生駒 忍

記事一覧

男性の性的被害についての統計と相談機関

きょう、毎日新聞のウェブサイトに、性暴力:強制わいせつ 男性被害者は毎年111〜300人という記事が出ました。

記事タイトルにも、本文にも、「毎年111〜300人」とあります。U+FF5Eの全角チルダで代用せずに、入力しにくい波ダッシュを使ったことを評価する方もいると思いますが、私はそれ以上に、「毎年」が気になりました。毎年と表現される場合は、同じことが年ごとにくり返される状態だと思います。ぴったり同じではなくても、たとえば2週間前に、同じく毎日新聞のサイトに出た記事、ワールド・ドクターズ・オーケストラ:震災忘れず癒やし届けたい 世界の医師、オケ初上陸 来月21日福島・いわき、23日東京に、「音楽に関心を持つ40カ国以上の医師が集まり、毎年2〜3カ所で演奏活動を続ける。」とあるような「毎年」も、問題ない用法でしょう。ですが、111人と300人とでは小さな違いではありませんので、毎年と表現することには、やや違和感があります。「全国の警察が認知した過去10年の強制わいせつ事件」について、1年ごとに区切った場合の数ですので、「年111〜300人」と書くほうが、自然な日本語になるでしょう。毎日新聞の記事だからといって、無理に「毎」を入れなくてもよいはずです。

「性暴力の被害者支援に取り組む「レイプクライシスセンター つぼみ」(東京都)では2012年4月〜13年11月、22人の男性から相談を受けた。」とあります。22人の内訳は、くわしくはわかりませんが、「中高生のいじめに伴うケースが多かった。」とあります。なお、以前に書いた性的いじめ被害での提訴の記事の件もいじめでしたが、もう少し世代が低く、小5のころからくり返された性被害を、小6の2学期に提訴したものでした。

相談件数について、昨年11月までで集計したのは、なぜでしょうか。TSUBOMIのウェブサイトは、ページ下部に「Copyright © TSUBOMI All right reserved.」とあり、単数形なのが気になりますが、このサイトを見る限りでは、活動開始は12月ではありませんし、会計年度が12月からということもなさそうです。次の段落に、同じ昨年11月の講座の話題がありますし、昨年暮れごろに準備された記事が、遅れて掲載されたのかもしれません。

その講座について、「山口さんを講師に招き」とありますが、これは誰かというと、オフィスPomuを起業した心理カウンセラー、山口修喜です。姉妹記事と思われる性暴力:男性にも被害者 幼少期から中高生時代に集中に、写真つきで登場します。ですので、おさんこ茶屋の創業者の娘のように、名前が「さん」であるわけではありません。そういえば、プレジデント1986年1月号によれば、これを書いた宮嶋梓帆という記者の母校の創立者は、学生も用務員も等しくさんづけで呼び、「自分を先生と呼ばずに、単に新島さんと呼んでください」と求めたそうです。

西川口再生への寄与と画像のディストーション

きょう、明治大学のウェブサイトに、心理社会学科大畑ゼミが「コミュニティの創出や地域商業の発展への寄与」したということで埼玉県川口市長から感謝状を授与されましたという記事が出ました。日本語としては不自然なタイトルですが、大学の公式ツイッターアカウントが流したものもほぼ同様で、【ニュース】 心理社会学科大畑ゼミが「コミュニティの創出や地域商業の発展への寄与」したということで埼玉県川口市長から感謝状を授与されました 。でした。

「実習活動の一環として、2010年度以来、埼玉県川口市西川口地区のまちづくり活動に参加」とあります。ありがちな地域おこし、商店街再生ではありません。かつての「NK流」の性風俗街が壊滅し、韓国料理店も次々と撤収してシャッター街化した、あの西川口であるところに、注目すべきでしょう。どん底からではなく、再生策で街が上向いてからの中途参入ですが、ああいう街でしたので、学生さんの安全もありますし、指導教員が適切に判断した結果だと思います。なお、記事では写真キャプションも含めて、人名は原則フルネームのようですが、この指導教員だけ、例外です。大畑裕嗣教授です。

