生駒 忍

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買春した東大院生とイケアのカタログのCG率

きょう、msn産経ニュースに、東大院生、14歳少女を買春容疑 神奈川県警が逮捕 学歴自慢し買春後に数学を教える?という記事が出ました。ただいま、「事件」のランキングのトップにあり、多くのアクセスを集めています。

以前に、西川口強制わいせつ事件の記事を書きましたが、またも東大から、性犯罪者が出てしまいました。「3月26日午後1時半から27日午後0時ごろまでの間、自宅居室内で川崎市中原区の女子中学生=当時(14)=に対し、現金2万円を渡す約束をしてみだら行為」とのことで、「みだら行為」の定義にもよりますが、約22時間半とは相当なものです。それなのにたった2万円と思った人もいるでしょう。TBS News iにきょう出た記事、中学生にみだらな行為か、東大大学院生を逮捕によれば、「制服を着て自宅まで来るよう指示」しての犯行で、中原区からはるばるの出張に、交通費を別途支給したとも思えません。相手は中学2年生で、ものごとを知らないところにつけこんだのでしょうか。「買春行為後の27日、川崎市の喫茶店で女子生徒に数学を教えていた」ことまで足して計算するべきでしょうか。「東大院生であることを自慢する文章を女子生徒に送って」いたのは、数学を教われることの価値を高く感じさせるねらいだったのかもしれません。1年前に、女性が社会的ステータスを求めることの記事を書きましたが、東大の院生といっしょに喫茶店にということ自体も、被害者にとっては対価だったのでしょうか。トピックニュースにきょう出た記事、コスプレイヤー・うしじまいい肉氏、Twitterで茂木健一郎氏を「心根は腐ってる」と批判に登場する「女ポケモン」を思い出しました。

「容疑者が撮影したとみられる少女の裸の写真が複数見つかっており、同署で同法違反(製造)の疑いも」とあり、児童ポルノ・児童売春禁止法8条、「一年以上十年以下の懲役」の可能性も見えてきました。ここに関しては、TBS News iのほうでは「複数の子どもの裸の画像が見つかっている」とあり、同じことを指しているはずですが、印象が異なってきます。実際の画像が「少女」と「子ども」とのどちらに近いのかは、見ていないのでわかりませんし、事前にどちらの情報で聞いているかによっても、見たときの印象が変わるかもしれません。

画像の印象で思い出したのが、激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログにきょう出た記事、【イケア】、カタログ写真の75%がニセモノ!イケアカタログに新しい楽しみ方ができた?です。このブログはいつも、ニュースサイト記事のような文面ですが出典のわからない前半と、「⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。」から感想を言う後半とで1記事を組むパターンで、今回は先月に話題になった、イケアのカタログのCGのことです。奈良県介護講座の記事で触れたイケア効果の、あのイケアの話題で、今月に入ってから、IKEAのカタログの家具は75%がCGと、日本語で取りあげられて知った人もいるでしょう。例によって、どこから持ってきた話題なのかが不明な前半ですが、インタビューの部分は、PetaPixelの記事、When You Flip Through an IKEA Catalog, 75% of the ‘Photography’ You See is CGIにあるものと同じです。内容に、ローゼンハン実験を連想してしまいました。そして、気になったのは、割合です。あちこちで75%という数値がひとり歩きしているようで、英語サイトだけでなく、ここも先ほどのGigaZiNEも、UnWireの宜家傢俬產品目錄的照片,有 75% 原來都是 CG!も、はっきりそう書いています。ですが、PetaPixelの記事によれば、このインタビュイーは「about 75% of all IKEA product images are CGI」としたそうで、ぴったり75%ではない可能性が高そうです。割合がきりのいい数値で書かれた場合は、正確性よりも見やすさ、わかりやすさを優先したものであることが多く、注意が必要です。きょうの日本経済新聞夕刊のあすへの話題ではありませんが、ものごとは張りつめすぎずアバウトでよいとも思いながらも、私は気になってしまうほうです。そういえば、日刊SPA!にきのう出た記事、デング熱よりも怖い!? マダニが介する致死率33%の感染症は、CC-BY-3.0と思われる画像が、トリミングを加えたSPA! 9月9日号(扶桑社)の23ページと同様にだまって使われたことも気になりましたが、割合も注意を引きました。およそ3分の1くらいと書かれた資料から、33%に読みかえてしまったのかと思いましたが、「患者数85人、うち26人が死亡」とはっきりあり、割ると30.6%です。佐賀新聞LIVEの、これに数時間遅れて出た記事、マダニ感染で唐津市の女性死亡の1名を足すと、31.4%へ上がります。厚生労働省が出した重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の国内での発生について(情報提供及び協力依頼)の別添2にある致死率の、「約」の範囲内でしょうか。

