生駒 忍

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水野美紀主演ドラマの壮絶とでんでん現象

きょう、アサ芸プラスに、また干される?地獄を見たあの女優の主演ドラマが視聴率2%の壮絶爆死という記事が出ました。「あの女優」とは水野美紀で、主演している「逃げる女」の苦戦で、お仕事が逃げてしまうのではという話題です。

「脚本は80年代『金曜日の妻たちへ』や『男女7人夏物語』など大ヒットを記録した鎌田敏夫が務めるということで、ドラマファンからは注目」、ずいぶんと古い作品がならび、どういう質の注目だったかが気になるところです。リテラにきょう出た記事、『金スマイル』へ変更の真相! TBS制作幹部が「うちは中居を守る」と明言、3年前に嵐の降板でメリー派と亀裂にも取りあげられた改名で、金妻をもじったとされる番組名も、ついに消えてしまいました。Amazon.co.jpでとても評価の高い男女7人夏物語は、それよりは後の作品で、「クリスマスは恋人と」のはじまりの記事で触れたことも含めて、テレビドラマ史的にも重要ですが、もう30年近く前のことです。

「今回主演を務めている水野は2005年、芸能界で非常に強い力を持つと言われる大手事務所から独立し、仕事が激減。」しました。もちろん、水野は女性ですので、これはジャニーズ事務所ではありません。ですが、ジャニーズには、「女帝」はいるようです。文藝春秋 2016年3月号(文藝春秋)に、中村竜太郎が書いたものが痛烈です。

「水野は干され期間、バラエティや映画で汚れ役にも果敢に挑み、女優として必至に踏みとどまってきました。」、ここでは意識して「死」の字をさけたのでしょうか。視聴率が低いとすぐ、番組は生きているのに「爆死」と言いたがる人が増えましたし、干されれば芸能人としては死にます。そういえば、PHP 2015年8月号(PHP)で桂歌丸は、「あたしは芸能人の死はそれほど悲しまない。だけど「芸人の死」は悲しいですね。」と表現しました。

「低視聴率とはいえ、「まるで映画のようなクオリティ」と各所から絶賛されている」そうです。せめてもの救いでしょうか、それともよけいに悲しいでしょうか。けさの大阪日日新聞の、油谷克己という人や、西美和子という人の句とは逆に、組みあわせがよくなかったと理解するべきでしょうか。あるいは、でんでん現象もあるのかもしれません。

防犯意識と戸締まりを完璧にすることの危険性

きょう、マイナビウーマンに、“防犯意識”をしっかり持って! 「一人暮らし」で決してやっちゃいけないことという記事が出ました。

「そこで今回は女性のみなさんに、防犯意識を高める大切さについて、一人暮らしで決してやってはいけないことについて、教えていただきました。」とありますが、2本のテーマについて調べたのではなく、後者のほうのみではないかと思った人もいると思います。ですが、あぶない思いをした体験を述べたことを、「防犯意識を高める大切さについて」間接的に教えたのだと見なせば、どちらのテーマもあると理解できるでしょう。

一方、その後者である「決してやってはいけないこと」とは正反対のように思える回答もならびます。「下着の洗濯物を外に干さない」「玄関の鍵をきちんと閉める。」「夜、窓を開けたままで寝ない。在宅中でもカギはかける」などです。それでも、ひとり暮らしですと、中で倒れてしまったとき、やっとのことで救急車を呼んでも、戸締まりが完璧では救出が遅れてしまう危険もあります。マンション管理最前線の記事、救急車を呼んではみたものののような事態です。

それにしても、同じくマイナビウーマンにきょう出た記事、一人暮らし女子だからこそ心がけている「防犯対策」3選とのかぶりぐあいが気になりました。こちらが「下着を外に干す」「鍵をかけない」「窓の開けっぱなし」「すぐにドアを開ける」の4本であるのに対して、「3選」は「簡単にドアを開けない」「帰宅時は背後を確認する」「洗濯物を外に干さない」です。「『マイナビウーマン』にて2016年1月にWebアンケート。有効回答数405件(22歳~34歳の働く女性)」に対して、「『マイナビウーマン』調べ」「2016年1月5日〜12日」「234人(22歳〜34歳の女性)」ですので、波ダッシュが異なることはともかくとしても、たまたま似たような調査がおたがいに調整されずに行われたようにも思えます。あるいは、12日までで切ったものと、もっと後まで足したものから「働く」人のみを取りだしたものとであって、イラリスの記事で指摘した可能性ではありませんが、実質的には同じものかもしれません。もちろん、防犯の話題づくりは、何度しても世の中のためになるのですが、同じウェブサイトが、2時間半ほどの間でくり返したのは気になりました。ふと、日経ビジネスアソシエ 2015年7月号(日経BP社)で五百田達成が、女性の会話について、「同じ話が何度でも繰り返されるので、2時間でも3時間でも平気で話していられます。」としたのを思い出しました。

