生駒 忍

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性欲を刺激する料理まんがと博多の性暴行の店

きょう、ダ・ヴィンチNEWSに、女子高生がラーメンをすする姿がやたらエロい! 新しいラーメンマンガ登場という記事が出ました。

「しかし、実はラーメンマンガほどエロと相性のいい料理はないのだ。その理由を、『ラーメン大好き小泉さん』から紹介してみよう。」と、かなり筆がはずんだ印象です。そして、しぐさ、オノマトペ、表情の表現が語られ、最後の段落では、「美味しいラーメンを食べて満たされたときの表情が、性欲が満たされた時と同じくらいエロく見えるのは、ある意味当然なのかも」とします。文体はともかくとしても、この視点はどこかで見おぼえがあると思い、思い出しました。同じくダ・ヴィンチNEWSにおととい出た記事、エロ漫画? グルメ漫画? ご飯を美味しそうに食べる女子はカワイイ(迫真)が、取りあげた作品こそ別ですが、同じような観点なのです。「ロストゲイン効果」の記事で取りあげた新近性効果のことを連想しましたが、こちらはそこまで大きなサイトではなく、しかもこの間隔ですので、もう少し気をつけてもよかったのではないかと思います。ダ・ヴィンチNEWSには、1年半前までさかのぼると、最近の料理マンガがエロマンガ化している!?という記事もありました。それでも、救いなのは、きょうの記事のほうが、やや下品ですが、とても具体的で、主張がわかりやすいことです。おとといのものは、文学的に書いたつもりでいるのかもしれませんが、「エロ漫画?」と論じたいはずのところがぼんやりして、見えにくく感じました。最後も、きょうのほうは、「ラーメン好きの男性にとっては、これからラーメン屋に行く楽しみがひとつ増えるのでは?」と、そのままの品位で終わりますが、おとといのものは、「気軽に読める4コマストーリーですが、夜中に読むことだけはお勧めしません。」と、気のきいたかたちです。いわゆる「飯テロ」は、夜おそくには特に、暴力性の牙をむくのです。

それで思い出したのが、NEWSポストセブンにきょう出た記事、博多・ワッフル店集団女性暴行事件 容疑者3人の人物像とはです。あの事件は、真夜中でも「ファンシーな店構えのスイーツ店」が開いているという、博多は大都会なのだと思わせるところで起こりました。その犯人や犯行の舞台を取りあげたもので、「「数年前に大麻取締法違反で有罪判決を受けた経歴があったことから、今回の事件も薬物絡みの可能性が浮上している」(捜査関係者)という。」ともあります。また、逮捕された3人を知る人が、「天神の店は、ワッフルを売るというよりも仲間が集まって飲んで遊ぶための店という感じでした。」と証言しています。フランスに残る、世界最古とされるワッフルのレシピは、生地にワインを入れるものだったとはいっても、問題の店は、たとえばワッフルエムズの記事で紹介したような、今日の一般的なワッフル屋とは、まったく異なる感覚のようです。そして、「ナンパ感覚で客引き」、「その悪ノリが過ぎたのが今回の事件だと思います」としていますが、「面識もない女性客にいきなり襲いかかるという卑劣な行為はとても「悪ノリ」で済まされるものではない。」とする、筆者の評価に同感です。のりで思わずというよりも、8年半前にあった、大阪のステーキ屋の事件を参考にした、一定の計画性をもつ犯行のような気もしますが、どうでしょうか。そういえば、グリーンディール 自由主義的生産性至上主義の危機とエコロジストの解答(A. リピエッツ著、藤原書店)には、「数年前からフランスでは、「計画」が増えている。」とありました。

映画を見ることのメリットと魔法シーンの効果

きょう、IRORIOに、【ジャンル別】映画を見ると得られる5大メリットという記事が出ました。

タイトルからはやはり、映画を見ると得をする(池波正太郎著、新潮社)を連想しました。ですが、その本や、文学を読むことの意味の記事で取りあげたものとは異なり、こちらはすべて、実証研究にもとづくようです。そして、内容は海外サイトの記事の要約ですが、その手のものでは異例の、「出典元」が5件もある合わせ技です。ですが、タイトルの表記がおかしくなっているもののほうが多数派です。3番目は、日付と思われる表記もくずれていて、DVの実態と法の記事で触れた、100年のずれを思わせるところもあります。

5番目の、魔法のシーンの効果は、ユニークなものです。つい、まねして魔法の力を借りたいと思ってしまいますが、おとなが同じように見ても、頭の器用さを発揮させる力は、あまり出ないような気がします。そういえば、SOFT TENNIS MAGAZINE 2014年12月号(ベースボール・マガジン社)のまんが「グリップ!」では、青柳が「器用さだけで何とかできるのは小学生までよ」と言っていました。

過剰テロップ事件と今ここでわかりたい欲求

きょう、秒刊SUNDAYに、犯人はヤス!昨日の「過剰テロップ事件」で日テレに非難殺到という記事が出ました。

「昨日日テレの金曜ロードSHOW!で放送された「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」において衝撃的な事件が発生した。」とありますが、映画のストーリーの中の事件ではありません。「左上に表示されている番組テロップに壮大なネタバレが記載されていた」という、電波にのせた日本テレビが起こしたものです。「最後の一撃」ものの記事で触れたように、ねたばれのたぐいは荒れる話題になりがちです。人間はわかることを好む一方で、誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか(G. エインズリー著、NTT出版)が生物学的基盤を論じたように、むしろ意外性や、間接性の遠まわりも報酬となるのです。なお、その本自体も、順当には進んでいかない意外性や遠まわりを地でいくような手ごわい本で、読者を選ぶかもしれません。

