生駒 忍

記事一覧

「嚥下」の正しい読み方と風化する震災の記憶

きょう、室蘭民報WEB NEWSに、12日に登別で「食介護」テーマに福島の今を伝えるという記事が出ました。

「摂食嚥下(えんか)障害の人への対応策を探る「室蘭登別食介護研究会」(皆川夏樹代表)などが主催。」するそうです。あえて「えんか」と読ませるところが、特徴的です。代表者は医師のようですので、さらに興味深いところです。「えんか」と読まれる可能性を完全にシャットアウトした、浜松市リハビリテーション病院えんげと声のセンターほどではなくても、医療・介護の領域では「えんげ」と読むものです。もちろん、どちらかが正しいということではなく、NHK放送文化研究所のウェブサイトにある、「嚥(えん)下」の読み方は?にある視点が、無難なところです。デジタル大辞泉では、嚥下そのものは「えんか」がメインで、「えんげ」は「「えんか(嚥下)」に同じ。」、ただし嚥下障害、嚥下食、嚥下性肺炎は、どれも「えんげ」で読まれています。

その「皆川代表が「3・11を忘れない」」という講演をするようです。「「食介護」テーマに」という方向性からみると、基調講演ではなく、まずは代表あいさつからという程度のものだろうと思います。それでも、いわきで活動していた立場として、こういう思いを伝えたいということはあるのでしょう。きのう、日本音楽舞踊会議のウェブサイトのWebsite編集長の声に更新があり、「5周年」というタイトルが祝いごとのようにも見えてしまうのはともかくとしても、「ただ、当事者以外の人々はどうしても記憶が薄くなりがちですし、社会全体では風化してしまいがちです。」とされました。

「福島市の歯科医師・吉田圭治さんが「甲状腺がんの推移」」、これも「「食介護」テーマに」という方向性からはずれ、なぜ歯科がという疑問もありますが、関心の高い話題を置きたかったのだと思います。福島の甲状腺がんの子どもとつんくの記事で取りあげたように、誤解をまねかないように取りあげてもらえることを、期待したいと思います。

ポスターを撮ったことになっている、写真のセンスが独特です。少し前に、ブラジャー解析事件がさわぎになりましたが、本文にある以上の情報は、画像を加工しても取りだせそうにありませんので、ポスターがあること、きれいにデザインされたことが伝わるのみです。目だたないように見える人物や、樽型収差を感じさせる左上、壁の影などが、少々注意を引きます。このポスターが、Amazon.co.jpでとても評価の高い伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルール(高橋佑磨・片山なつ著、技術評論社)で指弾された、悪目だちする技法を大きく入れていたら、かえって正しくポスターに注意を集めて、こうはならなかったようにも思うのですが、どうでしょうか。

コミュニケーション特性の講演会と論文撤回

きょう、佐賀新聞LIVEに、佐賀大 幼児の自閉症など意思疎通学ぼうという記事が出ました。

わかりにくいタイトルですが、「対人関係を築いたり、相手の気持ちを読み取るのが難しい「自閉症スペクトラム障害」(ASD)のある幼児のコミュニケーション特性を学ぶ講演会が3月5日午後1時から、佐賀市の佐賀大学本庄キャンパスで開かれる。」ことの紹介です。DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル(医学書院)の概念にはしたがい、訳語はあえて「自閉症スペクトラム障害」のほうにしたのは、理由があってのことかどうか、もし参加したら、聞いてみてください。

「県内五つの大学・短大と放送大学でつくる大学コンソーシアム(連合)佐賀が主催する。」とあります。その大学コンソーシアム佐賀自身は、「佐賀県の6大学による大学連合」としていて、学校教育法108条を知らないと、佐賀新聞のほうが正しいと思う人も出そうですが、どちらも放送大学そのものが加盟しているような誤解のおそれがあり、自身の説明のほうが、その部分はましだと思います。なお、連合佐賀とは無関係です。

「先月24日に開催予定だったが大雪で中止となり、代替開催する。」、不自然な文ですが、地方紙ですので割りきって読むべきで、自然災害による開催延期だと考えましょう。コンソーシアム事務局が、予定日の2日前に出した文書、平成27年度フォーラムの開催についてで、下線を引いてまで言いきったことは、結果的にはうそになったのです。ですが、恥を覚悟でいったん出した結論を撤回した決断は、むやみに非難すべきではないでしょう。

