生駒 忍

記事一覧

注意欠如・多動性障害の無料講座と〆切延長

きょう、丹波新聞のウェブサイトに、発達障害学ぶ 受講生を募る 初回は11月9日という記事が出ました。

主催団体名は、生涯学習応援隊 so-so.39ですので、少し書きたりません。点のあつかいがうまくできないのでしょうか。「注意欠如、 多動性障害に関わる保護者や教師が対象。 」とあるのも、おそらくは精神神経学用語集 改訂6版(日本精神神経学会・精神科用語検討委員会編、新興医学出版社)で変更された訳語、注意欠如・多動性障害のことだと思います。DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引(医学書院)では、「注意欠如・多動症」との併記になっています。

「初回は11月3日、 2回目は11月30日、 3回目は1月10日、 締め切り。」とあります。すると、初回の〆切は、当初発表から3日の延長となったようです。

フロイトの聖なる数と「困ったちゃん」解説本

きょう、産経ニュースに、片田珠美(111)3つに分ければうまくいく 「3」が神聖な数なワケという記事が出ました。

フロイトを引いた上で、「3という数に私の思い入れが強いのは、職業柄、患者さんに病気の原因や治療法を説明する機会が多く、その際、3つくらいに分けて説明するのが一番おさまりがいいからかもしれない。」と、神聖とも魔よけともいいにくいところで、3のよさが論じられます。これは、高岡法科大生の名所アピールの記事で触れた、「三大○○」などとかかわる3のわかりやすさや、錯覚の心理トリック(清田予紀著、三笠書房)が、短期記憶の容量が3から4だとして、「3点ルール」のよさを論じたことにも近いでしょう。

「今年のノーベル物理学賞は、青色発光ダイオード(LED)を開発した日本の3氏に贈られることになった。」と、出おくれに見える話題から書き出して、「光の三原色」から3という数のお話に持ちこみ、「3というのは、あれが1つと、あれが2つで計3つね」と、文字にしにくいことまで書いていったことについて、3ページ目でねらいがわかります。「というわけで、このたび、プライドばかり高くてはた迷惑な「困ったちゃん」を3つのタイプに分けて、どんなふうにつき合えばいいのかを解説した本を出しました。」というわけで、プライドが高くて迷惑な人(片田珠美著、PHP研究所)の紹介となります。「精神科女医のつぶやき」シリーズは、この記事で111本目と、1が3本立ちならび、掲載もきょう、11月1日と、タイミングもみごとです。

東大経済学部「L型大学」説と移民不要論批判

きょう、zakzakに、東大経済学部は「L型大学」ではないか 無意味な経済理論を教える教員も…という記事が出ました。

「文部科学省の有識者会議における経営コンサルタント、冨山和彦氏のプレゼンテーション資料がネット上で話題になっている。」、これはそのとおりです。私はその、「ネット上で」になる背景に、関心があります。大学は、ネットの外に実在するものですので、その本質にかかわる事象が、ネットの中でばかり話題になるのは、ふしぎに思えます。圧力団体が背後にひかえている、マスコミが取りあげられないようなタブーとも思えません。むしろ、政府批判、安倍たたきの材料に使いたくなってもよさそうなのですが、教育はうちわよりも軽いのでしょうか。