さて、アメリカ小売業ブログの記事は、「カタログ画像がCGかどうかは大きな問題ではない」という立場です。また、2枚のカタログ画像を示して、「これらの画像がCGと言われてもわからない。」と主張します。ですが、少なくとも1枚目は、言われずに気づくのはむずかしくても、言われたら気づいてよいレベルだと思います。まん中に、明らかにおかしなものがあります。奥のいすはミスでしょう。「リアルな質感を表現するために、光の屈折をコントロールできるVレイ(V-Ray)という技術を取り入れて描写している」という説明が引っかかった人もいると思いますが、まるで屈折をかけすぎたようです。あるいは、画面右下、手前にある植物のピントのぼけ方も、写真とは印象がまるで違います。何ごともきちんとしてしまうコンピュータは、自然なぼけが苦手なのです。そういえば、理系のための恋愛論 Season 09 あなたは空気が読める人ですか(酒井冬雪著、マイナビ)には、「ドジでも抜けているところがあるわけでもなく、しっかり者で頼もしいタイプの男性は、どうしてもボケとツッコミのボケにはなりにくいものです。」とありました。

趣味へのお金のかけ方と女子高生起業家の感覚

きょう、日経電子版に、お金はかかるが…趣味があれば仕事もがんばれる 趣味の持ち方(1)という記事が出ました。

世の中には、趣味は何かと聞かれて答えに困る人がいます。月刊カラオケファン 2013年11月号(ミューズ)の、川野夏美のまんがの世界です。この筆者は、そうではなさそうです。「筆者は毎月25冊くらいマンガを買う趣味(コミックレビューの連載もやってます)と、ブラタモリ的な街歩きの趣味(東京スリバチ学会員です)があります。」とのことです。前者については、つくるほうではないのはわかりますが、読むのが趣味ではなく、「買う趣味」と書かれたのが興味深いところです。買い物依存や、共感する女脳、システム化する男脳(S. バロン=コーエン著、NHK出版)でいう「男性型の脳」による体系的な収集でしょうか。ですが、レビュー活動の提示で、きちんと読んでいることがアピールされますし、「毎月25冊くらい」という安定したペースともなじみにくいでしょう。お金を使うことの記事なので、そうわかりやすいように書いたのでしょうか。

「車やバイクにお金をつぎ込んだり、ギャンブル(競馬等)やたばこなどに毎月1万円以上つぎ込むのも社会人ならではの特権です(個人的にはおススメしませんが、自分の好きなことにお金を使えばいいのです)。」、社会人が社会の中心と考えれば「特権」というのは奇妙ですが、使えることはそのとおりです。それで思い出したのが、アクリフーズ群馬工場農薬混入事件の犯人です。このライン工は、改造スクーターに100万円以上を投じたとされ、ONE PIECEのコスプレで、群馬のあのあたりでは有名人だったそうです。ですが、FRIDAY 8月22・29日号(講談社)では、コスプレにはまったのは「息子の影響なんだよね。」としていて、「自分の好きなこと」からではなかったようです。

「今までできなかった趣味について、世界を広げることはすべての社会人が意識してみるべきテーマです。」「実はやってみたかった……」という趣味ほど、あえて飛び込んでみることをオススメします。」、同感です。もちろん、手を出してみたらイメージと違った、それほどおもしろくなかったということもあるでしょう。ですが、それを体感できたことはひとつの収穫です。さらに、映画を見ると得をする(池波正太郎著、新潮社)の、つまらない映画からも楽しみを見いだせるような視点が身につけば、収量はさらに増やせます。お金は出ても、「予算管理を意識しながら楽しむ趣味」、「バランスのとれたつきあいかた」の範囲でなら、問題ないでしょう。2分ではじめる100万人の信長の野望(イースト・プレス)は、いくさは時の運、負けたときの損害を考え、兵力は多すぎず少なすぎずでとアドバイスします。

