生駒 忍

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コミュニケーション特性の講演会と論文撤回

きょう、佐賀新聞LIVEに、佐賀大 幼児の自閉症など意思疎通学ぼうという記事が出ました。

わかりにくいタイトルですが、「対人関係を築いたり、相手の気持ちを読み取るのが難しい「自閉症スペクトラム障害」(ASD)のある幼児のコミュニケーション特性を学ぶ講演会が3月5日午後1時から、佐賀市の佐賀大学本庄キャンパスで開かれる。」ことの紹介です。DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル(医学書院)の概念にはしたがい、訳語はあえて「自閉症スペクトラム障害」のほうにしたのは、理由があってのことかどうか、もし参加したら、聞いてみてください。

「県内五つの大学・短大と放送大学でつくる大学コンソーシアム(連合)佐賀が主催する。」とあります。その大学コンソーシアム佐賀自身は、「佐賀県の6大学による大学連合」としていて、学校教育法108条を知らないと、佐賀新聞のほうが正しいと思う人も出そうですが、どちらも放送大学そのものが加盟しているような誤解のおそれがあり、自身の説明のほうが、その部分はましだと思います。なお、連合佐賀とは無関係です。

「先月24日に開催予定だったが大雪で中止となり、代替開催する。」、不自然な文ですが、地方紙ですので割りきって読むべきで、自然災害による開催延期だと考えましょう。コンソーシアム事務局が、予定日の2日前に出した文書、平成27年度フォーラムの開催についてで、下線を引いてまで言いきったことは、結果的にはうそになったのです。ですが、恥を覚悟でいったん出した結論を撤回した決断は、むやみに非難すべきではないでしょう。

それで思い出したのが、YOMIURI ONLINEにきょう出た記事、小保方氏らネイチャー論文、共著者申し出で撤回です。「透明な存在」の酒鬼薔薇の記事で触れたツイートからそろそろ2年、指摘された可能性の高さは、その間に着々と固まりました。

金品目的の悪質クレーマーとガラパゴス政党

きょう、新刊JPに、「ネットに書くぞ!」と恫喝 悪質クレーマーへの対処は?という記事が出ました。理不尽な要求を黙らせる 最強のクレーム対処術(紀藤正樹監修、神宮館)から、3パターンの傾向と対策を紹介するものです。

まずは、「「社長を出せ!」と言われたら……」です。「クレーマーは必ずしも本当に社長や上司を出してほしいとは思っていない」「相手に圧力をかけるための方便として「社長を出せ」と言うケースが多い」として、「「この件の担当者は自分であり、自分が対応する以外の選択肢はない」ことを冷静にクレーマーに伝える」「これを伝えるだけで、悪質クレーマーへのけん制になる。」そうです。ここで、Yahoo!ニュースにおととい出た記事、取材に対してウソをつく組織「Yahoo! JAPAN」が信頼と品質など担保できるわけがないを連想して、また笑ってしまいました。怒りを刺激したと思われる、朝日新聞DIGITALにおととい出た記事、新しい書き手を発掘していきたい ヤフー宮坂社長に聞くにある、「これはちゃんと記事に書いておいてほしいんですが(笑)、朝日新聞を受けて面接で落とされたんですよ。築地まで行ったのに(笑)。」とのコントラストも絶妙な騒動で、「悪質なクレーマー相手には「拒否」の姿勢で臨むのが鉄則だ。」の逆の順序だと思った人もいるでしょう。藤代は、「取材に対してウソをつくトップがいるような組織に、信頼と品質など担保できるわけがありません。」と締めましたが、取材できた大鹿靖明にうそをついているのではなく、取材できていない自分のことなのでしたら、そもそも「取材に対してウソをつく」ことにはあたりません。取材の申しこみを蹴られたのに、そういう本人の意向が聞けたことを「取材」だと考えるのでしたら、若山照彦だろうと取材拒否の激うまラーメン店(はんつ遠藤著、廣済堂出版)の店だろうと、誰もがかんたんに、しかも「単独取材」ができそうです。