「L型大学の教員」として行っている、「エクセルを使った課題や簿記・会計を使った説明」の価値が説かれます。「実はこれで、高度な話もできる。人口増加率と経済成長には何の関係もないこともわかる。」とのことです。これとぴったり対応するわけではありませんが、関連する話題として、移民政策をめぐる議論があります。DMMニュースにきのう出た記事、May_Romaの打倒宣言「移民不要論」をぶっ壊せ!も、人口問題から移民肯定の主張をすすめています。めいろまと移民という組みあわせに、月形半平太さんtsukigata1の「「おにぎり作りなんて移民にやらせろ」 結論 移民であるメイロマが握れ。」を思い出した人もいると思いますが、「移民不要論というのはで「日本にガイジン労働者を入れると犯罪が増えたり、生活保護が増えたり、外国語の看板が増えたりするし、ゴミ捨て場のルールを守らないから争いが増えるし、ガイジンが増えるから日本が乗っ取られて日本じゃなくなる!」という妄想のことを指します。」と、ふしぎな定義づけから入ります。「まず第一に、高齢化は移民を必要とします」、これはベビーカー問題の記事で触れたような、「必要」のとり方によるでしょう。「第二に、出生率が改善しないので働き手が減ります。」、その「改善」とは、合計特殊出生率が2.07を上回ることでしょうか。現在の出生率とのギャップを埋めるのだとしたら、毎年どれだけの移民をとることになるか、計算してみてください。「年金の運用成績は微妙で、過去の予測で今後やっていける可能性は高くありません。」、その気持ちはわかります。YOMIURI ONLINEにきょう出た記事、年金運用、国内株に25%…国債中心から転換にあるように、これからは積極運用で改善も期待できますが、こうなると必ず、株は損をするから反対と批判する人が出てきます。証言会社にだまされて大損したなどという人ならまだわかりますが、一度も買ったことがない人も多いようです。株は、買われればそれだけプラスの影響があるので、一般の人も年金の運用成績に、かんたんに寄与できる特徴があります。もちろん、ひとりひとりはわずかではあっても、選挙の投票よりは確実です。選挙では、条件に届く数が集まらなければ死票で、努力はすべてむだになりますが、株ではわずかからでも確実に、プラスの影響をつくり出せます。あきらめずに1票をと呼びかける人には、その感覚でもっと確実な、未来に関与する手段も呼びかけてほしいと思います。「第三に、激変している世界の中で日本の経済力を維持したいなら、多様な人を受け入れて創造性を高めるために移民を入れなくてはなりません。」、ここが筆者の主眼のようで、さまざまな論証が展開されます。ですが、シリコンバレーの例は、ここでの話題には適切ではないでしょう。世界中の優秀な人々が、移民のハードルさえ下がれば飛びこみたいと願うような、シリコンバレーに匹敵するところが、日本にどれほどあるでしょうか。最後に、「移民様は日本人ではないので野球もパチンコも競馬もソープも興味がありませんので、あなたは職場でスワローズの話をしなくて済むのです。」と、人種に関する差別的な決めつけがあるのは、蛇足でしょう。そして、「妄想」への反証はないままだったのも、気になりました。「犯罪が増えたり、生活保護が増えたり」も、今まで日本はそうしない人ばかりだったので、増えるのも「多様性」だと考えるのでしょうか。「優秀な移民様に来て頂く」ならとてもありがたいことですが、フィルタをかけることが世界中どこでもうまくいかず、シリコンバレーは例外であって、アメリカまでも例外ではありません。SAPIO 2014年11月号(小学館)では、「アメリカは移民を受け入れることで発展したではないか、という人もいるだろう。しかし、いまやアメリカでも本当に優秀な人材は来なくなり、エクアドルやホンジュラスといった国々からただ食い扶持を求めるだけの不法移民が増えているのが現実だ。」と明かされ、一方で「いま中国では、『日本でタダで生活する方法』といった類いの本が売れていると聞く。日本に来て生活保護を受ける方法などが事細かに解説されているというのだ。」とあります。移民を増やしたい人は、そういう問題を封じるすぐれたフィルタのかけ方を提案すれば、支持を広げることができるでしょう。

さて、「米プリンストン大学に留学」して学んだことについて、「それから演繹(えんえき)されるのは、マネーを増やせばデフレ脱却もできるということだった。」として、アベノミクスがそれを支持しているように書いています。そこから、「やはりG型大学のプリンストン大のほうが正しかった。」と帰納するのは、大きく出た印象です。

「筆者は東大経済学部でさえもL型大学だと思う。無意味な経済理論を教えているばかりか、その社会活動には有害なものさえある。」、どうでしょうか。無意味な教育内容は、少なくとも外から見れば、G型のほうのイメージでしょうし、社会的によくない活動は、L型らしくもありません。むしろ、G型かL型かという二分法が無意味だと教えてくれているようにも思えます。

ロックスターの早死に傾向と中森明菜の転落

きょう、ウォール・ストリート・ジャーナル日本版に、ロックスターの「早死に」は事実、「27クラブ」は神話だが・・という記事が出ました。

最近ではカシュトゥンガ(水沢秋生作、祥伝社)にも登場しましたが、セイタカアワダチソウは、毒で勢力をひろげるものの、増えると自分自身の毒のために限界になることは、よく知られています。同じように、圧倒的なスターになるほど、スターとしての自分自身の影に圧倒されて、陰で苦しむとも言われます。大スターを雑草とならべるなというおしかりの声もありそうですが、すぐに、宮中侍従物語(入江相政編、角川書店)に登場する、昭和天皇の有名なたしなめも聞こえてきそうです。

「27歳というのはロックスターが早過ぎる死を遂げるリスクが最も高い年齢というのは音楽雑誌の通説だ。」、これに対して、「オーストラリアで新たな調査を行った研究者は、この説は合点がいかないと主張」、そして「平均死亡年齢は27歳よりもずっと上」、「ケニー教授は「27クラブという仮説は神話に過ぎない」と話す。」ときます。ですが、「27クラブ」に特異的にビッグネームがならぶことは事実でも、死のリスクが最高になるのは27歳だというのが、「音楽雑誌の通説」として存在するのでしょうか。やや、わら人形論法のような印象を受けます。また、それへの反証としても、平均値を出すより、最頻値を示したり、各年齢での死亡率の、一般人とロックスターとの対比を見たりするほうが、適切であったと思います。

それでも、早く亡くなる傾向自体は、まったくそのとおりです。「教授の研究は、ロックスターたちの早死について掘り下げて調査した最初のものではない」とあるように、すでに知見がありますし、よりくわしい分析も行われています。たとえば、ヤバい予測学 「何を買うか」から「いつ死ぬか」まであなたの行動はすべて読まれている(E. シーゲル著、CCCメディアハウス)にあるように、ソロ歌手とバンドメンバーとでは大ちがいで、前者は後者の倍も、早死にすることがわかっています。「音楽業界自体が極端な行動を支持しているところがある。」とありますが、協調しにくい、よくも悪くも強い個性とも関連するでしょう。また、おそらくはそれ以上に、グループにいることで得られるソーシャルサポートの有無が、大きいはずです。「自殺は3倍」を減らす効果は、確実にあると思われます。もちろん、そのサポートの質は、グループの質にもよるでしょう。そういえば、BUBKA 2014年10月号(白夜書房)で、AKB48の木﨑ゆりあが、SKE48ではだれかがいないと気にするが、AKBではそうではないと指摘していました。

