生駒 忍

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ガガのアルバムに北岡錯視が採用されました

きょう、MUSICman-NETに、ガガ、ニューアルバム盤面に「錯視」研究の第一人者北岡明佳教授のアート作品を使用という記事が出ました。レディー・ガガの最新アルバム、ARTPOPへの採用が報じられており、北岡作品がKFCキャンペーンでのきゃりーぱみゅぱみゅとの共演から半年で、一気に世界のトップとのコラボレーションを果たしたことになります。

取材対応をしたと思われる作者の笑顔の写真では、左手に持った人はなぜ錯視にだまされるのか?(北岡明佳著、カンゼン)の位置が、いい味を出しています。表紙のふきだしがちょうど、後方にある錯視大解析(北岡明佳著、カンゼン)とうまく当たっていて、錯視的な見え方を楽しめるようになっているのです。ふきだしがどこから出たものを表現しているのかは、考えずにわかるものですが、それを判断する認知過程の解明は、進んでいないように思います。たとえば、しごとの基礎英語 2013年10月号(NHK出版)の91ページで、ペンギンのまわりのふきだしは、ペンギンが発したもののようには見えません。また、「サブリミナル昔話」という一部で有名な4コマ作品は、ふきだし理解の裏をかいて見せています。そのあたりへの注意や関心の喚起も、多少は意識してこの構図にしたのかもしれません。

私などは、トップ歌手とのコラボレーションはいくらになるのだろうかと、下世話な関心が頭にうかんでしまいますが、この方は心理学者としては異例の、アート作品での著作権関連の収入を得てきている方です。私を含め、文章でならたくさんいますが、それ以外はなかなかいません。いずれもペンネームですが、「心の授業」シリーズ(北大路書房)の三森創チビクロひるね(北大路書房)の森まりもが、国立大学の心理学者です。ヒトのココロの不思議がわかる ココロ学入門(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の上田彩子は、理研BSI-トヨタ連携センターの研究員です。また、北山修には、契約によっては「きたやまおさむ」時代の著作権収入も入っていそうです。

そうはいっても、著作権については、より本業に近い方でもあまりなじみがないこともあるようです。きょう、Tech insightに、SMAP中居の疑問「笑いに著作権はない?」に東野・松本が出した答え。という記事が出て、そのように感じました。東野幸治というお笑い芸人は、チャンバラトリオが考案したハリセンには著作権がないと言ったそうですが、産業財産権と混同していそうな印象です。そして、松本人志がギャグについて取りあげたようですが、一般に、ギャグには著作権が発生しないとされています。知的所有権 Q&A100のポイント(小野昌延著、有斐閣)も、「ギャグには著作権はありません」と明言しています。東野もこの間、この間。(ワニブックス)を出したところですが、今では映画監督ということにもなっている松本は、遺書(朝日新聞社)に始まる数々の著作がありますので、本来の「著作」権の理解は深そうなものですが、どうなのでしょうか。

「本来の」といえば、きょう、福山大学学長室ブログに、心理学科4年生が「模範青少年」として県知事表彰を受けました!という記事が出ました。心理学者でもある松田文子学長の、「三吉君はAO入試の本来の意義・意味を体現してくれました!! おめでとう!!」というよろこびのことばで締めくくられていますが、「本来の」という表現は、この場ではつけないほうがよいのではと、よそ者ながら思いました。