生駒 忍

記事一覧

糸賀一雄生誕100年フォーラムとつくり話

きょう、日本海新聞のウェブサイトに、糸賀一雄生誕100周年 12日にフォーラムという記事が出ました。

糸賀は、一連の中央法規出版の福祉資格関連本の記事で取りあげた社会福祉士・精神保健福祉士受験ワークブック2013 共通科目編(中央法規出版)には見あたりませんが、近江学園の創設者であり、わが国の障害者福祉の発展に大きく貢献しました。この分野の古典となった福祉の思想(糸賀一雄著、NHK出版)は、一度は読んだことのある人も多いでしょう。

このフォーラムの主要プログラムとして、「基調講演(講師・高谷清氏)」があります。糸賀ほど有名ではないので、知らない人もいると思いますが、この講師は、第一びわこ学園で園長までつとめた医師です。京都大学出身ですので、分野は別ですが、糸賀の後輩でもあり、異質の光 糸賀一雄の魂と思想(高谷清著、大月書店)などの著作があります。

糸賀は、「54歳で講演中に亡くなるまで障害者福祉一筋に生きた。」とあります。実際には、講演後の質疑の間に、持病による心臓発作を起こし、亡くなったのは翌日だったようです。ですので、ルイ・ヴィエルヌほどにできた最期ではなかったのですが、あれだけの人物でしたので、うそのつくり話と目くじらをたてずに、このくらいは伝説として認めてよいと考える人もいるかもしれません。

偉人のはたらきの話題のあとに、格の違うはたらきの話題で何だか申しわけなく感じますが、つくり話ということで、web R25にきょう出た記事、ウソのようなホントのバイト失敗談を思い出しました。これは紙媒体のR25にはなく、3月31日付で発行された特別号のR18に載ったものです。5ページの下に、豊村真理の絵も含めて、同じものを確認できます。その冒頭の、「ラーメン大好き小池さん」のエピソードは、私はつくり話だと思うのですが、どうでしょうか。ラーメンを出したときに、頭から器ごとかぶって「ちょっと熱いけど」などと言える余裕がある温度だったとしたら、ちょっと悪趣味なお店です。シャワーを頭にかけて、温度をどんどん上げて、何度くらいまで「ちょっと熱いけど」でいられるか、試してみてください。

民営化された大阪市音楽団を支援する方法

きょう、朝日新聞デジタルに、船出のファンファーレ 大阪市音楽団、自立の春という記事が出ました。

橋下改革で民営化されてなお、名前が「大阪市音楽団」なのは、私はやや引っかかるところです。助成金は受けるものの、大阪市のものではなくなったのに、そのような誤解を生みやすい名前だと思います。バーミンガム市交響楽団のようなイメージなのでしょうか。もちろん、神社本庁など、公のもののような名称の民間団体は、ほかにもあります。また、愛着のある名前で、「市音」の略称も保ちたい、変更するといろいろとお金がかかるといった事情もあるでしょう。広報がダメだから社長が謝罪会見をする!(城島明彦著、阪急コミュニケーションズ)によれば、松下電器産業からパナソニックへの社名変更では、300億円がかかったようです。誤解が起きても、大きな不利益をこうむるとも考えにくいですし、近い将来に、まともな選挙で市長が代われば、誤解が誤解でなくなる日がくると考えているのかもしれません。そのときには、お給料も今の約3倍に戻るでしょうか。「仲間の団員も6人が去った。」とありますが、3倍なら帰ってくるでしょうか。

記事には、「一方で、希望もある。」とありますが、やはり心配なのは、お金です。同じく朝日新聞デジタルにきのう出た記事、大阪)市音楽団、再スタート苦戦 いまだ半分が空席によれば、きょうの公演のチケットは、この時点で半分以上も売れのこったままだったそうです。東フィルと新星日響との合併のときは、あれも財政的な不安が背景にあってのことでしたが、合併記念のコンサートは満席で、サントリーの1階席ですばらしい船出に立ちあえたのを思い出すと、こちらはとても心配です。今回の記事は、その公演の直前に出たものですが、結局のところ、「船出のファンファーレ」は、残響たっぷりになってしまったのでしょうか。市音の公式ウェブサイトには、今のところ開催報告は出ていません。民営化してからは、サイトが更新されたようすもありません。「慣れない事務や広報作業にも苦戦している。」とありますので、広報としてのサイト管理も自前で、苦戦中なのでしょう。市音を支援したい方が増えることを願いたいものです。サイト内には、寄付・ご支援寄付について賛助会員(個人・法人)といったページがあります。民営化以前の情報のままで、今はもう違うのかもしれませんが、関心のある方は、ぜひご検討ください。