「川口市の担当部署(経済部産業振興課)の運営やそこにおける来場者調査などの活動が、商店会による「コミュニティの創出や地域商業の発展に寄与」したとして」、市長からの感謝状授与となったそうです。川口市の産業振興課の運営を、このゼミと「跡見学園女子大学マネジメント学部石渡尚子ゼミ」だけで行ったはずはありませんので、課の職員と協働したのだと考えることになるでしょう。それでも、市の部署の運営に、よその自治体にある大学の学生が入るのは、とても異例だと思います。あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。(日野瑛太郎著、東洋経済新報社)ではありませんが、貴重な成長経験が主目的なのでお金は二の次のボランティアで、守秘義務等もきちんとしないのではあぶないので、市に属する非常勤職員として雇用したのだと考えたいところですが、実際はどうだったのでしょうか。

写真も、ふしぎな仕上がりです。ディストーションは、ある程度はしかたがないのですが、正面からではなく、やや角度をずらして撮影したことで、よけいに目だつように感じますし、後ろのお花の入り方も落ちつきません。感謝されたほうではなく、感謝したほうがまん中なのも、あまりないパターンです。立ち方が、三者三様というほどではありませんが、微妙にそろわないところは、おもしろいと思います。Perfumeの見せ方にも通じるところがありますが、全員がそっくり同じかたちでは、きれいですが楽しさの欠けた絵になりがちなので、崩しがだいじなのです。

意識の高い高岡法科大生グループと三大大仏

きょう、北國新聞のウェブサイトに、利長くんと高岡巡り 法科大生の名所紹介企画 動画撮影に150人協力という記事が出ました。

取りあげられた活動のねらい、位置づけが見えにくい記事です。1文目には、「高岡法科大生による「利長くんと高岡プロデュース大作戦」は9日、高岡市中心部で行 われた。」とあり、以前に新聞屋による見守りの記事でも触れた半角スペースの出現や、訳文のような不自然な日本語も気になりますが、ここでは、きのうにあったリアルタイムでの観光PRイベントとして位置づけられます。同じ段落の「学生は短文投稿サイト 「ツイッター」でも随時、各所の魅力を発信し、歴史都市高岡をアピールした。」、記事の最後の「リーダーの見村聖実さん(20)は「予想以上の人に集まっていただき、高 岡と利長くんをPRできた」と話した。」も、その線にそうものです。ですが、「高岡のPR動画の撮影」「各所で撮影した動画や写真を近日中に1本の映像に編集し、インターネットで公 開」が主目的のようでもあります。そうだとすると、きのうのものはPRイベントではなく、PR活動の準備の一環である素材収集だと考えられます。記者の名前が見あたりませんが、これを書いた人は、どちらの位置づけで理解し、読者に伝えようとしたのでしょうか。もちろん、学生のほうから見れば、どちらも目的にあって、さらにはたとえば、こんな社会貢献的でクリエイティブな活動をしましたとアピールできる実体をつくって、就職活動でライバルに差をつけたいという目的もありそうです。「就活」の語が定着してしばらくしてからですが、そういうねらいが見え見えの学生制作フリーペーパー、前向きな講演や討論企画、地元商店街とコラボレーションしてのあれこれなどが目につくようになって、見え見えで見苦しいと私は感じながらも、「意識高い系」という病(常見陽平著、ベストセラーズ)のような視点の一方で、この手を鼻で笑うだけで何もしない学生よりは、人事担当者に無視されにくいのだろうと考えると、世知がらい世の中になったものだと思います。

写真は、後方に大仏を意識して入れたことがわかるものです。キャプションには「地元住民と交流する学生」とありますが、ぱっと見ると、利長くんと地域の方との交流に見えます。よく見ると、左側にいるのは、首から「Cal4」と書かれたカードを下げていることから、何かの罰ゲームでもない限り、学生のほうだろうとわかります。あるいは、利長くんの中の人も、学生なのかもしれません。