野村克也による清原の評価と医師の届出義務

きょう、アサ芸プラスに、みんな知っていた?清原の薬物使用をチームメイトはなぜ通報しなかったのか!?という記事が出ました。

「逮捕劇から日が経つにつれて、清原容疑者が薬物に手を染めながら孤立を深めていったことがわかってきた。」として、絶縁、離婚、さかのぼって「ナベツネに『光っているのはピアスだけだ』と揶揄」されたことなどをならべます。「福祉ってのは最悪だな」発言の記事でも取りあげたマイク・タイソンの、がらが悪いとされる土地から大スターに上りつめ、しかし側近とはなれ、内容がみがかれないままかたむき、たびたびの粗暴行為、2度の離婚、破産、実は現役時にも手を出していた薬物で逮捕といった半生を思わせます。その点では、週刊朝日 2月19日号(朝日新聞出版)の野村克也インタビューと合わせて読むと、興味深いでしょう。「実績を残した人は監督やコーチをやっているじゃないですか。」、これは石平太郎のきょうのツイート、民主党の細野氏は、自民党の今井絵理子氏擁立について「知名度だけを目当てにする候補は望ましくない」と批判。の話題とは対極で、この人が言うからこその威力がありますが、「技術の先には頭脳と感性が必要なんだよ。でも清原は若いときに教育されていないから考えないし感じない。」と指摘し、「バカ」という表現をくり返し、「野球人としての復帰はまあ難しいでしょうね。」と突きはなします。一方で、復帰をめぐっては、RBB TODAYにおととい出た記事、清原容疑者「永久追放」発言の杉村太蔵に、上西小百合議員「所詮馬鹿は馬鹿」が取りあげた、ばかばかしい場外乱闘もありました。

「医師が薬物中毒者を診断した場合、もしくは公務員が薬物を使用していると知った場合を除けば、刑法上は知っていても警察に通報する義務はありません。」、よりによって「法曹関係者」がこんなことを言うとは思えません。刑法に通報義務という話題が、そもそも奇妙です。爆発物取締罰則7条や麻薬及び向精神薬取締法58条の2のようなものはありますが、特別刑法はすべて刑法とは別ですので、「刑法」と略すはずはありません。PRESIDENT Onlineにきょう出た記事、日本を「老害」の国にしているのは「グズ」な若者が、「東京都の渋谷区」を「言わずとも知れた、若者の街です。」と書いたことのほうが、重なりはありますので、はるかにましでしょう。そして、刑事訴訟法239条2項が、「公務員が薬物を使用していると知った場合」にかかわりますが、刑訴法を刑法と呼ぶ「法曹関係者」がいたら異常です。医師に関しては、麻取法58条の2が近いですが、覚醒剤は対象外ですし、「警察に通報する」のではなく、都道府県知事への届出です。ちなみに、この条文の「すみやかに」は、医師に課される届出義務としては異例の表現で、役所の届出らしいいつまでにという期限を定めない一方で、感染症法などにある「直ちに」でもありません。この届出がろくにされていないとされることとも関連しそうです。

パイナップルでの体調不良の原因と温度の影響

きょう、美レンジャーに、あれっ…ピリピリ痛い!気をつけたい「パイナップル」の食べ方3つという記事が出ました。

こんな季節に、パイナップルの話題はめずらしいです。「パイナップル、食べ方次第では体調不良の原因に」というネガティブな内容ですので、暦の上で反対側になるいまがよい時期だと考えたのでしょうか。パインの日は8月1日、パイナップルの日は8月17日です。

「まだ十分に熟していないパイナップルには、“シュウ酸イオン”という成分が含まれています。」とあります。食べものの成分として、イオンを示すのはめずらしいと思います。ちなみに、成分解析で「イオン」をためすと、濃硫酸が出てきます。

「丸ごと購入する場合は、ずっしりとした重みが感じられるもの、皮が鮮やかな黄色をしているもの、カットされたものを購入する場合は、実が白っぽいものより黄色っぽいものを選ぶと良いでしょう。」とあります。ですが、この記事にある画像が世界中のウェブサイトで見かけられるように、「皮が鮮やかな黄色」のものは典型的ではなく、なかなか見つけにくいと思います。パインちゃんは、架空のキャラクターです。「カットされたものを購入する場合は、実が白っぽいものより黄色っぽいもの」と書いていることからは、高木沙織という人が、海に切り身が泳いでいるようなレベルの誤解をしているとも思えません。ちなみに、KIRIMIちゃんは泳ぎます

