生駒 忍

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詐欺カウンセリングの青森県民の慶応ボーイ説

けさの毎日新聞青森版に、詐欺:「邪気払い」と現金詐取、女性2人から 容疑で男再逮捕という記事が出ました。msn産経ニュースの、メールで「邪気が…」 除霊名目で現金詐取容疑の男を再逮捕とは同じ事件の報道で、犯行期間は毎日のほうが、金額はmsn産経のほうが、くわしく報じています。また、逮捕する側が青森県警だけかどうかや、容疑者の住所を色吉まで書くかどうかも、両者で分かれました。

その容疑者の住所ですが、先月に別の特定商取引法違反事件で逮捕された時から、同じ県内で変わっています。先月21日の逮捕時には、青森市三内稲元とあったはずです。「邪気払いの能力はない」と認めている容疑者が、所払いにでもあったのでしょうか。

ところで、五龍岳遭難調査報告書というウェブサイトに、この加賀美信という容疑者と同一の名前があります。いい迷惑でしょうか、それとも、同一人物でしょうか。報告書12節には、調査委員のトップに、「とりまとめ」としてこの名前があります。また、編集後記の筆者としても、この名前があります。前の逮捕容疑まで足しても300万円台の詐欺が、三田閥の人の仕事だったらと思うと、無関係な私までついはずかしく感じてしまいます。報告書の編集後記を見ると、遭難死した卒業後間もない2名とは学生だった時期に重なりがあるようですし、99年9月の時点でOBになっているということは、22歳で慶応を卒業し、ことしの誕生日で37になるがまだ誕生日が来ていないと考えれば、容疑者が36歳であることと整合します。

一方で、別人であるとみる解釈を有利にするような手がかりもあります。調査報告書のサイトの管理人室には、サイトの管理人の名前は出ていませんが、「生年月:1974年」と書かれていて、月はわからなくても、この人が現在36歳ではないことは明らかです。そして、トップページ下部にあるメール送信先は、アカウント名がshinchanとなっています。14名の調査委員のうち、このメールアカウントの持ち主なのは、加賀美「信」だと考えると自然です。そこから、サイトの管理人がこの人物であると仮定すると、年齢から詐欺犯とは別人ということになります。あるいは、詐欺犯が出たとしても、名誉ある三田閥からでしたら、こんな小さな仕事は絶対にありえないと考えることでも、否定的な解釈が導かれます。Yourpediaではひどい記事にされている慶大生ファンド詐欺事件とは、月とすっぽんでしょう。文字どおりにけた違いでもあることから、平成ニッポンのお金持ちとビンボー人 同じ職業でも月とスッポン!現代人気職業の栄光と悲哀(渡辺和博・安西繁美著、扶桑社)を思い出しました。

やりたいことを見つける方法と若者の自信

きょう、zakzakに、Facebookと起業マインドマップ やりたいことをネットで公言して反応確認という記事が出ました。久保田達也という人による、起業準備の方法の提案です。

あくまでも、「そこで考えてみたのが」という程度の机上のアイデアを述べたものですし、この記事自体がまさに、ITを使ってとりあえずの着想への反応を集めて利用したいというねらいであるようにも見えてしまいますが、自分に合うと思った方は、試してみてもよいと思います。ですが、起業が目的、目標になっていて、その目的のためにこれから起業内容を考えようという流れには、本末転倒な印象を受けてしまいます。自分の会社を持つのが夢、若くして社長になるのが夢だという人を想定しているのでしょうか。おとといのBusiness Journalの記事、お金持ちになっても幸せになれない人、やりたいことをやっているが達成感がない人の問題点にある、三好比呂己が仕事の成功と人生の幸せとの両立が可能だと証明するためにラーメン店も展開しているお話や、心理学関係では吉本伊信の、身調べのよろこびを広めたいために事業を成功させたお話は例外的だとしても、起業は手段であるのがふつうだと思います。合格、内定、結婚など、それを目的にしてがんばった人がその後におちいる問題のことが、頭にうかんでしまいました。

