生駒 忍

記事一覧

「本当の精神年齢」の計算と「自称火星人」

きょう、マイナビウーマンに、【心理テスト】実年齢との差はどれくらい!? あなたの「本当の精神年齢」がわかるという記事が出ました。

宇宙人のことばの4択で、「どの選択肢を選ぶかによって、あなたの「本当の精神年齢」がわかります。」とのことです。その年齢が直接書いてあるわけではありませんが、かんたんな計算ですぐ出せます。そして、それぞれの説明が、1段落ずつあります。一つ目の選択肢のタイトルの前にも改行を入れると、その構造が見えやすかったと思います。

「ビックリするあなたに、宇宙人はフレンドリーに話しかけてきました。」という設定です。ですが、選択肢2は、フレンドリーには感じにくいものです。つっこみのような雰囲気をイメージすればよさそうですが、筆者は「詰問調のフレーズ」「偉そうで高圧的」とします。

選択肢4は、「あなたはきっと「宇宙人なんだから、何を言っているのかわからないはずでしょ」とクールに判断したのでしょう。」とされます。ですが、UFOは見える人には見えるものだという、カラスの死骸はなぜ見あたらないのか あなたの常識がひっくり返る本(矢追純一著、雄鶏社)のような視点が、ここにもあてはまるかもしれません。ダイニングテーブルのミイラ セラピストが語る奇妙な臨床事例(J.A. コトラー・J. カールソン著、福村出版)に登場する、ジェイ・ヘイリーと長いつきあいをもった「自称火星人」のエピソードを思い出しました。火星での名前をいくつも持ち、コミュニケーションを研究していたヘイリーでさえコミュニケーションが困難だったこの火星人を、となりの部屋のクライエントと対面させてみたところ、みごとな通じあいを見せたのでした。

再度の新福菜館本店紹介と「やきめし飯」批判

きょう、ロケットニュース24に、地元民イチオシ! 名店中の名店「新福菜館本店」は中華そばだけでなく “やきめし” も絶品!!という記事が出ました。

「JR京都駅の北口を出て、東側に向かって数分歩くと、いつも行列の絶えない2つのラーメン店がある。「京都たかばし 本家第一旭」と「新福菜館本店」だ。」と書き出されます。鉄道ファンには、JR京都駅には、西口や地下東口はあっても「北口」はない、近鉄にもない、地下鉄にあるのは「北改札」だと言われるかもしれませんが、ふつうは京都駅を出ると、ここでいう「北口」のほうになるのが自然でしょう。少なくとも私は、反対側から駅に入ったことは何度かありますが、駅から反対側へと出たことはありません。「地元出身」の筆者は、南にも出られることを、あるいは南にも出られると知っていることを、遠まわしに表現したかったのでしょうか。

「実はその2店のうち、「新福菜館本店」は以前に以前ロケットニュース24でもお伝えした。」と来るので、今回は第一旭の記事かというと、またも新福菜館の記事です。しかも、タイトルからすると、今回はやきめしに焦点をあてるように見えますが、写真の数は中華そばの倍でも、文章ではやきめしはつけたしのようなあつかいです。

では、また同じような記事を書いたのは、「1回取り上げただけでは、まだまだ」だから、というだけでしょうか。1か月前に、GIGAZINEに京都を代表する老舗ラーメン店の1つ「新福菜館本店」に行ってきましたという記事が出たところで、むしろそちらの二番煎じのように見えてしまい、ライターのお仕事として、スマートではないようにも思えます。原稿のねたが切れてしまい、やきめしだけに焼きなおしと考えたのでしょうか。グルメの嘘(友里征耶著、新潮社)でいう「ヨイショ・ライター」、グルメの真実(友里征耶著、宝島社)でいう「ヨイショライター」ではないと信じたいところです。あるいは、前の記事に事実に反することを書いたので、その罪ほろぼしという意識もあるかもしれません。

紹介文は、ロケットニュースらしく平易で、親しみやすく書かれています。「奥行きを感じさせるスープの中で、醤油の風味がふんわりと広がっているイメージ」とあるくらいで、先ほどのグルメの嘘の「味の表現に気味の悪い形容詞を使うな」には引っかかりません。私は単純なので、いわゆる「ぐるナビ文学」よりも、こういうもので反応してしまったりします。ですが、次に京都に行くのは9月の予定で、しばらくは手がとどきません。そこで、先ほど、マルちゃん 京都 新福菜館監修 やきめし飯を食べました。Amazon.co.jpでさんざんな評価をあびていることには、食べた後で気がつきました。本物のやきめしと味が同じでないことへの不満があるようですが、この値段ですし、そもそもやきめしではなく、「やきめし飯」です。この商品は、昨年にリニューアルを加えて、ずっと売られていますので、看板を貸したほうもお金と引きかえに同意した味のはずです。がまんならないという人には、新福菜館にやめるよう要求して、そのときの反応を教えてほしいと思います。

ニート減少に関する計算方法と福祉的支援

きょう、BLOGOSに、ニートは、新しい「福祉」課題~それは雇用対策ではないという記事が出ました。10日ほど前に話題になった、平成26年版子ども・若者白書が示したニート3万人減少の報道を受けて書かれたもののようです。

人数に関する「しょぼいごまかし」の検証から入っています。「素人計算なので間違ってたらごめんなさい。」と謙虚な態度ですが、大きくはずれる計算ではないと思います。ですが、特徴的な認識が少々見うけられます。まず、「いまの15才は少子化が始まったあたりの年齢であり、その年齢の人口は118万人いる。」としますが、少子化の始まりはそれよりずっと前でしょう。いつからとぴったり決めるのはむずかしいですが、家族の衰退が招く未来 「将来の安心」と「経済成長」は取り戻せるか(山田昌弘・塚崎公義著、東洋経済新報社)には、「日本の少子化が始まるのは1975年頃からです。」とあります。少なくとも、平成25年人口動態統計月報年計(概数)の概況で推移を見れば、世紀が変わるころが始まりだとは考えにくいことがわかります。少子化と少子化対策を混同した上に、少子化対策推進基本方針を少子化対策の始まりだと考えたのでしょうか。内閣府のウェブサイトの国の取組みを見ると、それ自体は図には登場しませんし、新エンゼルプランはこの基本方針と対応しますが、「新」のほうを知っていて、エンゼルプランを知らないとは考えにくいはずです。

「団塊ジュニア世代の最期」とあって、皮肉のつもりの誤字かどうかはともかくとしても、第2次ベビーブームによる人口の山は、ニート人口の分布を大きくは左右しなかったようです。白書の39ページ、第1-4-13図の左側を見れば、世代間の比率は安定していることがわかります。団塊ジュニアが34歳を越していったここ10年間も、おおむね横ばいです。

「15~34才の若年無業者の割合は2.2%らしいので、これを35才年齢にも当てはめてみるると、161万人の2.2%は3万5千人程度となる。」とあります。「2.2%らしい」と、白書に明示された数値をうたがうような書き方なのが気になります。人数が減ったというという事実を「しょぼいごまかし」とみることの検証の中で、実は割合でみても減少している事実を認めるわけにはいかなかったのでしょうか。ですが、35歳に対しては、この率ではやや低いはずです。この2.2%はその35歳が含まれないデータの数値ですので、この世代がぎりