIXILも常滑にあります。」とありますが、誤解をまねく書き方だと思います。株式会社LIXILグループも、株式会社LIXILも同じで、本社は霞ヶ関に、登記上の本店は江東区大島の、トステム本社だったところにおかれています。常滑にあるのは「常滑本社」で、INAXの本社だったところです。筆者は、「INAXは現在「LIXIL」という会社になりました。トステムやサンウェーブと経営統合し、ハウスメーカーとして一大勢力を誇っています。」という書き方をしていますが、統合について過不足があるだけでなく、吸収合併の関係についても誤解をまねきそうです。もちろん、やきものの町、常滑とのつながりは、そのINAXの伝統があります。それでも、やきもの検定公認テキストの記事で取りあげたように、日本やきもの検定の公式本は、あれだけ東海地方に重点をおく立場をとりながら、便器はきれいに流したのでした。

ジャニス工業のフロントスリムについて、「この形状は発明でした。他者では作れなかった技術でもあると思います。」とします。他社には無理だとみた根拠も、あると読みやすかったと思います。もちろん、発明であることは、そのとおりです。発明の名称は「水洗便器」である、特開2012-229569です。

「ということで知っていると明日話したくなるトイレの話でした。」とあります。なりますでしょうか。ふと、アラサーちゃん 無修正3(峰なゆか作、扶桑社)の、「水を入れない!」を思い出しました。

「離婚ほぼ確定カップル」と類似性の法則

きょう、WooRisに、すると思ってたよ!周囲は見抜いている「離婚ほぼ確定カップル」の特徴3つという記事が出ました。

「海外のライフスタイルサイト『millennial LIFESTYLE.』の記事を参考に」書かれたものです。millenial lifestylesに3か月半前に出た記事、9 Signs Your Marriage Was Doomed From The Startから、順に2、1、7番目のサインが取りあげられました。ほかにも、たとえば4番目は、Shiina_Fatというアカウントのきのうのツイート、店員に横柄な人って悪気もなく自然にこう考えてるから怖い。に近いなど、紹介してあればおもしろそうだったものがあります。

「専門家はすぐに見抜くという“離婚ほぼ確定”カップルのパターン」、何の専門家でしょうか。やはり、結婚生活を成功させる七つの原則(J.M. ゴットマン・N. シルバー著、第三文明社)のような世界だと考えたいところです。卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学(M. ハーンステイン著、文藝春秋)を思い出した人もいるかもしれませんが、予測力が異なります。

「自分と性格が逆だと、「あら、なんか新鮮かも!」と相手を好きになってしまうこともありますね。」「しかし、最初は2人の違いに惹かれ合っても、結婚して暮らしていくうちにそんな違いが口論の元になることも。」とあります。心理学の教科書や通俗書は、関係を深める上で、一般には類似性が先に効いて、相補性は後でとすることが多いようです。そういった中で、社会心理学がとってもよくわかる本(榊博文著、東京書店)には、「体重、体格、気質、性格など遺伝子レベルで決定する要素には相補性の原理が働き、後天的に形成される要素である趣味、思考、学歴、信条、ライフスタイルなどには類似性の法則が働きます。」とあります。すると、「“宗教やお金、子ども、生活スタイル”などコアな部分」には、類似性のほうが求められそうです。

「家族や友人が「そ、その人はやめて……」と止めるのも聞かず、「自分に一番よく合う相手は私だけが知っている」と無理矢理結婚する人もいます。」とあります。もちろん、「恋に夢中なあなたに見えない部分が、第3者にはしっかり見えている場合も多いもの。」なのです。海外旅行をすすめられていやがる心理の記事の最後の段落で取りあげた話題が、ここにもあてはまりそうです。

武士がきゅうりを食べなかった理由と恒例の顔

きょう、ガジェット通信に、「食べにくい」 顔に見えるきゅうりの断面の画像がTwitterで話題にという記事が出ました。おおたけえみこという人のツイートを紹介するものです。

鋭利な刃物で切られたというのに、「マンドラゴラを引っこ抜いたときのよう」にはならず、ほのぼのとさせられる表情で、そのためこの時点で、「「食べにくい」というのも納得」です。一方で、きゅうりの断面は、江戸時代には葵のご紋に似ているとして、武士にさけられたというお話が有名です。ですが、徳川家の家紋はなぜ三つ葉葵なのか 家康のあっぱれな植物知識(稲垣栄洋著、東洋経済新報社)は、「ただし、江戸時代以前から、武士はキュウリを食べなかったとする説もある。」として、異説も説明しています。

海の日を前に、きょうは近畿地方などの梅雨明けが発表され、ことしも夏本番となってきましたが、夏は野菜もよくそだち、出まわりやすくなりますので、断面が顔になるものも、数としては増えるのかもしれません。ガジェット通信の記事、野々村竜太郎兵庫県議とパプリカがそっくりだと話題に おなじみラテアートにも登場、gori.meの記事、ゴーヤを切ったら幸せそうな顔がこんにちは!ゴーヤを切ったら可愛かったと話題に!など、毎年恒例のようにもなりつつあります。