記事中で何度も出てくるように、起業はしたいのに、起業してやりたいことは見えていないので、それを探したいという都合のようです。いわゆる「自分探し」の変形版のようですが、天竺に真理を求めた玄奘に千数百年遅れて、インドまで自分を探しにいくよりは、ずっと現実的でしょう。「いきなり自分が一番やりたい仕事をすらすらと書ける人は、ほとんどいない」のも、その意味ではしかたがないかと思います。いきなり聞かれたらそれこそ、男子高校生の日常3(山内泰延作、スクウェア・エニックス)の51話の3種のようなものしか出てこないこともあるでしょう。また、そのときにがんばっているものが、一番やりたいものとも限りません。陸上競技マガジン 2013年11月号(ベースボール・マガジン社)にある、京都府立園部高等学校の濱口美菜が「浜口美菜」として対応したインタビューでは、「やりたいことがあるので、日本ジュニアで引退します」とあって、ハンマー投はやりたいことではなかったことが明かされています。五輪戦士の「黒メダル」25年史(4)に登場する、名前を売って転進するためにオリンピックに出た成田童夢を思い出しました。

がんばっていることはあっても、やりたいことは別なのが、いまの若者ではふつうなのでしょうか。きょう、DIAMOND IT&ビジネスに、ITを駆使した教育投資システムは若者の就労問題を改善できるかという記事が出ましたが、そこでは毛受芳高という人が、「今の子どもたちには、やりたいことや夢・目標がない、自信もない。」と言いきっています。自信までないと言うのです。他人を見下す若者たち(速水敏彦著、講談社)で批判的にあつかわれた、根拠のない自信ばかりなのでしょうか。あるいは、根拠があってもそれを受けいれない、インポスター現象(P.R. クランス著、筑摩書房)の世界なのでしょうか。そういえば、今年のミス立教決定を、きのうになって池袋経済新聞が記事にした2013年度「ミス立教大学」が決定-社会学部3年・鎌田あゆみさんがミスにによれば、頂点に立った鎌田は「初めから最後まで自信がなかった」そうです。

では、やりたいことを持てるようにするには、どうしたらよいのでしょうか。きのう、東洋経済ONLINEに出た、東大夫婦が「お勉強」より重視することという記事では、6歳の堀込峻平、2歳の堀込耕平の兄弟に対して、「自分でやりたいことを見つけられる子に育ってほしい」と望んで子育てにのぞむ夫婦が取りあげられています。「保育園の先生と友達の元に」と誤字があることは気にせずに、ここにえがかれた子育て論を読んでおいて、後でその望みがどのくらい実現しているか、追跡をやりたい気持ちが少し出てきます。

自閉症の公社職員に落語を頼んだ施設職員

きょう、YOMIURI ONLINEに、自閉症の19歳、落語公演…枝雀に憧れ独学という記事が出ました。ひとりで「話し」続けたり、暗記が得意だったりという、わかりやすい自閉症の特徴が落語につながって活躍の場を得た、瑞穂市ふれあい公共公社の職員の紹介です。

気になったのは、「知的障害者支援施設「神戸明生園」(神戸市北区)の女性職員(51)」に関することです。まず、氏名は出さずに性別と年齢は出しているところです。この記事の中で、頼んだのが中年女性であることは、文章のはこびには関係がなさそうですし、特別な社会的価値のあることとも思えません。「正光寺しなの」のほうに「男性職員」とは書かないわけで、もちろんそれは、自閉症、名前が「颯一郎」、落語やしなのが好き、そして「息子」と重なれば、書かなくても性別の見当がつくので書かなかったという可能性もありますが、アンバランスな感じを受けます。あるいは逆に、詳細がわからない人物だからこそ、年齢と性別ははっきりさせたいのだろうと考える方もいるかもしれませんが、もしそうなのでしたら、「直子さんの知人」や「小学校時代の担任」も、当時のものか今のものかのどちらかで、年齢や性別が書かれるはずです。

