生駒 忍

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趣味へのお金のかけ方と女子高生起業家の感覚

きょう、日経電子版に、お金はかかるが…趣味があれば仕事もがんばれる 趣味の持ち方(1)という記事が出ました。

世の中には、趣味は何かと聞かれて答えに困る人がいます。月刊カラオケファン 2013年11月号(ミューズ)の、川野夏美のまんがの世界です。この筆者は、そうではなさそうです。「筆者は毎月25冊くらいマンガを買う趣味(コミックレビューの連載もやってます)と、ブラタモリ的な街歩きの趣味(東京スリバチ学会員です)があります。」とのことです。前者については、つくるほうではないのはわかりますが、読むのが趣味ではなく、「買う趣味」と書かれたのが興味深いところです。買い物依存や、共感する女脳、システム化する男脳(S. バロン=コーエン著、NHK出版)でいう「男性型の脳」による体系的な収集でしょうか。ですが、レビュー活動の提示で、きちんと読んでいることがアピールされますし、「毎月25冊くらい」という安定したペースともなじみにくいでしょう。お金を使うことの記事なので、そうわかりやすいように書いたのでしょうか。

「車やバイクにお金をつぎ込んだり、ギャンブル(競馬等)やたばこなどに毎月1万円以上つぎ込むのも社会人ならではの特権です(個人的にはおススメしませんが、自分の好きなことにお金を使えばいいのです)。」、社会人が社会の中心と考えれば「特権」というのは奇妙ですが、使えることはそのとおりです。それで思い出したのが、アクリフーズ群馬工場農薬混入事件の犯人です。このライン工は、改造スクーターに100万円以上を投じたとされ、ONE PIECEのコスプレで、群馬のあのあたりでは有名人だったそうです。ですが、FRIDAY 8月22・29日号(講談社)では、コスプレにはまったのは「息子の影響なんだよね。」としていて、「自分の好きなこと」からではなかったようです。

「今までできなかった趣味について、世界を広げることはすべての社会人が意識してみるべきテーマです。」「実はやってみたかった……」という趣味ほど、あえて飛び込んでみることをオススメします。」、同感です。もちろん、手を出してみたらイメージと違った、それほどおもしろくなかったということもあるでしょう。ですが、それを体感できたことはひとつの収穫です。さらに、映画を見ると得をする(池波正太郎著、新潮社)の、つまらない映画からも楽しみを見いだせるような視点が身につけば、収量はさらに増やせます。お金は出ても、「予算管理を意識しながら楽しむ趣味」、「バランスのとれたつきあいかた」の範囲でなら、問題ないでしょう。2分ではじめる100万人の信長の野望(イースト・プレス)は、いくさは時の運、負けたときの損害を考え、兵力は多すぎず少なすぎずでとアドバイスします。

ですが、リスクを取るというと大げさに聞こえますが、そういう挑戦をはじめから忌避する人が相当数いて、見えにくい問題になっているという指摘があります。たとえば、現代ビジネスにきょう出た記事、個人消費低迷に打開策はあるか!? 日本中に蔓延する「失望最小化戦略」についてです。ここでは、「動く人」と対比するかたちで、「動かない人」と表現されています。「成長することが好き」、こんなことは誰でも当然だと思いがちですが、あくまで「動く人」のほうの特徴なのです。「「動かない人」は成長することが好きでもなく」「非常に保守的な人生観」、「儲かって得をすることよりも損をしない事のほうが大事。」、「重要なのは、消費をしないことと貯金をすること」ときます。「おそらく今がベストで、これから少しずつ悪くなるだろう。」という信念で、人生をかけて予言の自己成就に取りくんでいるようです。それで思い出したのが、日経電子版の記事、「なぜ今やらないの?」 女子高生起業するです。「自分が若くして起業して成功したら、みんなが夢を持つきっかけになるんじゃないか、ということも使命感として持っています」、起業は「『ちょっと渋谷に行ってこよう』くらいの感覚でした。」、「ただ、人として、経営者として、丸くなりたくないということは譲れません。ずっと新しいチャレンジをし続けていきたいですし、ヨボヨボのおばあちゃんになっても失敗しているような人でいたいですね」、あまりに対照的です。