ママカーストと暴走するモンスターペアレント

きょう、wifeに、ママカーストに隠された心理とは!?という記事が出ました。

「インドの身分制度として有名なカースト。」と書き出され、「日本でもこの制度になぞらえて、学校でクラス内の格付けをスクールカースト、職歴の優位性を競いキャリアカースト、といったものが登場」と続きます。カースト制度に肯定的であるようにも感じられてしまうのが、少々気になります。同じくwifeに、ママ友の『断舎利』と健全なママ友関係の作り方についてという、仏教をちゃかすようなタイトルの記事を書いたライターとしては、ヒンドゥー的な伝統に関心があるのかもしれません。なお、不可触民とカースト制度の歴史(小谷汪之著、明石書店)のような、書名に採用しつつも、「カースト」という表現の問題を指摘する考え方もありますが、日本の概念をヴァルナ・ジャーティで読みかえるのもいろいろと不自然ですので、これはやむを得ないでしょう。

「中でも有名なのは、ママ同士の間で優劣をつけ合うママカーストです。」、有名であることはそのとおりですが、あの中では、スクールカーストのほうがより早くから知られ、今もより有名だと、私は思います。キャリアカーストよりは有名でしょう。こういう話題だけに、つい上下を考えてしまうことをねらって、こう書いたのかもしれません。

「ママカーストは夫の年収と子供の能力」という節の2事例は、mamatennaの記事、最恐! ママカーストってなんだ?にある、「Rさん・29歳」と「Aさん・34歳」との声を、それぞれリライトしたものと考えられます。そして、リライトの前後とも、少なくとも直接には、夫の年収や子供の能力がカーストを決めたとは言いにくいものです。

「自分自身の能力ではなく付属品での勝負を考えるのは、自分に自信を持てていない証拠」、人格を持った家族を付属「品」とは品がありませんが、よくあることです。格付けしあう女たち(白河桃子著、ポプラ社)は、「しかし女性は「人の人生に乗っかり、格上げする」「リボーン」という夢が残されています。」としつつ、「セレブ妻の取材をした時に感じたのですが、高収入の夫と結婚して、優雅な生活を送っている奥様達の中でも、よりセレブらしく自分を演出し、派手にふるまう人ほど、自信がない人が多かった。」と明かします。

子どもでも同様で、わかりにくい表現ですが、「子供に評価を下し、比較して優位に立つことが、自分の評価のように感じられてしまうのかもしれません。」とあります。音羽幼女殺害事件(佐木隆三著、青春出版社)は、まだ「ママカースト」ということばのない時代の、このあたりの感覚を伝えます。あるいは、いわゆるモンスターペアレントの暴走にも、勝負の品にぼろが出たことが自己評価に直結してしまう、「自己分化」ができていない問題がありそうです。Toggetterにきょう出た記事、【あまりにも酷すぎる話】栃木の小学校 ママ友2人がLINEいじめで連続自殺の壮絶の、コメントの2番目にあるような解釈です。でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相(福田ますみ著、新潮社)にある、ほかの児童への暴力を説諭されてもなおやめないという、最近では岩手中2自殺事件でいじめ加害者がしていたとされる姿勢の子が、家庭訪問を受けた後に「教師によるいじめ」にあっていると訴えだし、一部マスコミが学校たたきにつなげた事件が、歯が折れる、キリスト教批判、自殺強要、「いじめ」によるPTSD発症など、異様な主張はことごとく裁判で否定されて終わり、一部認められた体罰までも、実際は虚言だったという事件も、近いかもしれません。

「フジテレビだから見ない」人と女子中高生

きょう、日刊サイゾーに、北川景子ドラマ『探偵の探偵』1ケタ急落でフジ崖っぷち! 月9『恋仲』も絶望的か?「視聴者層が狭すぎて……」という記事が出ました。

「北川景子主演ドラマ『探偵の探偵』(フジテレビ系/木曜22時~)は、初回こそ平均視聴率11.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と2ケタを記録したものの、16日放送の第2話は7.5%まで急落。」したそうです。原作は、『探偵の探偵』書評の記事で取りあげたものですが、皆さんは、あの作品なのにきびしい結果だと見ますでしょうか、それとも、あの程度にしてはむしろ善戦だと見ますでしょうか。

「もはや『フジテレビだから見ない』と、頑なな視聴者が大勢いるとしか思えない惨状。」と、雑誌記者が斬っています。ですが、そこまで「頑なな視聴者」であれば、1話目も見ないでしょうから、視聴率が2話目で落ちることには影響しないように思います。

「これがコケでもしたら、今期のドラマは全滅です」とされた「王道ラブストーリーの『恋仲』は、放送前から「数字を取るのは難しいだろう」という声が相次いで」、苦しそうです。これ自体は原作ものではありませんが、「女子中高生を中心に『別冊マーガレット』(集英社)系少女漫画を原作とした恋愛映画の需要が高まって」、「その風潮をそのままテレビに持ち込んだ企画」という理解でよいと思います。そういう「視聴者の偏りが予想されるドラマ」なのにという疑問のようですが、「頑なな視聴者」がそう多いとは考えにくい層ですし、以前のテレビドラマの対象とは異なる層をねらうのは、興味深いやり方ではあります。「あまちゃん」の成功には、朝ドラを見てきた中核的な層ではないところの抱きこみのうまさがありましたし、日本のテレビドラマの転換点となった「男女7人夏物語」について、昭和40年男 2015年8月号(クレタパブリッシング)で沼田通嗣は、それまでのドラマとは異なるターゲットをしっかりねらったことを明かしています。