さて、次は「「ネットに書き込むぞ!いいのか!?」への切り返し方は?」です。「こうした脅し文句には毅然とした態度で臨むと同時に、開き直って受け流す」のがよいようです。実際には、ネットで店への非難に熱くなる人は、「ホットペッパーを見た」はともかくとしても、むしろその場では強く出ずに、帰りついてから、子どもの深夜外出の記事で取りあげた、パオロ・マッツァリーノの指摘のようになるような気もします。また、「これは「訴えてやる!」「消費者相談センターに持ち込むからな!」という脅し文句に対しても同様だ。」そうです。佐村河内守の提訴準備の記事で取りあげたうごきは、やはり「圧力をかける」以上のものではなかったのか、うったえないまま表に出なくなりました。もしかすると、裁判はさけて世間にうったえようと、絶歌(元少年A著、太田出版)に似たシンプルな表紙で、たとえば「あのHIROSHIMA」とでも題した本を準備しているのかもしれません。

さて、最後は「「土下座しろ!」には絶対に屈しない」です。「クレーマーとしては店員を脅して金品を取れればしめたもの。警察沙汰や裁判沙汰など望んでいない。」、これはお店に対して、「何らかの金品を得ることが目的の悪質なクレーマー」という前提だからでしょう。内心では客観的に損得を分析している相手でしたら、この考え方はあてはまります。ところが、よく言えば自分の気持ちに正直で、主観を主観だととらえずに押しまくるクレーマーは、こうはいきません。モンスターマザー 世界は「わたし」でまわっている(石川結貴著、光文社)にも、土下座させて得意げな夫婦が登場しますし、モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い(福田ますみ著、新潮社)まで来ると、客観性をもつべき人までも主観のほら話を信じ、乗っていき、まるでホラーです。

結論は、「ビジネスに携わる者はクレーマーへの正しい対処術を学び、現場に即した臨機応変な対応を身につけておくべき」、正論です。それでも、「正しい対処術」として、この本の45パターンを頭に入れて使うのでは、むしろマニュアル的で、「現場に即した臨機応変な対応」というイメージとは異なるかもしれませんが、それでも有効でしょう。弁護士ドットコムの記事、「契約書にサインするまで帰さない」と監禁されることも――AV出演強要の実態(上)にある「めちゃくちゃな論理ですが、断る理由が一つひとつ、はがされていきます。」という展開なども、おそらくはマニュアルであっても、「臨機応変」な説得に見えそうです。そういえば、昭和40年男 2015年8月号(クレタパブリッシング)で沼田通嗣は、「男女7人夏物語」について、「一見アドリブのように見えますが、実はほとんどが台本どおり。」と明かしています。

台本で思い出したのが、Business Journalにきょう出た記事、テレビ業界の知られざるNG事項! その最大にして意外なタブーとは?です。もったいぶったタイトルから見当がつくように、紹介される3種はいずれも、芸能人はなぜ干されるのか?(星野陽平著、鹿砦社)で重大なタブーに触れた筆者が、「芸能プロダクションのタブーっていうのは、ヤクザと同和と在日と脱税なんだ。」とさえぎられるレベルにははるかにおよびませんので、安心してください。その2番目が「アイドルの恋愛話」で、「台本にも、恋愛を想像させるような文句は、載せておかないに限る。」「フレーズを台本に載せても、マネージャーからの厳しいチェックがある」そうです。Narinari.comにきょう出た記事、アイドル時代の時東ぁみに彼氏、デビュー前から20歳過ぎまで交際と告白。によれば、「「『彼氏がいます』という話をしないと事務所も守れないので言って下さい」と言われ、時東はきちんと申告していた」と、内情まで明かされましたが、ベッキーのいるサンミュージックの「マネージャーからの厳しいチェック」は通った台本でしょうし、しかも「アイドル時代の」とあるように、もうアイドルではないので、よいのでしょう。なお、もっとも分量が多い話題は、3番目の「カツラ」です。「歌も歌えば、芝居もするしバラエティもこなすマルチな」Nさんのエピソードと、「カツラを途中で変えたら、余計怪しまれる」「だから、“ズレ”てはいたけど、“ブレ”ていないんだよ」というジョークを書きたくて書かれた記事なのでしょうか。