「一般的にかが得ればこのような表記はあえて伏せておくのだが、最近では「わかりやすさ」や「概要をすぐに把握させる為」か、あえて記載しているのかもしれない。」、そのとおりだと思います。月刊J2マガジン Vol.1(ベースボール・マガジン社)で、柱谷哲二が、テレビのサスペンスは映像があるので犯人がわかりやすいと言っていましたが、今日のテレビは、わかりやすさの優先が、あまりに強すぎてはいませんでしょうか。テレビを見ているのが理解力の低い層にかたよってきたのか、スマートフォンなどの使用と並行しての、ながら視聴が楽にできるような親切設計なのか、背景が気になるところです。あるいは、テレビの中だけでなく、いまの人の全体に、すぐわかることへの志向が強くなっているようにも思います。教育研究 2007年11月号(不昧堂出版)で向山行雄は、東京都の小学生調査の知見から、「児童は教師にていねいに教えてもらうことを期待しているのであり、教えてもらっても分からないことを後からまた指導してもらうことはあまり望んでいない」と指摘しました。どちらでも大差ないように見えるかもしれませんが、これはつまり、いま、ここでわかることの欲求であって、あとからわかるのは別にいらないということです。むずかしい本が売れないと言われて久しいですが、こういう時代では、無理もないでしょう。何度も読みかえしてだんだん見えてくるよろこび、むかし読んでまったく意味がわからなかったものをまた読んで、前よりはわかると気づく成長のよろこびにも、気づけるような機会をつくりたいものです。

「人生一度きり」の裏と自分から動けない人

きょう、Menjoy!に、地雷ぼーん!付き合ったら苦労しまくり「浪費家男性の口癖」3つという記事が出ました。「ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子さんに、浪費家男性の口癖を聞いて」、「相手の深層心理を探ってみる」ことをすすめるものです。

まず、「人生一度きり」です。「なんだか、すごくポジティブシンキングでいつでも全力で生きているというイメージのあるこの言葉ですが、実は“今がよければすべてよし”という考えの裏返しかもしれないですね。」、同感です。少なくとも、来世を信じ、来世のために努力する信仰とは無縁の人でしょう。ポジティブシンキングが実はポジティブではない現実には、ピグマリオン効果とポジティブシンキングの記事でも触れましたし、最近ではたとえば、小二教育技術 2014年11月号(小学館)で田中ウルヴェ京が、「ポジティブになっても結果は出ない」と指摘しています。

次は、「これは俺にとって大切だから譲れない」です。「趣味やギャンブルにお金をかけ、たしなめても言い訳をして流す癖がある場合も」、これは手ごわいパターンです。通勤電車での恋の記事で取りあげたような、強力な学習が成立してしまっているなら、説得はとてもむずかしいです。また、「俺にとって大切だから」は、主観の世界に持ちこんで客観的な指摘を無効化してしまいますし、ベビーカーの外部不経済問題の記事で触れた「必要」「必需品」に近いあつかいにくさを生みます。

そして、「誰かが助けてくれるでしょ」です。これも、みごとなポジティブシンキングです。「日ごろから特に何も考えずに、なんとかなるだろうと思っている人は、本当にピンチになったときに、自分から動けない人なのかも」、その可能性は高いでしょう。だれかがどうにか症候群 現代人を理解する新しい視点(頼藤和寛著、日本評論社)が、その蔓延と対処を論じていたのを思い出しました。

超ミニでの主演と明るい色を着たい有村架純

きょう、シネマトゥデイに、有村架純、超ミニスカ金髪ギャルに挑戦!ベストセラー「ビリギャル」映画化という記事が出ました。『ビリギャル』とその男性版の記事でも、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話(坪田信貴著、KADOKAWA)を取りあげましたが、その映画版で、有村架純が主演するそうです。

「劇中、超ミニスカートの金髪ギャル役に挑戦する有村は、これまでのイメージを覆す役どころに「ドキドキしていますが、撮影を楽しみにしています」と語っている。」とあります。もう、緊張しているのでしょうか。FLASHスペシャル グラビアBEST 秋号(光文社)では、「直前にならないと緊張しないタイプ」と言っていたので、さっそく撮影に入るのかもしれません。

「主演の有村は、原作本の表紙でも強烈なインパクトを残す金髪ギャルの主人公さやかに変身。」、まだ誤解している人がいたようです。表紙のインパクトは同感ですが、あのモデルは別人で、石川恋という、本職のモデルです。これが、Amazon.co.jpでの、ひどい評価の一因にもなっています。

「NHK連続テレビ小説「あまちゃん」やヒロインの声を担当したアニメ『思い出のマーニー』など、清純派なイメージの強い役柄が多かった彼女が、素行不良のギャルをどのように演じるのか、注目を浴びることになりそうだ。」、同感です。同じく「あまちゃん」で売れた能年玲奈が、そのイメージをこわすようなホットロードの主演に挑戦したことを連想しました。有村は、これで幅のひろさをみせて、女優としての地位をつくることになるでしょうか。それとも、無理がすぎて、ファンも自分も見うしない、遭難してしまうでしょうか。そういえば、スノーボーダーズカタログ14/15 SNOW ANGEL(日之出出版)で、表紙にも登場した有村は、「もし私が今ゲレンデで着るなら、遭難したくないので見つけてもらえるように明るい色を選びます(笑)。」と言っていました。