きょう、zakzakに、東大経済学部は「L型大学」ではないか 無意味な経済理論を教える教員も…という記事が出ました。
「文部科学省の有識者会議における経営コンサルタント、冨山和彦氏のプレゼンテーション資料がネット上で話題になっている。」、これはそのとおりです。私はその、「ネット上で」になる背景に、関心があります。大学は、ネットの外に実在するものですので、その本質にかかわる事象が、ネットの中でばかり話題になるのは、ふしぎに思えます。圧力団体が背後にひかえている、マスコミが取りあげられないようなタブーとも思えません。むしろ、政府批判、安倍たたきの材料に使いたくなってもよさそうなのですが、教育はうちわよりも軽いのでしょうか。
「L型大学の教員」として行っている、「エクセルを使った課題や簿記・会計を使った説明」の価値が説かれます。「実はこれで、高度な話もできる。人口増加率と経済成長には何の関係もないこともわかる。」とのことです。これとぴったり対応するわけではありませんが、関連する話題として、移民政策をめぐる議論があります。DMMニュースにきのう出た記事、May_Romaの打倒宣言「移民不要論」をぶっ壊せ!も、人口問題から移民肯定の主張をすすめています。めいろまと移民という組みあわせに、月形半平太さんtsukigata1の「「おにぎり作りなんて移民にやらせろ」 結論 移民であるメイロマが握れ。」を思い出した人もいると思いますが、「移民不要論というのはで「日本にガイジン労働者を入れると犯罪が増えたり、生活保護が増えたり、外国語の看板が増えたりするし、ゴミ捨て場のルールを守らないから争いが増えるし、ガイジンが増えるから日本が乗っ取られて日本じゃなくなる!」という妄想のことを指します。」と、ふしぎな定義づけから入ります。「まず第一に、高齢化は移民を必要とします」、これはベビーカー問題の記事で触れたような、「必要」のとり方によるでしょう。「第二に、出生率が改善しないので働き手が減ります。」、その「改善」とは、合計特殊出生率が2.07を上回ることでしょうか。現在の出生率とのギャップを埋めるのだとしたら、毎年どれだけの移民をとることになるか、計算してみてください。「年金の運用成績は微妙で、過去の予測で今後やっていける可能性は高くありません。」、その気持ちはわかります。YOMIURI ONLINEにきょう出た記事、年金運用、国内株に25%…国債中心から転換にあるように、これからは積極運用で改善も期待できますが、こうなると必ず、株は損をするから反対と批判する人が出てきます。証言会社にだまされて大損したなどという人ならまだわかりますが、一度も買ったことがない人も多いようです。株は、買われればそれだけプラスの影響があるので、一般の人も年金の運用成績に、かんたんに寄与できる特徴があります。もちろん、ひとりひとりはわずかではあっても、選挙の投票よりは確実です。選挙では、条件に届く数が集まらなければ死票で、努力はすべてむだになりますが、株ではわずかからでも確実に、プラスの影響をつくり出せます。あきらめずに1票をと呼びかける人には、その感覚でもっと確実な、未来に関与する手段も呼びかけてほしいと思います。「第三に、激変している世界の中で日本の経済力を維持したいなら、多様な人を受け入れて創造性を高めるために移民を入れなくてはなりません。」、ここが筆者の主眼のようで、さまざまな論証が展開されます。ですが、シリコンバレーの例は、ここでの話題には適切ではないでしょう。世界中の優秀な人々が、移民のハードルさえ下がれば飛びこみたいと願うような、シリコンバレーに匹敵するところが、日本にどれほどあるでしょうか。最後に、「移民様は日本人ではないので野球もパチンコも競馬もソープも興味がありませんので、あなたは職場でスワローズの話をしなくて済むのです。」と、人種に関する差別的な決めつけがあるのは、蛇足でしょう。そして、「妄想」への反証はないままだったのも、気になりました。「犯罪が増えたり、生活保護が増えたり」も、今まで日本はそうしない人ばかりだったので、増えるのも「多様性」だと考えるのでしょうか。「優秀な移民様に来て頂く」ならとてもありがたいことですが、フィルタをかけることが世界中どこでもうまくいかず、シリコンバレーは例外であって、アメリカまでも例外ではありません。SAPIO 2014年11月号(小学館)では、「アメリカは移民を受け入れることで発展したではないか、という人もいるだろう。しかし、いまやアメリカでも本当に優秀な人材は来なくなり、エクアドルやホンジュラスといった国々からただ食い扶持を求めるだけの不法移民が増えているのが現実だ。」と明かされ、一方で「いま中国では、『日本でタダで生活する方法』といった類いの本が売れていると聞く。日本に来て生活保護を受ける方法などが事細かに解説されているというのだ。」とあります。移民を増やしたい人は、そういう問題を封じるすぐれたフィルタのかけ方を提案すれば、支持を広げることができるでしょう。
さて、「米プリンストン大学に留学」して学んだことについて、「それから演繹(えんえき)されるのは、マネーを増やせばデフレ脱却もできるということだった。」として、アベノミクスがそれを支持しているように書いています。そこから、「やはりG型大学のプリンストン大のほうが正しかった。」と帰納するのは、大きく出た印象です。
「筆者は東大経済学部でさえもL型大学だと思う。無意味な経済理論を教えているばかりか、その社会活動には有害なものさえある。」、どうでしょうか。無意味な教育内容は、少なくとも外から見れば、G型のほうのイメージでしょうし、社会的によくない活動は、L型らしくもありません。むしろ、G型かL型かという二分法が無意味だと教えてくれているようにも思えます。