生駒 忍

記事一覧

盗作疑惑の対応と風呂のぞきによる一家殺傷

きょう、VenusTapに、五輪ロゴだけじゃない!音楽からドラマまで「パクリ疑惑騒動」まとめという記事が出ました。

「今回は、“音楽からドラマまで!過去のパクリ疑惑騒動”を一挙公開」と、大きく出たのですが、登場するのは3件です。大量に列挙されても読みにくいですし、「モテ」に効果のなかった努力の記事で取りあげたもののやり方はともかくとしても、フロイトの聖なる数の記事で取りあげた、3という数のよさを意識したのかもしれません。たった3件でも、うたがわれた側の対応が三者三様であって、多様性を意識して厳選したようにも見えます。

まず、「国民的アイドルなっち、“大物アーティストから歌詞盗作”」です。「歌詞盗作」とあるとまぎらわしいのですが、問題になった作品のほうは、詩ではあっても、いずれも曲にのった歌詞ではありません。ラジオ番組内の「歌詞選手権」が発覚のきっかけになりましたが、「盗作」された側に歌詞が多かったということです。安倍は、その後同様の問題を起こすことはなく、「新・安倍なつみ」の記事で取りあげたように、その後も長く活躍しているようで、何よりだと思います。

次は、「オダギリジョー主演ドラマで脚本パクリ」です。結果的には円満解決のようになり、家族のうたはDVD化もできて、Amazon.co.jpでの評価も高いのですが、視聴率は苦しかったようです。ORICON STYLEの記事、『家族のうた』、『クレオパトラな女たち』にみる満足度と視聴率の相関関係は、「原作がない」ことが不利な要因だったとしていて、皮肉です。

最後は、「槇原敬之vs松本零士、銀河鉄道999裁判」です。「裁判では「槇原さんがセリフを知っていたとは認められず、歌詞が似ているからといって、セリフに依拠したとは断定できない。名誉棄損に当たる」とされ、槇原敬之が勝訴」、これは誤解をまねきそうです。判決は、酷似しているとはいえないとし、依拠性だけでなく類似性にも否定的です。一方で、槇原側が求めた、著作権侵害がなかったことの確認は、法的には当然の理由で棄却されました。松本が、槇原は盗作を認めたと言ってまわったことが、名誉毀損にあたるとしたところでの勝訴です。なお、認められた賠償額は、槇原が要求した2200万円の、10分の1です。風呂のぞき常習者とされた少年による、大分一家6人殺傷事件では、2億4000万円を要求した遺族側が、印紙代が払えなくなっていったんつまずきましたが、その10分の1にも満たない要求は、槇原なら容易なことだったでしょう。その大分の事件から、もう15年が過ぎましたが、少年犯罪事件史の記事、大分一家6人殺傷事件によれば、和解にはいたったものの、約束は反故にされたようです。

未来的な都市のたのしみ方とスワンナプーム

きょう、Photoripに、タイのついでに隣国に行く旅行者急増中! 格安に「未来都市と伝統」を堪能する旅という記事が出ました。

「世界の中心的なターミナル空港をご存知ですか? ヨーロッパはフランクフルト、北米はニューヨークやロサンゼルス、そしてアジアはバンコクというのが常識です。」と書き出されます。「中心的なターミナル空港」という表現は、あまり見かけないように思います。一般的な用語ですと、ハブ空港ですが、ロサンゼルス国際空港を「常識」と断言するなど、やや語感が異なるのかもしれません。また、空港名を書かないところも特徴的です。スワンナプームは、ドンムアンとは異なり、行政上はバンコク市ではありません。新バンコク国際空港は、新東京国際空港と同様なのです。

「では、バンコクを中継空港として近隣諸国に行くとすれば、どこへ行くのがベストなのでしょうか?」と問います。問うといっても、考えさせるというよりは、筆者が出したい話題の前ふりです。Q&A 心理データ解析(服部環・海保博之著、福村出版)を連想した人もいるかもしれません。すぐ前に、「インドやネパールなどの近隣諸国」とあり、これが近隣かと疑問を感じた人はグローバル感覚があるのかないのかわかりませんが、そこの話題へとみちびきたかったのです。

「コルカタ、カトマンズ、ダッカ、どの都市も素晴らしいカオスを体験できますが、数日いると肉体的にも精神的にも疲れるもの。そんな状況下でバンコクに戻ると、まるで日本に帰国したかのように安心感を得られます。」とあります。つらい経験のよいところの記事で取りあげた研究を思わせます。「東京やニューヨークに負けない未来的な地域」の、一風変わったたのしみ方です。そういえば、anna magazine vol.01(ファミマ・ドット・コム)には、「バンコクは経験を楽しむ街」とありました。