ですが、リスクを取るというと大げさに聞こえますが、そういう挑戦をはじめから忌避する人が相当数いて、見えにくい問題になっているという指摘があります。たとえば、現代ビジネスにきょう出た記事、個人消費低迷に打開策はあるか!? 日本中に蔓延する「失望最小化戦略」についてです。ここでは、「動く人」と対比するかたちで、「動かない人」と表現されています。「成長することが好き」、こんなことは誰でも当然だと思いがちですが、あくまで「動く人」のほうの特徴なのです。「「動かない人」は成長することが好きでもなく」「非常に保守的な人生観」、「儲かって得をすることよりも損をしない事のほうが大事。」、「重要なのは、消費をしないことと貯金をすること」ときます。「おそらく今がベストで、これから少しずつ悪くなるだろう。」という信念で、人生をかけて予言の自己成就に取りくんでいるようです。それで思い出したのが、日経電子版の記事、「なぜ今やらないの?」 女子高生起業するです。「自分が若くして起業して成功したら、みんなが夢を持つきっかけになるんじゃないか、ということも使命感として持っています」、起業は「『ちょっと渋谷に行ってこよう』くらいの感覚でした。」、「ただ、人として、経営者として、丸くなりたくないということは譲れません。ずっと新しいチャレンジをし続けていきたいですし、ヨボヨボのおばあちゃんになっても失敗しているような人でいたいですね」、あまりに対照的です。

アイスコーヒー好きの健康意識と澤田洋史

きょう、エンタメウスに、【注文の際には気をつけて】コーヒーだけで性格が見抜かれるらしいという記事が出ました。

内容は、1年近く前にMailOnlieに出た記事、What does your coffee say about you? Cappuccino-lovers are more likely to be obsessive – while latte drinkers try to please othersからの抽出のようです。オリジナリティがあるのは、最後の1文のみと言われそうですが、これも要注意です。「カフェラテとカプチーノの違いが泡の量であるということ」、誤解をまねきそうです。ミルクフォームの増減があれば、それだけほかにトレードオフをおこすので、泡だけが異なると考えるとおかしくなります。ロケットニュース24に2年半前に出た記事、【豆知識】カフェラテとカプチーノとカフェオレの違いが一発でわかる動画を思い出しました。なお、コーヒーなのでまさに「豆」知識だったこの記事は、「TULLYSCOFFEEJAPAN」の動画が非公開にされたことで、その概要を公開しつづける役目を負うことになりました。

あるいは、画像の使い方のオリジナリティも見るべきだという声もあるでしょう。インスタントコーヒーだけ、写真ではなくクリップアートなのは、MailOnlineのほうでコメントをつけたStephanieという人に近い考えを表現したのでしょうか。また、冒頭で、左下にクッキーが写った画像が2回登場して、同じものをくり返すのは無意味だと思った人もいるかもしれません。ですが、無意味かどうかはともかくとしても、同じ画像のくり返しではありません。きちんと見ましょう。

あとは要約といえますが、気になるところもあります。「アメリカのある心理学者」とあるのは、照明色の心理実験の記事で触れた武田邦彦のトリックパターンを思わせることもあり、名前くらい出したらどうかと思いましたが、Ramani Durvasulaのカタカナ表記に自信がなかったのでしょうか。研究手法が書かれないのも落ちつきませんが、MailOnlineは「observational study」としながらも、場面想定法のような手続きを述べていて、疑問がありますので、筆者も困惑したのだと思います。

「アイスコーヒー(甘め)」を選ぶ人は「健康に全く気を使わない。」、これは大胆を通りこして、誤訳の部類でしょう。次の文に「無謀なこうどうを取る」とあるのも、どうこう言いたくなります。ですが、非の打ちどころのない完璧なものは、なかなかできないものです。そういえば、珈琲時間 2013年11月号(大誠社)には、あの澤田洋史が1回、すべて完璧な1杯に達したお話がありました。