「ですが、パイナップルに含まれるたんぱく質を分解する酵素“ブロメライン”は、60度以上に加熱すると効力を失います。」、とてもよく見かける言説ですが、温度の影響はそう単純ではありません。たとえば、Kasetsart J.(Nat. Sci.)44巻の論文、Effect of temperature on the stability of fruit bromelain from smooth cayenne pineappleのFigure 1がわかりやすいでしょう。Figure 2のほうがきれいですが、80度条件が落とされています。

「パイナップルに含まれる消化酵素の働きは強力。」とありますが、人喰いパパイヤ(少年ナイフ)に歌われる「人食いパイナップル」が実在するはずはありませんし、消化酵素を持つとは思えません。ブロメラインは、たんぱく質分解酵素ではあっても、2種類とも消化酵素ではないはずです。ヒトはもちろんのこと、ほかの動物でも、生成も分泌もできないと理解しているのですが、何かいましたでしょうか。あるいは、さらに専門外なのでまったくわからないのですが、食虫植物で、ブロメラインを使う種があるのでしょうか。

否定語を認識できない脳とSNSの利用制限

きょう、PRESIDENT Onlineに、固い決意「スマホを見過ぎない」はむしろ逆効果という記事が出ました。

「習慣化のコンサルティングをしていて、挫折するスタート地点でよくある失敗は「~しない」という行動を決めているケースです。」、冒頭からもう、私はつまずいてしまいました。「挫折するスタート地点で」という書き方が読みにくいこともありますが、「「~しない」という行動」、死人テストにかけるまでもなく、おかしいと感じてしまいます。ですが、実はこのつまずきが、ここでの主張の本題とかかわるのでした。第15回精神保健福祉士国家試験の記事で取りあげた、ついていけない開頭手術を思い出しました。

「心理学では、脳は「否定語」を認識できないといいます。」、皆さんは肯定しますでしょうか。否定語とは、「~しない」のことを指しているようですので、フェリー沈没事故への発言の記事で触れた「脳は主語を理解できない」説に似ていますが、こちらは述語を理解できないとでも言うべきものです。「否定語」と、かぎかっこでくくったのも気になりました。ふと、日テレNEWS24にきょう出た記事、JRの列車内異臭は「臭豆腐」が原因かを思い出しました。私は本場で一度しか食べたことがありませんが、日本の電車であのにおいがしたら、さわぎになるのもしかたがないと思います。

さて、「悪い習慣をやめる! という目標ではなく、「~する」という代替行動を決めなければいけない」とします。専門用語をさけて読みやすくしつつも、代替行動という表現をとることで、無学なのではなく、「~しない」が行動ではないとわかって当然の分野の知識はあるように見えるかもしれません。

「テレビを見ない」ではなく、「テレビのコンセントを毎日抜く」がよいそうです。毎日抜くためには、毎日また入れもどさないといけないので、ふしぎな儀式になりそうです。はじめから抜いたままのほうが「見ない」の実現にはよさそうですが、抜いたままは行動ではありません。あるいは、大量のたこ足を用意してから、毎日抜いていくイメージでしょうか。

「他人に振り回されない」ではなく、「SNSやLINEを見るのは、電車の移動中だけにする」がよいそうです。反応説や反応制限説の感覚からは、やたらと電車で移動したがるようになりそうです。それで他人を振りまわすようにはならないことを、願いたいと思います。

「「スマホを見すぎない」という曖昧かつ、行動志向ではない習慣行動を3つの質問で変えていきましょう。」として、具体的な提案で締めます。テレビの例とは異なり、「見ない」ではなく「見すぎない」です。テレビは見なくても意外に問題ないもので、親王妃にもなれますし、テレビの仕事であれほど成功した池上彰も、メディアの仕組み(池上彰・津田大介著、夜間飛行)で、自分ではテレビを見ないと明かしました。一方で、スマートフォンは、あっという間に日常の一部となってしまい、もはやゼロにはできないのでしょう。Facebookのうその記事で取りあげたように、展覧会という非日常にまで入りこんでいるのです。あるいは、同じくPRESIDENT Onlineに5か月前に出た記事、なぜ、スマホ使用「0時間の子」は「2時間未満の子」より点数が劣るのかでも取りあげられた「「への字」相関」のデータを意識しているのでしょうか。