ガン・サリュート・エフェクトと小声の効果

きょう、ananニュースに、大切なことは小声がいい!? 心のプロが教える伝え方とは?という記事が出ました。「ビジネスの悩みには、相手の心理を突く言動が突破口の一つになるかも」として、「メンタルケアサロン『pureral』の代表。」による戦術の提案を紹介するものです。

まず、「1度目で意見が通らなくても、1~2 週間後に再アタックすると上手くいく確率UP。」です。「1~2 週間後」と、書き方でも間を少し空けてみせます。この「確率UP」ですが、重回帰分析で説明変数を増やすと説明率が上がるような、1回より2回のほうが成功率が高いはず、というだけではありません。「情報の信憑性は、時間が経つにつれて増します。」として、通俗的なピグマリオン効果の記事で触れたスリーパー効果の名前が頭にうかぶところを、「仮眠効果といいます」と書きます。仮眠の心身への効果とまぎらわしいので、私は使いませんが、心理学がイッキにわかる本(渋谷昌三監修、西東社)には、「仮眠効果(スリーパー効果)」、「説得のためのコミュニケーションに関する研究で注目される現象」とあります。そこでは「押しの一手」と関連づけて、女性をほめることの効果へとつなげるのですが、恋愛jpの記事、“仮眠効果”で気になる彼の気を引く方法は、喫茶店オーナーに、「“仮眠効果”というものが心理学にありまして、簡単に言うと、“押してもだめなら引いてみろ”を学術的に正しいとしたものです」「“仮眠効果”は、押されたときにその気にならなかったのに、相手が引くことによってその気になる、というものなんです」と言わせます。いずれにしても、一度とどかなかったからと、アプローチを絶ってしまわないようにということにはなりそうです。そういえば、新幹線車内にきのう流れた朝日新聞ニュースには、「野田聖子氏は推薦人確保のめど絶たず。」とありました。

次は、「会議がだれてきた時間帯こそチャンス。何か音を立てるだけで、自分に流れが。」として、「音が心理に与える効果、ガン・サリュート・エフェクト」が登場します。聞いたことのない人が多いと思いますが、なぜ、あの人の話に人はうなずくのか 仕事に役立つ武器としての心理学(渋谷昌三著、アーク出版)に登場します。これから、あつかっている本が増えるとは思いますが、福島の甲状腺がんの子どもとつんくの記事で取りあげたのべ人数のようなことにすぎないと言いたい人も出そうです。

最後は、「重要性を強調したいときこそ、小さい声を心がける。」です。京の底力(市田ひろみ著、ネスコ)での、「「鮎入りましたえ」のひと言」のようなものとは異なり、ここでは物理的に小さいことが重要なようです。リーダーに必要なことはすべて「オーケストラ」で学んだ プロ指揮者の“最強チームマネジメント"(桜井優徳著、日本実業出版社)にある、リハーサル室での「話がよく通じる」やり方や、文藝春秋 2014年4月号(文藝春秋)で養老孟司が明かした、みごとなだまらせ方に近いでしょう。

実は、最後はもうひとつあって、3番目の後半は、「それでも強く反論されたら、相手のリズムに合わせて首を振り、拍子を合わせてみる。」という、別の戦術です。直観的にはわかりますが、ぴったり合わせるのは、意外にむずかしいものです。

それで思い出したのが、けさの京都新聞朝刊に出た記事、「創作ダンス人数 ギネス新」です。伏見での「京都学生祭典」初のプレイベントを取りあげたもので、めでたいニュースなのですが、写真のキャプションに「息の合った創作ダンスでギネス記録を樹立した大学生たち」とあるのに、写真がそこまで合った印象をもたらすものではないのが、少々気になりました。朝日新聞DIGITALにきょう出た記事、京都)大学生616人、創作ダンスでギネス世界記録は、合っていたとはひと言も書かず、「踊りについていけなくなるなどして失格した」一部にも触れましたが、こちらの画像のほうが、むしろ「息の合った創作ダンス」という印象を、より強くもたせるように思います。それとも、京都新聞のものは、「樹立した」と過去形なので、創作ダンスが終わってからの何かのようすなのでしょうか。

おにぎらずの味つけとサンドイッチとの比較

きょう、マイナビニュースに、海鮮丼を話題の「おにぎらず」にしてみたよ!という記事が出ました。

「昨年から大ブレークしている「お握らず」。」と書き出されます。ここだけなのですが、漢字にされると、感じが変わります。「クッキングパパ」30年の記事で触れたように、ブレイクしたことはそのとおりです。

