きょう、zakzakに、Facebookと起業マインドマップ やりたいことをネットで公言して反応確認という記事が出ました。久保田達也という人による、起業準備の方法の提案です。
あくまでも、「そこで考えてみたのが」という程度の机上のアイデアを述べたものですし、この記事自体がまさに、ITを使ってとりあえずの着想への反応を集めて利用したいというねらいであるようにも見えてしまいますが、自分に合うと思った方は、試してみてもよいと思います。ですが、起業が目的、目標になっていて、その目的のためにこれから起業内容を考えようという流れには、本末転倒な印象を受けてしまいます。自分の会社を持つのが夢、若くして社長になるのが夢だという人を想定しているのでしょうか。おとといのBusiness Journalの記事、お金持ちになっても幸せになれない人、やりたいことをやっているが達成感がない人の問題点にある、三好比呂己が仕事の成功と人生の幸せとの両立が可能だと証明するためにラーメン店も展開しているお話や、心理学関係では吉本伊信の、身調べのよろこびを広めたいために事業を成功させたお話は例外的だとしても、起業は手段であるのがふつうだと思います。合格、内定、結婚など、それを目的にしてがんばった人がその後におちいる問題のことが、頭にうかんでしまいました。
記事中で何度も出てくるように、起業はしたいのに、起業してやりたいことは見えていないので、それを探したいという都合のようです。いわゆる「自分探し」の変形版のようですが、天竺に真理を求めた玄奘に千数百年遅れて、インドまで自分を探しにいくよりは、ずっと現実的でしょう。「いきなり自分が一番やりたい仕事をすらすらと書ける人は、ほとんどいない」のも、その意味ではしかたがないかと思います。いきなり聞かれたらそれこそ、男子高校生の日常3(山内泰延作、スクウェア・エニックス)の51話の3種のようなものしか出てこないこともあるでしょう。また、そのときにがんばっているものが、一番やりたいものとも限りません。陸上競技マガジン 2013年11月号(ベースボール・マガジン社)にある、京都府立園部高等学校の濱口美菜が「浜口美菜」として対応したインタビューでは、「やりたいことがあるので、日本ジュニアで引退します」とあって、ハンマー投はやりたいことではなかったことが明かされています。五輪戦士の「黒メダル」25年史(4)に登場する、名前を売って転進するためにオリンピックに出た成田童夢を思い出しました。
がんばっていることはあっても、やりたいことは別なのが、いまの若者ではふつうなのでしょうか。きょう、DIAMOND IT&ビジネスに、ITを駆使した教育投資システムは若者の就労問題を改善できるかという記事が出ましたが、そこでは毛受芳高という人が、「今の子どもたちには、やりたいことや夢・目標がない、自信もない。」と言いきっています。自信までないと言うのです。他人を見下す若者たち(速水敏彦著、講談社)で批判的にあつかわれた、根拠のない自信ばかりなのでしょうか。あるいは、根拠があってもそれを受けいれない、インポスター現象(P.R. クランス著、筑摩書房)の世界なのでしょうか。そういえば、今年のミス立教決定を、きのうになって池袋経済新聞が記事にした2013年度「ミス立教大学」が決定-社会学部3年・鎌田あゆみさんがミスにによれば、頂点に立った鎌田は「初めから最後まで自信がなかった」そうです。
では、やりたいことを持てるようにするには、どうしたらよいのでしょうか。きのう、東洋経済ONLINEに出た、東大夫婦が「お勉強」より重視することという記事では、6歳の堀込峻平、2歳の堀込耕平の兄弟に対して、「自分でやりたいことを見つけられる子に育ってほしい」と望んで子育てにのぞむ夫婦が取りあげられています。「保育園の先生と友達の元に」と誤字があることは気にせずに、ここにえがかれた子育て論を読んでおいて、後でその望みがどのくらい実現しているか、追跡をやりたい気持ちが少し出てきます。