それで思い出したのが、公明党のウェブサイトにきょう出た記事、消費税めぐりブレる共産党です。週刊朝日 2月19日号(朝日新聞出版)で、ずれたガラパゴス政党としてくくられた両党の不仲は、ずっとぶれません。表の「主張」は、常に与党の主張に反対するとみれば、ぶれない野党なのですが、「財源の中身はほぼ同じ」なのに「代替財源額」がまちまちなのは、「荒唐無稽な“数字遊び”をやめるべきです。」と注意したくもなるでしょう。

それで思い出したのが、ねとらぼにきょう出た記事、「艦これ」×すき家がコラボ オリジナル丼やポスターをプレゼントです。「税込490円以上を購入したレシートの情報を応募用ページに入力すると、抽選で1000人にオリジナル丼、30人にオリジナルポスター」と、「対象110店舗で税込500円購入ごとに、オリジナル3Dカードが1枚」とで、金額のラインがわずかにずらしてありますが、どんな意図でのことでしょうか。旨ポークカレーのミニにたまごセットのような、ずれのすき間に入る注文も可能ですので、誤解した人とのトラブルがあるかもしれません。すき家のウェブサイトで、艦隊これくしょん -艦これ- タイアップキャンペーンを確認すると、金額に色をつけて強調してはあります。また、3Dカードのほうには、「混雑時にはお一人様のご注文数を制限させていただく場合がございます。」とあり、何の「ご注文数」なのかが気になります。極端ですが、たとえば先ほどの、旨ポークカレーのミニにたまごセットのままでは1枚ももらえませんので、マヨネーズを17個つけて、2枚にしたつもりが、そのときに混んでしまったら、1枚だけで終わる可能性もあるのでしょうか。それとも、マヨネーズの個数が、途中までで止められるのでしょうか。かえってトラブルになって、むちゃな注文をつけられるかもしれませんが、そんなときにこそ、理不尽な要求を黙らせる 最強のクレーム対処術の出番かもしれません。

パパラッチへの対応の古今とプロレス的挑発

きょう、Techinsightに、【イタすぎるセレブ達】カニエ・ウェストまたも暴走「俺はクレイジーじゃない」という記事が出ました。「またしてもカニエがTwitterで暴走」したことを取りあげたものです。

よくあるグラミー賞批判、しかも授賞式ボイコットの過去もありますし、「世界には俺のような男が必要なんだ」も、「クリスマスは恋人とホテル」の起源の記事で取りあげたこの人のことばとくらべて、どうでしょうか。「「借金は最大の恥」としながら「もう恥ずかしくはない」」、将来性のない男の4類型の記事で触れたテレビCMのようでもありますが、切りかえが早いのもだいじです。

「パパラッチも超尊敬」、あの業界ではなかなか言えないことばです。I Wanna Go(Britney Spears)のPVでの「マイクパフォーマンス」ほどではなくても、ジャスティン・ビーバーをはじめ、パパラッチに粗暴にふるまうタレントは数多くいます。もちろん、「カニエは過去にパパラッチと衝突し、暴行に及んだとして保護観察処分」になりました。シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ シーズン1でマイリー・サイラスが、パパラッチに頭を低くして対応するシーンがありますが、これはフィクションです。だからこそ、週刊女性 12月15日号(主婦と生活社)で明かされた、原節子の華麗なふるまい、カレーのふるまいは、とても頭の下がるお話なのです。

「全米メディアは釘付け」、そして「これぞ彼の狙いだとする意見もあるが、「本当にヤバい状態なのでは」という声はそれ以上に多い。」のでしょう。いまの日本では、薬物をイメージした人が多いことと思いますが、どうでしょうか。「ヤバい状態」と思われることさえも、「彼の狙い」以上に、ねらいどおりの効果を生じます。戦略がすべて(瀧本哲史著、新潮社)にもあるように、今や「炎上」はお金につながりますし、しばしばプロレス的と表現される、日本のグループアイドルのしかけ方も、くり返し度がすぎてしつこいと感じる人も多いと思いますが、そういうところまでねらってのことかもしれません。そういえば、新日本プロレスリングのウェブサイトに8年前に出た記事、LOCK UPのリングに“邪道”大仁田厚参上!には、政界からはあっさり引退した大仁田の、「一言だけ言っておく。昭和のプロレスは、昭和のプロレスはしつこいぞ!」という発言があります。