消費者問題の苦しみと体重を気にしないモデル

きょう、OKWaveに、寝てる時以外は、頭から離れないという質問記事が出ました。

タイトルからすると、常に頭からはなれずに苦しんでいるわけではなく、おそらく1日の3分の1くらいは、はなれているということになります。ですが、常盤大学講演会の記事でも名前を出したSFAの視点で、この例外から介入するのは、やりにくそうです。また、本質的な問題は、頭にずっとあること自体ではないでしょう。さらにいえば、後で思い出せないだけで、眠っている間でも、毎晩何度も夢を見ている中で、頭に浮かぶこともありそうです。それが強い悪夢となって目がさめてしまう展開にまでは、届いていないのでしょう。そういえば、眠りと夢のメカニズム なぜ夢を見るのか? 睡眠中に脳が育つのか?(堀忠雄著、ソフトバンククリエイティブ)は、「おそろしい夢が始まり、間違いなく悪夢へと変化していくことに気がついたら、夢のシナリオに介入し、楽しい夢に書きかえてしまおうという」研究を紹介していました。一方で、smart 2014年10月号(宝島社)は、悪夢を見ることによい側面がある可能性にも触れています。

さて、さっそく回答がついて、それに対する返答が、特徴的です。有利と思われる指摘よりも、半数あるという不利と思われる指摘のほうに、バイアスをかけているようです。防衛的悲観主義でしょうか。そうでしたら、本人のためにはそう悪い状態ではありませんので、安易に気持ちを変えさせようとはしなくてよさそうです。ですが、まわりは巻きこまれまでいかなくても、苦しいものです。ももクロ流 5人へ伝えたこと 5人から教わったこと(川上アキラ著、日経BP社)で高城れにが、「今は人の話も全然気にならないし、いいことしか聞かない(笑)。」と言い、ST MODELS SUPER BODY BOOK(集英社)で岡本杏理が、「体重を気にすると暗い気持ちになるだけだから、今は気にしない(笑)。」と言うくらいのほうが、別の意味で心配ではあっても、まわりは楽なのです。

音楽の世界の「見下し現象」と仮想的有能感

きょう、トゥギャッチに、「NO ミュージック NO見下し」 音楽の世界に蔓延る「見下し現象」とは…?という記事が出ました。

作品のタイトルがおかしいと思う人もいるとは思いますが、メッセージのわかりやすい作品です。ツイートで補足されたように、EXILEファンを持ちあげたいわけでもありません。小林よしのりが使いそうな、見くだす側が底意地悪い顔に化ける表現をとらないのも、好感がもてます。

下ネタの品格(文藝春秋)で石田衣良は、「八〇年代のどこかから、日本人が自分と他人をすごく比べるようになった。」としましたが、こういう見くだしの感覚の発生は、興味深いところです。昔から、音楽のよしあしをめぐるあらそいは、ワーグナー派とブラームス派の対立だったり、クラスがアリス派とオフコース派に分かれてというものなど、めずらしいことではありません。ですが、このまんがが取りあげたパターンでは、音楽そのものよりも、それを聴く人の格の上下が問われます。しかも、「上」を取りあってきびしく衝突、切磋琢磨しあうのではなく、上だと思うほうが下を見くだすという、一方通行の展開をとります。ファンがさらに高みをのぞむのではなく、よそを下に見て高さに満足すると思われるかたちは、仮想的有能感の心理学 他人を見下す若者を検証する(速水敏彦編、北大路書房)を思わせます。

そこと関連しますが、「下」に見られたほうが、それがいやなのでしたら、より上へと上がるのが順当な解決策なのですが、そういう努力には向かわなそうなのも、特徴的です。自分が好きな対象に、見くだされないようなより上の音楽性を要求するか、ですが対象がそう変わるとは考えにくいので、現実的には自分がより上のものへ乗りかえ、上がっていくのが、解決への道です。もちろん、下ではないはずなのになぜか見くだされたのであれば、反論して正すか、あるいは、上下が理解できていない人が本質的に下なのは明らかですので、あわれみの目で見るだけのことです。そのどれもせずに、最後のこまの「だから音楽の話したくない!!」という退却、鎖国へと向かいがちなのは、なぜでしょうか。