最後に、「教授は、一般人が才能を競うテレビ番組は特に懸念すべきだと指摘する。」とあります。「子供でさえ、ほぼ一夜にしてスターの座に登りつめることも」、「「こうした環境では、子供は自分が子供だという感覚を失うものだ」という。」とします。唐突に話題が変わったように感じますが、指摘内容には同感です。それで思い出したのが、ロックスターではなく、自殺も未遂でしたが、歌手の中森明菜と、加護亜依です。中森は、「スター誕生!」からまたたく間にトップスターへと上りつめましたが、近藤真彦の自宅での自殺未遂騒動から、まっ逆さまにではありませんが落ちていきました。移籍をくり返し、心身の不調を心配されながら、いまはもう、無期限活動休止となりました。加護は、「ASAYAN」の出身で、最盛期のモーニング娘。のメンバーでしたが、肉の味の菓子の記事でも触れたように、歌手活動はもう、きびしいでしょう。

愛他的な英雄の心理と疑問点続出の映像公開

きょう、健康美容EXPOに、「命がけの人助け」を選択する理由 ―英雄は直感的に行動するという記事が出ました。

「カーネギー・ヒーロー・メダル」、これはもちろん、Carnegie Hero Fund Commissionが出しているほうの、カーネギー・メダルのことです。CILIPの児童文学賞のほうが、ずっと知名度が高いのは、日本だけではないようです。今回の記事のもとになった、HealthDayに2週間前に出た記事、Heroism Seems to Be a Spontaneous Actも、「Carnegie Hero Medal」という表現を使っていました。

その英文記事と見くらべると、最後にある「Rand氏は、「今回の分析の結果、とても極端な愛他主義者はまず行動し、後で考えていたことがわかった。ただし、これは必ずしも遺伝子に組み込まれているものではない。他人を助けることが自分の長期的な利己心に恩恵をもたらすことが多いことを学んだゆえに、無意識に協力する習慣がついたものだ」と述べている。」は、実際の発言の引用と、間接話法的に地の文に書かれたものとを組みあわせて、一度の発言のように再構成したものだとわかります。訳として見ても、やや気になるところはありますが、指摘は興味深いものです。もちろん、愛他的行動が学習で育つのは事実だと思いますが、その学習を起こりやすくするような生得的な基盤があることも、考えられるでしょう。「情けは人のためならず」調査の記事で取りあげたような現象も、寄与していそうです。小さいうちのそういう経験から、芽が出て、育つのだと思います。

芽が出るで思い出したのが、DMMニュースにきょう出た記事、【歴史戦】韓国「真相明らかにして何が残る」 ずさんな元慰安婦聞き取りです。産経ニュースにおととい出た同名記事の転載に見えますが、同一ではありません。「金福善(キム・ボクソン)と尹順萬(ユンめスンマン)の2人」とありますが、おとといのものには、「め」はまだありません。明らかにおかしいとわかるこの場所に、どうしてこの「め」が出てきて、つみ取られることなく表に出たのかは、よくわかりません。

もちろん、その記事の本題は、「外部に公表するためのものではない。あくまでも遺族会の記録とするものだ」と押しきって撮影したビデオの公開で、「だが、映像公開はかえって聞き取り調査のずさんさを裏付けた。」という問題です。「金は「日本の巡査」に連行されたとしているが、金が暮らしていた全羅南道も含め、当時の朝鮮半島では巡査はほとんどが朝鮮人だった。」「金は日本政府とは別にソウル大教授(当時)の安秉直らが行った調査では「巡査」ではなく「国民服(あるいは軍服)を着た日本人」と語り、後に日本政府を相手取り起こした訴訟の訴状には「憲兵」と記している。」「尹は大阪と下関で慰安婦として働かされたと証言するが、内地である大阪や下関には遊郭や娼館はあったとしても慰安所はない。」「映像では、通訳は「日本の軍人3人が部屋に来て、連れていった」と訳しているが、実際には尹はそんな話をしていない。」といったぐあいで、基本的なところでもう、ぼろぼろです。「5日にわたる聞き取り調査を17分ほどに短くまとめた」公開で、あちらに有利に見えるように編集されているのだろうと警戒した人もいると思いますが、それでもこの程度なのでは、先が思いやられます。小保方騒動での実験ノート一部公開で、追及してきた側と擁護してきた側との、双方に広がった脱力感を思い出しました。あるいは、PHP 2014年6月号(PHP研究所)で安西水丸が書いていた、安西の母が「絵くらい描けます」と言いきって、出てきた絵がとてもへただったというかなしみにも近いかもしれません。