こういったことから連想されたのが、落合道人の記事、大正時代の女優追っかけパパラッチ。です。「大正期にも、人気俳優や歌手を追っかける「パパラッチ」は存在していた。」と書き出されますが、実は「今日の“しこみ”のような取材形式」であり、これなら先ほどの原でなくても腹は立てず、自分を立てる「尾行写真」を歓迎するでしょう。「だから、カメラマンの撮影にはいいポジションがあてがわれ、間違ってもピントがぶれてしまうような、みっともない写真は存在しない。」そうです。ただし、ピントがずれたところも、写真のたのしみのひとつです。モデルプレスの記事、篠田麻里子、決意のスピーチ「後輩に席を譲れと言う方もいる」では、プロレス的な挑発発言をぶった篠田と、ピントがここまで合っていないのにこころの中がくっきりと写ってしまった、うしろの席の後輩とのコントラストが注意をひきます。最近では、週刊文春 3月3日号(文藝春秋)の20ページの写真が、堂々とした被写体を堂々ととらえる一方で、実はこちらのタイミングをねらっていたと思わせるものを、手前にぼかして写しこんで、カメラマンの腕をちらりと見せました。

安全よりプライバシーを要求する人々と監視性

きょう、Forbes日本版に、イギリスに学ぶ、犯罪を減らすまちづくりという記事が出ました。

「03年から13年までの10年間で窃盗を約100万件減らして半減させ、誘拐も3,125件から1,727件へと激減させたのがイギリス」、「背景にあるのが「犯罪機会論」による対策」だという話題です。おどろくべき効果があると思われますが、実はわが国は、そのさらに上を行きます。平成27年版 犯罪白書(日経印刷)のCD-ROMのデータを見ると、2003年の窃盗の認知件数は2235844件、2013年は981233件ですので、「約100万件減らして半減させ」という表現でも足りないくらいなのです。

「1997年にイギリス首相に就任したトニー・ブレアが最初に成立させた法律「犯罪及び秩序違反法」は犯罪機会論によるものだった。」とあります。もちろん、そのCrime and Disorder Act 1998よりも前に、Social Security Act 1998など、さまざまな法律ができていますので、誤解しないようにしてください。

「例えば、「犯罪者が嫌がる公園づくり」。」、「団地を建てる際には、建物の囲みの中に庭をつくり、その庭を常に誰かが見ているような部屋の間取りに」、賛同しますでしょうか。「それに比べれば、例えば日本の団地内公園は、窓のない壁側に設けられるケースが多い。」とあり、皆さんの身のまわりや、もしかすると住んでいるところも、そうかもしれません。子どもはどこで犯罪にあっているか 犯罪空間の実情・要因・対策(中村攻著、晶文社)の図25、27、60、そして「どうしてこんな配置になるのだろう。」とまで書かれた図26、「まるで暗い穴蔵である。」と表現された94ページの写真のようなところは、ありませんでしょうか。しかも、窓側だからといって安全とはかぎらず、この本には、「その豆つぶのような各住戸は、公園に表側(主に南面)を向けた住戸ですらしっかりとベランダに目隠しをつけ、そこで生活する人々の姿を見ることはできません。高層集合住宅の建ちならぶ団地では、人々は極端なまでにプライバシーを要求するのでしょうか。」という事例も、写真つきで登場します。

「犯罪機会論は、人が入りやすい場所か入りにくい場所か、また周囲から見えやすい場所か見えにくい場所かという領域性と監視性を軸に考えます。」、これは「立正大学文学部社会学科教授の小宮信夫」の説明のようです。「領域性と監視性」というキーワードは、犯罪機会論そのもののものというよりは、その中の「守りやすい空間」理論、CPTED、SP7原則といった考え方の要素と理解するほうが、より自然であるように思います。

「犯罪が起きるのは、自転車やゴミが放置されたままだったり、周囲の家からの死角が多く、さらに空き家の窓ガラスが割れたままのような場所が多い。」とします。おなじみ、割れ窓理論の考え方につながります。先ほどの子どもはどこで犯罪にあっているかでは、「汚い公園」や、「一般市街地の事例1」に、この視点がうかがえます。

