生駒 忍

記事一覧

9番目の「マニュライフわくわくるーむ」

きょう、PR TIMESに、-第6期子どもの療養環境改善のための特別支援プロジェクト- 女子美術大学によるヒーリング・アートを導入した 『マニュライフわくわくるーむ』が都内に完成という記事が出ました。マニュライフ生命保険株式会社によるプレスリリースで、PR TIMESではマニュライフ生命 わくわくチャリティラン2013駅伝 & ハーフマラソンin 味スタ以来5か月ぶりとなります。

記事タイトルには、ヒーリング・アートを取りいれたことが前面に出されていて、重要なアピールポイントであるように思えますが、記事の本体部分の中にはこれの説明がありません。心身障害児総合医療療育センターの君塚葵センター長の発言に、「子どもたちも綺麗になったプレイルームを喜んでおり」とありますので、間接的な言及であればあります。なお、この発言者ですが、記事では「センター所長」とされていますが、センターのウェブサイトにあるセンター長挨拶のページでは、titleタグでも、タイトル画像のgreeting_title.gifでも「センター長」で、一方で最後には「心身障害児総合医療療育センタ-所長」とあって、以前に日本心理研修センター関連の記事でも触れた、ハイフンと長音記号との混同がみられます。みなさんがふだん使っている呼び方は、「センター長」でしょうか、それとも「センター所長」でしょうか。そういえば、福祉教科書 ケアマネジャー 出る! 出る! 一問一答(翔泳社)では、第3章の執筆者のうち、杉田勝は「社会福祉法人創明会 居宅介護支援センター船橋梨香園センター長」、渡辺哲也は「八千代市八千代台地域包括支援センター所長」と書かれていました。

この記事では、記事本体のあとに、写真とそのキャプションをはさんで、かかわったプロジェクトや組織の紹介が続きます。そのうち、社会福祉法人中央共同募金会を説明した部分は、社会福祉法人中央共同募金会定款第1章ではなく、赤い羽根共同募金のウェブサイトの、中央共同募金会についてというページを参考にして書かれたようです。1文目は、このページの「役割と目的」の1文目と一致し、2文目はこのページの2文目をスリム化したものと思われます。3文目は、「中央共同募金会の主な事業内容」の表から、「NHKとの共催により「NHK歳末たすけあい」を実施」と「ボランティア 活動の推進」とを組みあわせたものでしょうか。

アルコール健康障害対策基本法の両面性

きょう、毎日jpに、アルコール依存症:新薬で広がる断酒治療法という記事が出ました。おとといの記事でも触れたレグテクトと、アルコール健康障害対策基本法案提出のうごきについて取りあげています。同じくきょう、北京新浪網に男子戒酒後出現幻覺稱遭人追殺 欲拉妻子四處跑という記事が出て、ぎょっとしたところですが、アルコール依存による問題を減らし、回復への道がひろがるのはよいことだと思います。

気になったのは、「脳」に関する表現です。「多量飲酒により脳の中枢部の神経が変形」とあるのは、「変形」のとらえ方によりますが、誤ったイメージを持たれそうです。「レグテクトは脳に作用するので、併用しても体への負担が少ない」というところには、以前の記事で「脳」と「私」とを分けることの議論について触れたことを思い出しました。なお、経口投与試験では14.1%に副作用として下痢が認められていますので、「体への負担」がないわけではないことに注意してください。

対策基本法の目ざす方向は、基本的には賛同できるものです。福山哲郎議員が語っている、立法によるよい影響は、期待してよさそうだとは思います。ですが、社会的な「理解」による副作用も生じるでしょう。アルコール依存症の章もある、あの「林先生」によるサイコバブル社会 膨張し融解する心の病(林公一著、技術評論社)を読むと、否認の壁が厚いこの疾患が、うつ病やアスペルガーと同様に「明るい病」になった時の、疾病利得や「自称患者」の問題が心配になります。

記事の末尾には、WHOによるアルコール依存症の診断ガイドライン6項目がありますが、医学用の道具ですので、自己判断などに使うのにはなじみにくいように思います。冒頭の「酒を飲めない状況で強い欲求を感じたことがある」からして、わかっている人向けのわかりづらい表現になっています。先ほどのサイコバブル社会にも載っているCAGEテスト4項目のほうが、一般向けとしては有用性が高いかもしれません。