記事になったツイッターのつぶやきは、「利長くん@CaL4(3月9日)」というアカウントによる9日13時31分のツイートでしょう。記事では別々の二言のように分けてありますが、これ1回にどちらもふくまれます。

ツイートを注釈なしで載せて平気なようですが、この鳳徳山大仏寺の仏像が「日本三大大仏」に入ることにしたいのでしょうか。保健室 2013年10月号(農山漁村文化協会)には、「人間がすっと頭に入りやすいのは三つでしょう。」とあり、その例が「日本三大○○」でしたが、この手はたいてい、上の2件は誰もが同意できても、あと1件が決まらず、関係者だけが熱くなる3位争いになりがちです。中立性を三本の柱のひとつとする日本語版ウィキペディアの日本三大大仏は、高岡を入れるのを「地元民の自称に過ぎないもの」「定義付けすること自体が無意味」と、あっさりとしりぞけます。高さは16メートル近くあり、鎌倉よりも大きいのにと言いはるかもしれませんが、それは下に台座、上に光輪を足した数値で、舞の海どころではありませんので、像高をみましょう。そして、像高であらそうなら、100メートルある牛久大仏には、まさに足もとにもおよびません。ですが、神奈川Walker 2013夏(角川マガジンズ)には、鎌倉大仏は総高1335メートルとありました。

引っこし後PTSDと小さな池の大きな魚効果

きょう、GIZMODOに、貧乏な男子は金持ちの住区に引越すとトラウマになる(米調査)という記事が出ました。アメリカでの調査結果を紹介したNew Republicの記事、For Boys, Moving to a Wealthier Neighborhood Is as Traumatic as Going to War: Leaving poverty is more complicated than you think.の紹介です。

「米国医師学会発刊「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」に出た最新調査では、幸せどころかPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しむ子ども(特に男子)も多いことがわかりました。」、かなりインパクトがあります。なお、以前に子どもの精神疾患等のリスクの記事で紹介した記事では、JMAは「米国医師会」と訳されました。「心的」外傷後ストレス障害としたのは、精神神経学用語集 改訂6版(日本精神神経学会精神科用語検討委員会編、新興医学出版社)に合わせたのでしょうか。

「引越して10~15年後の青年がPTSDなどの鬱(うつ)・行為障害にかかる確率」とありますが、原文では「higher proportions of major depression, posttraumatic stress disorder, and conduct disorder」とあるところだと思いますので、PTSDをうつの一類型に入れる特異な立場ではありません。また、先ほど挙げた精神神経学用語集のように、できれば「行為障害」ではなく、素行障害と訳してほしかったところです。以前にした学会発表で、新訳語の素行障害が今後世間にひろまるかどうかに触れたのを思い出しました。

調査結果は、方向性はネガティブですが、わが国では行動を起こし、持続する力 モチベーションの心理学(外山美樹著、新曜社)で広く知られるようになったBFLPE、小さな池の大きな魚効果を思わせるものです。ですが、より注目したいのは性差です。女性ではこの問題が起こりにくく、人類学者が見いだした対称的なジェンダーバイアス、「男子は新しい住区に引越してくると不良少年という目で見られる。一方、女子は全く正反対で、「おお、恵まれないかわいそうな子、よしよし自分が助けてあげるからね」と街ぐるみでかわいがられる。」が原因として示唆されます。NHK 社会福祉セミナー 2013年12月-2014年3月(NHK出版)に、女性のほうが生活保護をうけやすいとあったのを思い出しました。今回のものは、別々のコホートの現象を対応させての議論の妥当性など、気になるところはありますが、ジェンダー論的にも興味深い知見でしょう。