それで思い出したのが、YOMIURI ONLINEにきょう出た記事、小保方氏らネイチャー論文、共著者申し出で撤回です。「透明な存在」の酒鬼薔薇の記事で触れたツイートからそろそろ2年、指摘された可能性の高さは、その間に着々と固まりました。

佐賀の観光ランキング順位と会津のうらみ

きょう、佐賀新聞LiVEに、9月30日本丸で講演会、会津と佐賀の縁知ろうという記事が出ました。

私は一瞬、タイトルを読みまちがってしまいました。ですが、九州地方でしたら、日本丸は見たこともない人が多そうです。よそのものを知らないのは、おたがいさまでしょうか。それでも、佐賀の場合は、東洋経済ONLINEにきょう出た記事、和歌山県が浮上!秋の人気観光地ランキングによれば、「一方、最下位を競っているのは佐賀県と茨城県。」「佐賀県は夏休みの人気ランキングでも最下位なのに対し、茨城県は夏休みは33位。」で、とても不利でしょう。以前に、労災死傷者増加率ワーストの記事を書きましたが、改善したいことはいろいろあって、行政も大変なのではと思います。

「会津若松の戦いでは佐賀藩製のアームストロング砲が使われた」、これでは佐賀もうらむお話になりそうですが、「実行委によると、砲弾の一部は火薬が入っていない空弾に含まれていることが分かってきて」、わかりにくい表現ですが、ここがポイントのようです。「そのことが女性や子どもの犠牲や城の損傷の少なさにつながっている」といっても、たまたまのミスなのか、弾薬の節約なのか、手かげんなのか、興味をそそるところですので、あえてふせて、続きは講演会でという戦術でしょうか。京都に原爆を投下せよ(吉田守男著、角川書店)で検証されたウォーナー伝説のような、あべこべな美談が構築されることだけは、さけてほしいと思います。

「今回の講演会をきっかけに、自治体同士で交流が深まっていくよう期待」、よいことです。会津というと、人生の歩き方はすべて旅から学んだ(童門冬二著、PHP研究所)で、「よく冗談めかしていわれること」とされた、山口出身とわかったセールスマンに「冗談じゃない、この話はナシにしよう」と破談を告げるお話のようなことがよく言われますが、外堀から埋まっていき、いずれは本丸までつながると、なおよいと思います。

学習意欲の中1ギャップを示すデータと禁句

きょう、下野新聞SOONに、「中1ギャップ」理解を 宇都宮市人材かがやきセンターが講座という記事が出ました。臨床発達心理士による、全2回の講座の紹介です。

「中1ギャップは、中学校入学で学習や生活の変化になじめず、不登校傾向になったり、学習意欲が急激に低下したりする現象で、全国で課題になっている。」、不登校については、はっきりしています。最新の数値としては、平成25年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」等結果についてではなく、1か月前に出た平成25年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の訂正値の公表についてを見るべきですが、ギャップは同じです。では、学習意欲のほうはどうでしょうか。こちらは、どんな指標で意欲をとらえるかもむずかしいですし、ギャップの前後を含めてきちんと比較できるデータは、意外に手に入りません。全国学力・学習状況調査は、小6と中3とですので、これではわかりません。自治体レベルの範囲ですと、たとえば 奈良市立都跡小学校・都跡中学校のものが、『VIEW21』中学版 2006年度 特別号で見られます。学習意識調査の結果は、「目標に向け、ふだんからこつこつ学習している(学習継続力)」や、「テストで間違えた問題はやり直している(学習スキル)」で、小6-中1の大きなギャップを示しました。また、福井県児童・生徒学力調査結果についての、モデル地域福井県「理科大好きスクール」実践報告でグラフで示されたデータは、「理科の学習で新しいことを知りたいと思う。」での、小6-中1の大きなギャップを示しています。あるいは、学習意欲の裏がえしですが、こちらは全国データで、第1回子ども生活実態基本調査報告書の3章を見ると、「勉強しようという気持ちがわかない」や「どうしてこんなことを勉強しなければいけないのかと思う」で、ギャップがうかがえます。ですが、後者は、数値での印象にくらべて、グラフで見ると、ギャップの感じがあまりしないようにも感じます。教員養成セミナー 2008年12月号(時事通信社)に掲載されたものですと、さらに弱いようにも感じられ、特別なギャップとは見なくてもよいようにも見えます。