偏差値30の成人を立命館大へ入れた心理学者

きょう、日経トレンディネットに、ベストセラー『ビリギャル』に学ぶ、部下の指導法&上司からの学び方という記事が出ました。

『ビリギャル』とはもちろん、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話(坪田信貴著、KADOKAWA)のことです。表紙のモデルのポップをいくつも立てて売る書店もあって、いやでも目をひきます。モデルについては、「余談だが、本の表紙写真に登場する制服を着た女子高生を「ビリギャル」だと思って買う人も少なくないそうだが、彼女は新鋭のモデル・石川恋で本書の内容とはまったく関係がない。」とあるとおりですが、慶応大のイメージとのギャップがこの誤解で際だって、注目や売り上げへとつながった部分も大きいはずです。

あの本は、出だしできちんと種あかししてあるように、いろいろ経緯があって学校的に学ぶ機会をそこなってきた人物での事例です。オール1の落ちこぼれ、教師になる(宮本延春著、角川書店)にも、やや近いところがあります。ですが、今回の記事も含めて、この本の書評では、暗い話題になるためでしょうか、そこは紹介されずに、学力の低い状態での笑い話を出発点におく傾向があります。学校ではそれなりに適応してがんばってきて、それでも偏差値30台どまりの生徒だったら、坪田の手にかかってもこうはならないはずです。道だけはふみはずさずに地味にこらえてきた若者が、あるいはその親が、この本に夢を見てしまうと、心配です。

「「リフレーミング」「自己効力感」「臨在性」「迫真性」など心理学用語を用いて、自身の対応を解説する場面も数々」あるところも、この書評は重視します。気になる用法もありますが、心理学の用語、考え方が本に役だったのなら、ありがたいことです。素朴概念が、聖徳太子のお話にかかわるなど、心理学者の素朴概念にそわない意外性も、私はおもしろいと思いました。

そして、心理学にかかわる人々には、心理学をもっと学んだ人による、見たところ似たような事例がすでにあることも、ぜひ知ってほしいと思います。教わったのは、諏訪耕平という、いまは教える側にまわった人で、その人のブログの、もう2年以上も前のものですが、最後の記事になっている僕が子どもたちに伝えたいことを読んでください。「全然勉強してなくて,4年目の春に偏差値30ぐらいだった僕を大学に入学させてくれたのは西條剛央さんという人で,僕はこの人にいくら感謝してもしきれません。」とあります。心理学にかかわっていれば、きちんと論文を読んだことはなくても、この名前に見おぼえのある人は多いでしょう。震災関連団体をつくって、世間での知名度も高めました。もちろん、あの活動については、たとえばtogetterの西條剛央さんは、そして「ふんばろう」は、いったいどこに向かっているのかのコメントで、「ふんばろう東日本の活動は「疑似科学」になぞらえて言えば「擬似支援」と化しつつあると思う。」「ふんばろう東日本の態度はあまりにもデリカシーが無く、将来的な人権侵害への恐れを看過している」「そして、批判に向き合うことなく、黙り、スルーしていく。まともな研究者とは思えませんね。 」などと、きびしく指弾されていますが、知名度を上げたことは誰もが認めるところでしょう。そして、この諏訪の事例も、ポップな本にできていたら、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話のようにヒットしていたかもしれません。ですが、偏差値の伸び幅で考えると大きな違いはなくても、教わるのが成人男性で、合格先が立命館大では、いまいち世間の興味をひきにくいような気もしますが、どうでしょうか。あるいは、このように慶応と立命館とをならべて考えること自体が不愉快、ないしは失礼だと思われるのでしょうか。

いじめは教員による人権侵犯なのでしょうか

きょう、AGARA紀伊民報に、ネット関連の人権侵犯が深刻化 和歌山地方法務局という記事が出ました。

記事タイトルにある件は、具体的にはどのようなものだったのでしょうか。本文には、年6件だったものが年7件に増えて、「近年の傾向として、インターネットに絡んだ人権問題が深刻化しているという。」とはありますが、何と比べてどこがどう深刻化したのかは、よくわかりません。発表者である和歌山地方法務局も、サイトデザインが独特のセンスなので探しにくく困りましたが、ウェブ上にはこの件の情報を出してはいないようです。「住所や氏名、写真を勝手にブログなどに載せられ、誹謗(ひぼう)中傷されるという事案が3件」なのが、深刻化をよくあらわしたところなのでしょうか。ちなみに、留利というアカウントによるきょうのツイート、「いじめられっ子のプリクラを悪用してツイッターのアイコンに使って、不愉快なツイートをして完全な嫌われ者にさせる」 っていう新しい苛めがあるって聞いてからによれば、勝手に写真をウェブ上に使うものの、アップした人は直接に中傷する側には回らずに、第三者のほうで自然に社会的評価が下がるようにさせる手口が出てきたそうです。