一般世間でも、男女で逆であるものはおもしろいと思われるようですし、だからこそGIZMODOは、これを紹介したのだと思います。ですが、世間には首をかしげてしまうものもいろいろあります。おとといの「ф男と女の心理学ф」のツイート、狭い場所で他人とすれ違うとき、は、いかにもポップ心理学的な解釈つきです。きのうOKWaveに出た質問記事、「正反対の男女」は、奥手の質問者とガールズバーではたらく女性との関係についてですが、この質問No.8504899は削除されてもう見られません。きょうYahoo!知恵袋に出た質問記事、どういう心理でしょうか?*は、親しい男性は小さくしたい、女性は逆で巨大化させたいと思うことがある人物を、写真つきで登場させます。それぞれ、心理学者の出る幕がある話題でしょうか。

日本人が若く見られる理由と能年玲奈のひざ

きょう、zakzakに、【カラダの不思議】海外で日本人が若く見られる理由 顔の形、皮膚、ファッション…という記事が出ました。

きょうは、ミュージアムパーク茨城県自然博物館の、第60回企画展の開催に先だつ内覧会に行って、すぐそばで見かけた山口武平の、92歳とは思えないかくしゃくとした姿におどろいてきたところです。見た目でわかる外見心理学(齊藤勇著、ナツメ社)という本もある一方で、見た目で人間のすべてがわかるはずはなく、年齢だけ考えても、はっきりはわからないものです。そして、今回の記事では、年齢評価における文化や人種の要因が話題になります。

日本人が若く見られがちなのは、日本でも、あるいは日本では海外以上にかもしれませんが、有名です。かもめ食堂(荻上直子監督)には、小林聡美演じる主人公が、フィンランドの女性たちに子どもあつかいで悪く言われる場面があります。この記事では、顔の輪郭、しわ、ファッションから、理由を解きあかします。ですが、これについては、ほかにもいろいろな説明があります。2年前にマダムリリーに出た記事、なぜ日本人は海外で若く見られてしまうのか? 6つの理由には、「顔のホリが浅い」から「子どもっぽい物への抵抗感がない」までがならび、顔の輪郭のお話は、その中には見あたりません。また、それに3か月遅れて中国網日本語版に出た記事、日本人が「童顔で年をとらない」ように見える6つの理由は、1番目が「顔のアウトラインは比較的はっきりしていない」ですが、残りはマダムリリーの記事と、順序までほぼ対応した内容です。

外見については、日本人だけでなく、人類学でいう新モンゴロイドは一般に、若く見えやすいようです。そういえば、ロケットニュース24の記事、女子小学生かと思った!! 犯罪レベルに幼い35歳がネット界に激震を与えるは、今月に入って種あかしがあるまでかなり信じられていて、画像修正や整形だと決めつける人はいても、実年齢を見ぬく人はほとんどいなかったのでした。なお、この記事のコメントには、有名なステマコメントがありますので、笑ってあげてください。知らない方は、めしおブログの人気記事、「つぶちょきんFC2」「だれてん」「やほなま」「だれたく」とは何なのか?を、「真意をしっかりと読み取って」読むことをおすすめします。

一方で、欧米から見た東洋人は、むしろ反対に見えることもある、たとえば鳩のなかの猫(A. クリスティー作、早川書房)で、東洋の少女はませて見えると言われる場面があると指摘する人もいるかもしれません。和訳版ではかぎかっこの欠落があったところの近くにありますが、「ラマット国」の設定からみて、西洋か東洋かというレベルでは東洋ですが、新モンゴロイドでも旧モンゴロイドでもなさそうです。

あの場面では、ひざに注目が向かいます。シャイスタのひざを見たか、ひざに年齢があらわれると話題になります。皆さんは、ひざを特に意識することはありますでしょうか。FRIDAY 3月21日号(講談社)では、広海・深海が能年玲奈のひざを評価し、手いれの話題で盛りあがっていました。もちろん、ひざは顔とは異なり、出さなくてかまわないところですので、不利な年齢になったらかくすだけのことかもしれません。ですが、Menjoy!にきょう出た記事、やっちゃってた!? 男性にとって「18歳以上のニーハイはNG」と判明の調査データでは、ひざがかくれるニーハイの上限は、1位が「18歳まで」、2位が「15歳まで」でした。