それで思い出したのが、東京独女スタイルにきょう出た記事、アラサーになったら禁句!おばさん認定されちゃう意外案NGフレーズです。意外な案が出てくるのではなく、いわゆる「あるある」の範囲内です。「昭和の時代に生まれたアラサー独女にとって、平成生まれという存在は、別世界の生き物。」「しかし、年齢もそれほど変わらない相手なのに、昭和生まれというだけでドヤ顔をされるのは、年下女子からして面倒なだけ。」とあります。

「ウソをつく人」の心理の講義と不潔な中学生

きょう、DreamNewsに、神戸芸術工科大学 大学院 芸術工学論公開特別講義2014 『自分さえよければいい人』の心理学という記事が出ました。

「「現代のベートーベン」「夢の万能細胞」「PC遠隔操作事件」など、今年はいつになく「ウソをつく人」による社会問題がクローズアップされました。」というところから、講義概要の紹介が行われます。吉田証言、吉田調書、任天堂インタビューなどの一連の朝日新聞問題こそ、今年の重大なうそつき事件だと思いますが、それは例示に使わないのは、まさかとは思いますが、どれもうそではないと理解しているためでしょうか。伍代夏子の虚構ブログはなくてもよいですし、STAP細胞はまだうそとは決まっていないといいたい人もいそうですが、朝日は入れるべきでしょう。それとも、単に劣化する日本人 自分のことしか考えられない人たち(香山リカ著、ベストセラーズ)の宣伝をかねた講義のため、あの内容にあわせただけでしょうか。うそをついた日本人の例をならべて、日本人の問題として批判した本で、最後の章は、「知性の劣化と言論の危機―反知性主義と市場の徹底化はパラレルに進む」という主張へとすすみます。シフト 人生設計の可能な国に向けて(三木建著、出版文化社)に、「こうしたグローバル化に伴う国家や企業の外部的変容が人々の意識にまで悪影響を与え、多くの人々を判断しない、「考えない群集」へと変貌させてしまうということが、日本の将来を考える場合、実はとても恐ろしいことなのです。」とあることにも近いように思います。なお、「考えない群衆」ではなく、「考えない群集」ですので、気をつけてください。

さて、「「自分さえよければいい」「ウソをつくのが平気」という人」のお話は、ベストセラーになった平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学(M. S. ペック著、草思社)など、めずらしくありませんが、「その人たちとどうつき合えばよいのかをいっしょに考える」のは、価値があるでしょう。さらにいえば、そういったうそを、うそでないかのようにひろめて、うそに加担する人とのかかわり方も、加えてほしいと思います。キダの佐村河内批判の記事でも触れたような、Facebookでうその拡散を指摘されて抵抗するような人への対応は、Facebook自体はもう下り坂だとしても、SNSにありがちな現実ですので、「自分さえよければいい」「ウソをつくのが平気」の亜型として、論じてほしいところです。実際の発言とはやや異なりますが、「うそはうそであると見抜ける人でないと」として知られる名言以上のことはなさそうでしょうか。また、釣りなら釣りで、どのようにやり取りすれば、変にいらだったりはせずに、おたがいに大人として、わりきってたのしめるかも、興味があります。

釣りで思い出したのが、YOMIURI ONLINEにきょう出た記事、「発言小町大賞2014」に輝くトピは? 投票お願いします!です。皆さんはもう、投票をすませましたでしょうか。それとも、釣りのにおいの強いものが、あらかじめ排除されていて、つまらなくて投票する気になれませんでしょうか。

においで思い出したのが、その発言小町にきのう出た記事、不潔な中学生をどこまで許容するかです。本題もそうですが、私はむしろ、「その子が言うには、お母さんは電話には出ないとのことでした。なら何故電話番号を教えてくれたのかと尋ねたら黙ってしまいました。」とあるあたりが、ふしぎににおう気がして、気になっています。

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