全257件を、「公務員・教育職員による人権侵犯は45件。」と「私人の間での人権侵犯は212件。」とに分けて集計してあります。ですが、「学校でのいじめが23件」が前者側なのが気になりました。「教育職員によるものは「児童生徒が、教員からいじめの加害者に決めつけられた」など11件」とはまた別に、23件を数えたかたちです。担任らもとり込まれた鹿川君事件の「葬式ごっこ」のような例もありますが、いじめ自体は、大半は私人の間のことのはずです。教員がいじめに気づかず対処されなかったのも結果的な人権侵犯だと考えて、特別に数えたのでしょうか。ですが、ロジカルゴルフ スコアアップの方程式 (尾林弘太郎著、日本経済新聞出版社)の「逆のウイルス」ではありませんが、検出率を上げようときびしい目でみれば、今度は「児童生徒が、教員からいじめの加害者に決めつけられた」につながります。どちらへ転んでも人権問題とされて責められかねない、教員の立場の弱さを感じます。ですが、エピソードでつかむ青年心理学(大野久編、ミネルヴァ書房)には、教授Kのことばとして、「いじめをする人は,基本的に弱い人なんだ。」とあります。

初心者の鍵盤楽器の選び方とスイバケの動画

きょう、アノオトに、「マイファースト鍵盤」を選ぶための3つのポイント!という記事が出ました。

こり始まると、たまにくらしが破たんする人が出るとはいっても、ふつうはお金のかけ方に自分なりの基準がつくられるものですが、趣味の入り口でのお金のかけ方は、決めにくいところですので、よい視点の記事だと思います。「電子ピアノと一言で言っても価格はピンキリで、1万円~30万円くらいまで幅があります」とあります。電子ピアノの定義にもよりますが、特注や中古品は別としても、幅はもっとあります。画像で2回登場するハンドロールピアノなら、あの61K2はもう少し高いのですが、1万円あれば3台買えるものもあります。ここでは、あくまで「鍵盤楽器を始めようという人」の射程として考えたのでしょう。また、「オーソドックスな電子ピアノとしては、YAMAHAの「Pシリーズ」や、CASIOの「Privia」などは3万円代で手に入るものがあっておすすめです」とあり、このおすすめ内容には賛同しない人もいるかもしれませんが、わからないものを考えて選ぶむずかしさを考えれば、しぼって具体的な選択肢を提示するのは親切であると思います。「3万円代」という誤記は、お代を意識したことのあらわれでしょうか。ですが、ゆあさん社員というアカウントのきょうのツイート、新潟をdisるときに活用してますの「新潟」よりは、原意とずれないと思います。

選ぶポイントを3点挙げて、そのうち2点には、太字で強調した部分があります。その1については、初心者に知ってもらいたい点として、同意できます。2点目、「僕は76鍵のやつを愛用しています。」は、知ったことではないと思った人もいるでしょう。自意識過剰にも見えますが、初心者には88鍵もいりません、自分のようなプロでも76鍵で足りるのですから、ととるところだと思います。最後にあるように、筆者は早川大地というミュージシャンです。Sweet Vacationの、ボーカルではないほうといえばわかるでしょうか。

そのスイバケも、お休みに入ってもう3年になります。もう少しこなれてくると、中田-Perfumeとはまた違う音づくりで、あるいは日タイ友好への貢献の面でも、期待できそうだと思っていたのですが、メンバーの意向でこうなったようで、残念です。明るい音とはうらはらに、繊細なところがあったのでしょうか。そういえば、YouTubeにある公式のグッディグッディの動画をみると、早川が弾くのは76鍵よりも小さいのですが、コメントの中に、ZeroneRavenという人による、3分44秒のところの振りつけについての指摘があります。ところが、この動画は現在、途中までで切れ、その部分は確認できない状態です。指摘に反応して、見られないようにしたのでしょうか。問題のところは、同じくYouTubeのSweet Vacation Goody Goodyでは視聴できますし、案の定、こちらにもZeroneRavenのコメントがありますが、見てどう感じるかは、それぞれでしょう。皆さんは、指摘のところを見られなくしたのは、正解だったと思いますでしょうか。