日本心理研修センターのCANPAN団体登録

きょう、CANPAN FIELDSに、一般財団法人日本心理研修センターが登録完了となったようです。団体ID1882008970として、ページができています。

気になったのは、まず、基礎情報のところで、「代表者ホームページ(ブログ)URL」と「URL(団体ホームページ)」とが、どちらもセンターの公式サイトへのリンクとなっていることです。前者は、私の知る限りでは存在しないはずと思いますので、空にしておいてよいように思います。なお、細かいことですが、前者では末尾にスラッシュがつき、後者ではついていないかたちで、ソースを見るとaタグのhref属性もそれぞれこれと対応しています。つけるとつけないとではネットワーク資源への負荷が異なると、昔は言われたことがありますが、今ではもう、ついていてもいなくても、どちらでも気にするほどのことではなくなったようです。そういえば、アニメスタイル003(メディア・パル)にある新房昭之インタビューでは、さよなら絶望先生の黒板ねたはあってもなくてもどちらでもよいものだという話題が出ていました。

また、ずっと下の、「他のNPO・市民活動団体との協働、他の学協会との共同研究・協働の実績」では、研修会で後援を受けた団体名が並べられていますが、ここでの法人格のあつかいがよくわかりません。ただひとつ、日本心理臨床学会だけに「一般社団法人」がつけられて、ほかにはついていませんが、実際のところは、日本行動療法学会と日本人間性心理学会とを除けば、あとはすべて一般社団法人です。

「当事者性を考える研究者の会」回収ずみ資料

きょう、大阪大学吹田キャンパスで、当事者性を考える研究者の会第1回研究会・第4回ナラティブと質的研究会が開催されました。内容については、臨床実践の現象学研究会のウェブサイトにあるお知らせをご覧ください。

3本の発表のうち、2本目は菅波澄治・田辺裕美の2名の連名発表ですが、それぞれが自身のフィールドから得たものを、前後半に切りわけて別個に発表していましたので、さらに2本にわかれるようなかたちでした。そのこともあって、この2本目終了時点で予定時刻から1時間近く延びる展開となりました。ですが、質疑は個別的なところよりも、ナラティブ研究のあり方や、アルコホーリクス・アノニマスの「宗教的」「カルト的」ととられる本質への素朴な疑問などに、かなり割かれました。

この2本目だけは、発表資料に回収を要する部分があるために、資料はすべてが回収されたはずですが、大まかにおぼえている方もいると思いますので、少し補足をしておきます。まず、今年からのアルコール依存の新薬のお話が少しだけありましたが、これももちろん、治すお薬ではなく、回復のためのお薬です。きょう、SankeiBizに、アルコール依存症治療に新薬 神経系に作用、欲求を抑制という記事が出ましたが、これのことです。また、参考文献の中に、断酒が作り出す共同性 アルコール依存からの回復を信じる人々(葛西健太著、世界思想社)が入っていましたが、この著者名の「葛」の字は、正字とされるほうではなく、下が「ヒ」になる略字です。コンピュータ環境では、30年前の83JIS以来の混乱がありますので、このブログも表示環境によってどちらの文字で見えるかが変わってしまい、とてもあつかいにくい文字なのですが、印刷資料でしたら固定できます。配布資料は2004JISで印刷したと思われますが、あの著者名は正字ではないほうにするのが正しいですので、気をつけてください。

犬と飼い主との目元が似て見えるという研究

きょう、asahi.comに、愛犬と飼い主 目がそっくりという記事が出ました。Anthrozoösの電子版で1日から公開されている、Dogs and owners resemble each other in the eye regionという論文の紹介で、「顔全体の雰囲気」ではなく「それぞれの目元」が重要だという著者の取材回答がつきます。

私は、この論文はアブストラクトしか確認できていないのですが、その範囲で引っかかることがあります。実験参加者の人数と属性です。朝日の記事では、「学生ら計547人」とありますが、アブストラクトでは、"In total, 502 Japanese undergraduate students participated in the study."となっています。また、カタカナで「シバイヌ」とあるのも、意味は通じますが、一般的ではない表記のように思います。ありがとう! わさびちゃん(わさびちゃん著、小学館)で、「シメジわさび」とあるのを見て、しめじもひらがなのほうが、私には落ちつくように思われたのを思い出しました。