また、この女性職員は、「ぜひ園生にも聞かせたい」「園生にもいい刺激を与えてくれるはず」と発言しています。落語だけに、三遊亭圓生を連想してしまいました。桂枝雀とはまったく芸風が異なりますが、ひたすらまじめにはげみ、次々に演目を覚え、人格的にもストレートであったところが、軽い自閉症だというこの方にもありそうな特徴のようにも思えます。もしかすると、天国の圓生にも聞かせたいほどの芸、という連想まで考えての「園生」発言だとしたら、性別はともかくとしても、年齢を書いた意味はあったのかもしれません。そのころは子どもだったとしても、圓生をリアルタイムで知っている可能性を示しているのです。もう、今の若者なら、「圓生」の読み方さえわからないかもしれません。そういえば、日本の大学 この国の若者は、こんなんでっせ!(桂文珍著、PHP研究所)には、圓生は正しく呼べるが小さんの名前はそうでなかった人のお話が出てきます。

ガガのアルバムに北岡錯視が採用されました

きょう、MUSICman-NETに、ガガ、ニューアルバム盤面に「錯視」研究の第一人者北岡明佳教授のアート作品を使用という記事が出ました。レディー・ガガの最新アルバム、ARTPOPへの採用が報じられており、北岡作品がKFCキャンペーンでのきゃりーぱみゅぱみゅとの共演から半年で、一気に世界のトップとのコラボレーションを果たしたことになります。

取材対応をしたと思われる作者の笑顔の写真では、左手に持った人はなぜ錯視にだまされるのか?(北岡明佳著、カンゼン)の位置が、いい味を出しています。表紙のふきだしがちょうど、後方にある錯視大解析(北岡明佳著、カンゼン)とうまく当たっていて、錯視的な見え方を楽しめるようになっているのです。ふきだしがどこから出たものを表現しているのかは、考えずにわかるものですが、それを判断する認知過程の解明は、進んでいないように思います。たとえば、しごとの基礎英語 2013年10月号(NHK出版)の91ページで、ペンギンのまわりのふきだしは、ペンギンが発したもののようには見えません。また、「サブリミナル昔話」という一部で有名な4コマ作品は、ふきだし理解の裏をかいて見せています。そのあたりへの注意や関心の喚起も、多少は意識してこの構図にしたのかもしれません。

私などは、トップ歌手とのコラボレーションはいくらになるのだろうかと、下世話な関心が頭にうかんでしまいますが、この方は心理学者としては異例の、アート作品での著作権関連の収入を得てきている方です。私を含め、文章でならたくさんいますが、それ以外はなかなかいません。いずれもペンネームですが、「心の授業」シリーズ(北大路書房)の三森創チビクロひるね(北大路書房)の森まりもが、国立大学の心理学者です。ヒトのココロの不思議がわかる ココロ学入門(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の上田彩子は、理研BSI-トヨタ連携センターの研究員です。また、北山修には、契約によっては「きたやまおさむ」時代の著作権収入も入っていそうです。

そうはいっても、著作権については、より本業に近い方でもあまりなじみがないこともあるようです。きょう、Tech insightに、SMAP中居の疑問「笑いに著作権はない?」に東野・松本が出した答え。という記事が出て、そのように感じました。東野幸治というお笑い芸人は、チャンバラトリオが考案したハリセンには著作権がないと言ったそうですが、産業財産権と混同していそうな印象です。そして、松本人志がギャグについて取りあげたようですが、一般に、ギャグには著作権が発生しないとされています。知的所有権 Q&A100のポイント(小野昌延著、有斐閣)も、「ギャグには著作権はありません」と明言しています。東野もこの間、この間。(ワニブックス)を出したところですが、今では映画監督ということにもなっている松本は、遺書(朝日新聞社)に始まる数々の著作がありますので、本来の「著作」権の理解は深そうなものですが、どうなのでしょうか。