「逆に、地域が連帯しているようなエリアでは、悪の芽は摘み取られています」とあります。大げさなと思ったかもしれませんが、「連帯」といえるほどの地域力があれば、安心でしょう。そういえば、New York Postのウェブサイトにきょう出た記事、The documents that show Lech Walesa was a ratは、「連帯」の英雄のみにくい過去を明かしましたが、どうなりますでしょうか。玉ねぎの皮をむきながら(G. グラス著、集英社)の衝撃を超えるか、野坂参三になってしまうか、先は見えません。

仕事の生産性を上げる音楽と謙虚な宮田聡子

きょう、日刊SPA!に、40代で下流老人としての未来が確定しつつある人たちという記事が出ました。Wedge 2016年2月号の特集などどこ吹く風で、食傷ぎみのテーマを、SPA!風に調理したものです。

「人生のボタンを掛け違え、早くも下流老人としての未来がほぼ確定しつつある40~50代の人たち」として、田山健二、三田恵理子、千石アキラの3名を紹介します。いずれも仮名だそうですが、入っている漢数字を足しあわせると1005、これから経済的に落ちていく人々に対して、戦後を対比させるという皮肉でしょうか。

「ドラマーを目指し上京」、いまは「生活保護受給者の道」の1例目は、「とにかく、音楽を諦めきれなかったので、今の生活はすごくラク。」とします。音楽の道は続けて、ですが仕事としてなり立たせる必要がなく、くらしは公金でまかなえるのでしたら、たしかに楽かもしれません。NHK短歌 2016年3月号(NHK出版)にある上野克巳という人の句からもうかがえるように、音楽はいにしえから人類をとりこにしてきたのに、音楽を仕事にとなると、とても相性が悪いのです。一方で、仕事に音楽を、でしたら意外に役に立ちます。音楽心理学入門(星野悦子編、誠信書房)の13章でも紹介しましたし、SankeiBizにきょう出た記事、音楽に仕事の生産性を上げる効果も、そのような話題です。これはBloombergBusinessに4か月前に出た記事、The Science of Picking the Right Music at Workから、一部を省略した内容で、エクササイズ向けの科学的選曲の記事で取りあげた研究者も、より適切な表現で登場します。最後にある「ラビ・メータ助教の研究」は、音楽ではなく雑音の効果で、なぜここにと思った人も多いと思いますが、いわゆる赤本である大学入試シリーズ 武蔵大学 2016(教学社)にも、「音楽が与える影響」というタイトルを与えられているのに、この研究と思われるものが中ほどに登場する英文が登場しています。

さて、2例目は、「15年以上勤めていた外資系の会社から突然リストラされ、失業保険と貯金で生活」、にもかかわらず「高額だった給料をブランド品や外食などで派手に散財していた頃の金銭感覚が抜け切れていない」そうです。桜の園(A. チェーホフ作、岩波書店)を連想しますが、「私はお金に困ったことが一度もないしすごく運のよい人生を送ってきているから今回も大丈夫。」、これこそ喜劇かもしれません。この世には、死んだことが一度もない人しかいないのに、その誰もが死ぬのです。「すごく運のよい人生」との自覚は、若者の不運の記事で触れたように、成功者によくみられるものではありますが、「まさか50歳でリストラされるなんて思わなかったから」という現実は、謙虚に受けとめたほうがよいようにも思います。

謙虚で思い出したのが、さとことにきょう出た記事、2016/02/23です。タイトルをつけないのはいつものこととなりましたが、しばらく更新されないままとなっていたところに、ひさびさに来たのは、GINGER 2016年4月号(幻冬舎)の表紙への初登場なのです。「ポージングも下手で、顔は可愛い方でもないし、モデルに向かない性格。」と謙遜しつつもこの大役、そしてまわりへの感謝あふれる文面、あまりの低姿勢に、こちらのほうが頭が下がりそうです。smart 2016年3月号(宝島社)で美輪明宏は、「美しい」ということばが使われにくくなったいまの社会を批判しましたが、こういったところに、きちんと出番がありました。