生駒 忍

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いじめは教員による人権侵犯なのでしょうか

きょう、AGARA紀伊民報に、ネット関連の人権侵犯が深刻化 和歌山地方法務局という記事が出ました。

記事タイトルにある件は、具体的にはどのようなものだったのでしょうか。本文には、年6件だったものが年7件に増えて、「近年の傾向として、インターネットに絡んだ人権問題が深刻化しているという。」とはありますが、何と比べてどこがどう深刻化したのかは、よくわかりません。発表者である和歌山地方法務局も、サイトデザインが独特のセンスなので探しにくく困りましたが、ウェブ上にはこの件の情報を出してはいないようです。「住所や氏名、写真を勝手にブログなどに載せられ、誹謗(ひぼう)中傷されるという事案が3件」なのが、深刻化をよくあらわしたところなのでしょうか。ちなみに、留利というアカウントによるきょうのツイート、「いじめられっ子のプリクラを悪用してツイッターのアイコンに使って、不愉快なツイートをして完全な嫌われ者にさせる」 っていう新しい苛めがあるって聞いてからによれば、勝手に写真をウェブ上に使うものの、アップした人は直接に中傷する側には回らずに、第三者のほうで自然に社会的評価が下がるようにさせる手口が出てきたそうです。

全257件を、「公務員・教育職員による人権侵犯は45件。」と「私人の間での人権侵犯は212件。」とに分けて集計してあります。ですが、「学校でのいじめが23件」が前者側なのが気になりました。「教育職員によるものは「児童生徒が、教員からいじめの加害者に決めつけられた」など11件」とはまた別に、23件を数えたかたちです。担任らもとり込まれた鹿川君事件の「葬式ごっこ」のような例もありますが、いじめ自体は、大半は私人の間のことのはずです。教員がいじめに気づかず対処されなかったのも結果的な人権侵犯だと考えて、特別に数えたのでしょうか。ですが、ロジカルゴルフ スコアアップの方程式 (尾林弘太郎著、日本経済新聞出版社)の「逆のウイルス」ではありませんが、検出率を上げようときびしい目でみれば、今度は「児童生徒が、教員からいじめの加害者に決めつけられた」につながります。どちらへ転んでも人権問題とされて責められかねない、教員の立場の弱さを感じます。ですが、エピソードでつかむ青年心理学(大野久編、ミネルヴァ書房)には、教授Kのことばとして、「いじめをする人は,基本的に弱い人なんだ。」とあります。