つくり方は、おにぎらずをつくった経験があれば、かんたんだと思いますが、最後に「好みでわさび醤油をつけていただく。」とあることに、気をつけてください。「写真1。」より前にある写真の奥にあるのが、「わさび醤油」ではないものに見えるのも気になりますが、「好み」しだいとはいっても、この味つけで、何もつけずに食べるのは、いまの日本人の味覚にはなじみにくいように思います。ですので、おにぎりではなくおにぎらずという発想で、お弁当として持たせると、困るかもしれません。らくらくねんきん暮らし vol.4(学研マーケティング)で、「おにぎらずで手間いらず」と題して紹介された中で、「頭を悩ます、一日じゅう家にいる夫の日々の昼ごはん。」として位置づけられたような食べ方で考えましょう。

「にぎりすしや巻きずしは握り方が素人には難しいですが、握らないおにぎらずはふわっとした仕上がりにしやすく、簡単においしくつくることができます。」とあります。比較対象が、おにぎりではないところが、ユニークだと思います。では、みんなのお弁当日記(翔泳社)での、海野夏維という人による「タモさん流しょうが焼きのおにぎらず弁当」の紹介で、「カット時の難易度が下がるっぽ。」というところが、サンドイッチとの比較であることとでは、どちらがよりユニークかと問われると、比べにくいかもしれません。

親が宿題に手を出す理由とディープリンク

きょう、mamatennaに、夏休みの宿題、子どものSOSに応えるべき?という記事が出ました。

「アクトインディが実施した調査によれば、小学生の子どもを持つ親の4%が「夏休みの宿題をほとんど手伝っている」、79%が「手伝うものもある」」という調査結果が話題にされます。くわしくは、いこーよの記事、2014小学生の夏休みの宿題実態調査をご覧ください。なぜ今さらと思ったかもしれませんが、10日前に放送されたネプリーグです。

「しかし一方で、手伝う派にもそれなりの理由があるようで、大半は中学受験に集中させるため、宿題の未提出・遅延によるマイナス評価を子どもが受けないため、といった親心。」だそうです。「毒親」とたたかう女性の記事で触れた「ゲーム」が、ここにもつながります。別冊宝島2333 教師が危ない(宝島社)で、宿題代行業者の代表は、「内容の高度な受験勉強に忙しく、レベルの低い学校の宿題をこなす時間がもったいないという理由での依頼も多い」と明かしています。また、「『賞をとれるような読書感想文を書いてほしい』という依頼」「娘さんは周囲の友達からも優秀だと認識されているので、感想文もそのレベル、つまり入賞レベルに仕上げてくれという依頼」を、「通常の2倍近くの料金で引き受けた」お話も、インパクトがありました。

「ちなみに、アメリカの家族療法専門誌「American Journal of Family Therapy」は研究論文のなかで、子どもの宿題の量が増えると家族のストレスも増すと論じている。」とあります。最近では、43巻に掲載されたHomework and Family Stress: With Consideration of Parents’ Self Confidence, Educational Level, and Cultural Backgroundが近いように思えますが、宿題量とストレスの程度との相関を直接にみている研究ではありません。

「ウチの娘、夏休み残り一週間なのに、凄い余裕。」「夏休みの宿題終わってないのに娘のんき。」、よくあることです。おとなでも、意味なくしてしまうことです。女に惚れさす名言集の、惚れさせ1609 「期日はギリだぜ」の世界です。

無意味にで思い出したのが、TechCrunch Japanにきょう出た記事、ディープリンクに第二のブームが訪れる…ここでもやはりコンテキストがすべてです。はやりのディープリンクの話題を、ひとつ覚えとは言いませんが、「最大の問題は、ユーザがリンク先のアプリをすでに持っていなければディープリンクは無意味であること。」と斬りすててきた人も少なくないと思いますが、この論理が意味を失いつつあるのです。「新しいタイプのディープリンク」、「コンテキスト的ディープリンク(contextual deep-linking)」の登場です。「そこで、Branchのネットワーク上の何千ものアプリの中からランダムに選んで調べてみた。」結果が、とてもあざやかです。どの指標でも、従来のほぼ倍の効果が上がっていたのです。

倍で思い出したのが、産経ニュースにきょう出た記事、45歳容疑者と接点どこに…急展開もナゾ多く 保護者説明会中に逮捕状のニュース流れるです。逮捕されたのは、同じく産経ニュースにきょう出た記事、土地勘、残虐性、暴走型…絞れぬ犯人像、専門家の推測はで、「犯人像について、矢幡氏と碓井教授は「比較的若い人物」で一致する。」とされたイメージの、おそらく倍の年齢でした。絶歌(元少年A著、太田出版)の筆者のときは、専門家はほぼ倍の年齢の犯人像を示していましたが、その逆の方向です。