「本来の」といえば、きょう、福山大学学長室ブログに、心理学科4年生が「模範青少年」として県知事表彰を受けました!という記事が出ました。心理学者でもある松田文子学長の、「三吉君はAO入試の本来の意義・意味を体現してくれました!! おめでとう!!」というよろこびのことばで締めくくられていますが、「本来の」という表現は、この場ではつけないほうがよいのではと、よそ者ながら思いました。

加藤敏幸議員が提示する障害者関連の統計数値

きょう、加藤敏幸参議院議員の公式サイトに、障害者の一般就労の拡大に向けてという記事が出ました。8月末から更新が止まっていた政策レポートのコーナーの、ひさびさの新記事です。

内容はとても堅実で、就労移行事業への高評価やさらなる充実の方向性には、総論として同意できます。ですが、教科書的な「障害者雇用政策の歴史」のセクションの分量が大きく、その後の議論も総花的で、とげもそつもない正論をつづっているという印象でもあります。斬新な提言も、きびしい政府・与党批判も、自身の取りくみの紹介も、障害者福祉への情熱のアピールもありません。利休にたずねよ(山本兼一作、PHP研究所)のような、枯れて見えても中は熱いというようにも感じません。私は職業上、そういう平板に文字数を埋めた「レポート」にはよく慣れていて、見たところ主張に大きな穴はないようですので、ふつうに読めてしまいましたが、つまらなくて途中で読む気がなくなってしまった人もいるかもしれません。このレポートは、BLOGOS記事にもなっていますが、まだ支持も0、意見も0とさびしく、ここは電機連合の力で、などとおかしなことをつい考えてしまいました。

細かいところで気になったのは、論拠に使われている統計データにやや古いものがが混ざることです。民主党が政権の座についていたころのものを使いたかったのでしょうか。たとえば、「2010年時点における法定雇用率達成企業の割合が47%程度に止まっている」とあるのは、結果的にはほぼ同じですが、やや古い数値です。達成割合は「障害者雇用状況」として毎年把握されていて、そろそろまた新しいものが発表されると思いますが、現状での最新版は平成24年 障害者雇用状況の集計結果で、昨年6月1日現在で46.8%です。民主党政権だったその1年前の45.3%から、やや改善しています。

「現在、5人以上の事業所で働いている障害者は、身体障害者が約34万6000人、知的障害者が約7万3000人、精神障害者が約2万9000人、総計で約44万8000人」とあるのも、「平成20年事業所調査」からの数値ということです。これに関しては、2011年12月1日現在での抽出調査結果が、第5回 障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会 (資料)の資料4にあります。ここから総数を推定すればよいのですが、事業所の規模ごとに回収率が異なり、「規模不明」もわずかながら生じていますので、正確な推定には少し手間がかかります。なお、先ほど示した平成24年 障害者雇用状況の集計結果には、雇用障害者数がはっきり出ていて、これを使うほうが早いと思いますが、こちらは調査時点で雇用義務が生じている規模のところを対象とした調査ですので、ずっと少なくなっています。また、加藤のレポートには「精神障害者については、これまで雇用が義務づけされてこなかったこともあって近年、就労が伸びておらす」とありますが、この集計結果には、「精神障害者は16,607.0人(同27.5%増)と、いずれも前年より増加し、特に精神障害者が大きく増加」とあります。

「現在、我が国の障害者の総数は約744万人とされています。」とありますが、平成25年障害者白書の数値で算出すると、3障害を合わせて741.1万人となります。加えて、「精神障害者については、身体障害者や知的障害者のような実態調査が行われていないため、医療機関を利用した精神疾患患者数を精神障害者数としていることから、一過性の精神疾患のために日常生活や社会生活上の相当な制限を継続的には有しない者も含まれている可能性がある。」とあることにも気をつけたいところです。