きょう、ORICON STYLEに、新小1の“なりたい職業”、「研究者」が上昇し過去最高位にという記事が出ました。
「この春入学する新小学1年生とその保護者を対象に行った、恒例調査『将来就きたい職業/就かせたい職業』の結果」、私が気になってしまうのは、やはり「注目は、男の子部門で昨年10位から6位に上昇し過去最高となった【研究者】。」です。大きな研究不正の騒動も、わが国の大学の苦境も理解できていないからといえばそれまでかもしれませんが、ありがたいことです。ぜひがんばって、あくせく勉強して、目ざしてみてください。GLOBAL NOTEで世界の研究者数を見ると、日本より上には、常識的に上で当然とわかる国しかなく、わが国の高さにおどろかされます。こんなにいる環境なのだから、自分も入れると考えるか、新規参入など考えてはいけないレッドオーシャンだろうと考えるかは、それぞれでしょう。
「どんな研究に興味を持っているのか? その対象について尋ねると、【昆虫】(27.2%)と【恐竜・化石】(22.2%)が2大トップ。」とあります。ITmediaの記事、ジャポニカ学習帳の表紙から「昆虫」が消えた、本当の理由には、「「昆虫が苦手」という子どもが増えてきているんですよ。」とあります。森田英夫が手を出したからではないと思いたいですが、昆虫はもっとすごい(丸山宗利・養老孟司・中瀬悠太著、光文社)によれば、ムシキングの好影響も一過性でした。それでもこうですので、昆虫の人気は相当なものです。身近さでは昆虫と対照的な、恐竜や化石が後を追うのも、興味深いところです。「夏休み等の期間中には毎年企画展なども開催される」影響は大きいでしょう。なお、ことしの恐竜博2016は、春の開催となっています。
「ただ、なかなかそれにかかわる仕事に就くというイメージは抱きにくいものだが、最近は俳優の哀川翔やココリコの田中直樹など、有名人たちが世紀の新発見をした様子が報道されることも。」とあります。報道というとイメージがずれるようにも思いますが、たとえば同じくORICON STYLEの記事、ココリコ田中が世紀の大発見!? オオグソクムシのアルビノ捕獲のようなものはありました。哀川については、新発見というイメージともずれるように思います。さかなクンが寄与したクニマスの再発見でしたら、有名人ですし、報道されたと堂々と言える発見ですが、「最近」とはいえないために、ここでは取りあげなかったのでしょう。学問の世界の感覚では最近でも、調査対象を考えれば、とても「最近」とはいえませんし、文脈次第でもあります。渡邊芳之のツイート、「マンガの話がほんのちょっとでも出てきたら全部マンガの話だと思う人」は、最近のものでしょうか。さかのぼって、最近は1840円と言われて2040円渡したりするとは、どうでしょうか。
さて、「男の子部門」について、「運転士・運転手は内訳を見ると、【電車の運転士】が最も人気で7割以上(75.6%)の支持を獲得。北陸、北海道新幹線の開通やリニアモーターカーの試乗開始などの話題が相次ぎ、子どもたちの夢が広がっているようだ。」とあります。北海道新幹線に夢を乗せてよいのかと、おとなは考えてしまいますが、小学1年生ですので、よいと思います。物欲と個性と夢の記事で取りあげたお話のように、どこかで現実とつないでいければ、それでよいと思います。
「女の子部門」では、「芸能活動については【アイドル】が最も多く65.7%、次いで【モデル】(22.8%)、【歌手】(7.9%)が人気を集めた。」とあります。現実的には、この三者、特にアイドルと歌手とは、かなり重なるようになってきましたが、そのあたりの区別をどのくらいつけているのか、気になるところではあります。
「なお、保護者が“就かせたい職業”のTOP3はそれぞれ、男の子の親部門が【公務員】(1位:18.1%)、【スポーツ選手】(2位:11.8%)、【医師】(3位:7.2%)。女の子の親部門が【看護師】(1位:15.0%)、【ケーキ屋・パン屋】(2位:10.9%)、【公務員】(3位:8.6%)という結果に。」なったそうです。男女とも、自分の頭で考えたくない大学生の記事では否定的にあつかわれた公務員と、医療系と、子ども人気のトップと組みあわせであるところが、興味深く思えます。「女の子部門」の圧倒的なトップは、表では「ケーキ・パン屋」で、こちらでは片方の「屋」がないので、屋内という意味で、サッカーと野球とが大半を占めると思われる「男の子部門」のトップと対比させたのでしょうか。ちなみに、子どもおやつ(幕内秀夫著、主婦の友社)の「子どものおやつ早見表」では、ケーキはワーストのほうです。
表に目を通して、まさかないだろうとは思いましたが、やはりなくて安心したのは、「ユーチューバー」です。毎日新聞のウェブサイトに2週間前に出た記事、スマホっ子の風景 竹内先生の新教育論 「夢はユーチューバー」勉強しない子どもたちが、少ししてから、各所で話題になったところです。「有名なユーチューバーは1億円以上稼いでいる。もうあくせく勉強する時代じゃない。」、ここにはスポーツ選手と同様、頂点のごく少数ばかり見てしまう影響がうかがえる上に、狭義の勉強は、スポーツ以上に不要に見えていることでしょう。何しろ、子どもたちが見ているYouTubeは、あるいはvineなどはもっとそうですが、言ってみれば現代の「無文字文化」なのです。そして、「高い所から飛び降りたり、他の子のズボンをずらしたりしたら数が伸びたので、スカートめくりや男子トイレの盗撮を計画していたら、先生にばれた。」という無法ぶりです。児童ポルノの自撮りの記事で取りあげた「被害」例もそういう面がありますが、直接の動機が性的なところにはない、新しいタイプの「性非行」だといえます。ほしいのは、注目を生むものなのです。
それで思い出したのが、サーチナにきょう出た記事、韓国人のSNSで「いいね」欲しさに猟奇行動がエスカレート=韓国ネット「愛情に飢えた患者だ」「外国から入った物は韓国でみんな変になる」です。「『いいね』が30万を超えたら乳首を燃やす動画をアップする」「動物との性行為を動画に撮ってアップ」、レベルがアップしすぎています。「フォロワー数を増やして金を稼ぐ狙いが、猟奇的な行動をエスカレートさせているのだ。」という見方と、「専門家は「リアルの社会では他人との共感を得られない状況の中、オンラインで刺激的なものをアップして他人に認められるための行動」と分析」したこととは一致しませんが、両立は可能ですし、どちらもほしいことでしょう。そういうようすは、動詞のmouseのようでもありますし、「ネズミ数十匹の写真と共にこんな“公約”を自身のフェイスブックに掲げたユーザーは、実際に10万以上の「いいね」を獲得した後、生きたネズミを食べる動画を公開した。」となると、名詞のmouseの語感とは対照的な蛮勇です。もちろん、見られる場で、お金ほしさに、異様な行動に踏みきる人は、韓国以外にもいます。死のテレビ実験 人はそこまで服従するのか(C. ニック・M. エルチャニノフ著、河出書房新社)には、参加者をあおって大きなゴキブリを食べさせる、アメリカのテレビ番組が紹介されています。