生駒 忍

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「ロストゲイン効果」と新聞投書で定番の若者

きょう、マイナビウーマンに、第一印象で失敗したな……と感じたら「ロストゲイン」という記事が出ました。

同じくマイナビウーマンに1年前に出た記事、第一印象で失敗しても、第二印象でリベンジする親近効果の心理テク「丁寧なメールをする」と同じ関心で、内容は別ものです。新近性効果を指したつもりでの「親近効果」など、疑問のある表記もありましたが、前のもののほうが、ていねいに書かれた印象です。

今回の記事は、「人見知りの人にとっては」という角度から導入されます。少し前に、人見知りを宣言する効果の記事を書きましたが、そこでの3点目にやや近い、評価の基準に関連する現象を取りあげます。「そんなときにぜひ利用したい心理テクはコレ、「ロストゲイン効果」です。」とのことで、「日常生活のいろいろな場面に潜んでいる」そうですが、心理学のテキストをひっくり返しても出てこない名前です。

「少女漫画の王道で、「不良っぽい少年の意外な優しさに気付いたヒロインが、思わぬ恋に落ちてしまう」というストーリーがあります。」、こういうパターンは、ノンフィクションでもよく見かけるものです。新聞投書の定番テンプレートに、公共の場で席をゆずられた、荷物を持ってもらった、いまの若い者も捨てたものではないというものがあります。あの手の投書では、親切をするのは茶髪の青年で、この表現は使われませんがヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体(原田陽平著、幻冬舎)でいうマイルドヤンキーらしく、ですが大声で傍若無人にふるまうグループでもない事例ばかりなのが、私は気になってしまいます。アニメ絵の紙袋をかかえていたり、ときどき笑い声をもらしながらまんが雑誌を読んでいたり、そこにいない人とでさえない純粋なひとりごとをくり返していたりする若者がという投書は、まず見かけません。ごくふつうにあることで、わざわざ書きたくなるできごとではないのでしょうか、それとも、ほとんどありえないことなので投書されるはずがないのでしょうか。あるいは、新聞社のデスクが、マイルドヤンキーのお話ばかりをほしがるのでしょうか。

「ロストゲイン効果には、実は真逆の効果も存在します。第一印象で成功した人が、その後悪い印象を与えてしまうと、その悪いイメージが増幅されてしまうことを言います。」とのことで、こちらの効果には名前が出てきません。何と呼べば、「ロストゲイン効果」の逆にふさわしいものになるでしょうか。

「効果的にこのテクニックを使うことが出来れば、気になる彼との距離も一気に縮められるのかもしれません。」と締めています。ですが、この書き方では、できそうにないというあきらめのようなものを感じてしまいます。一文字縮めて、「縮められるかも」と書いたほうが、印象がよかったと思います。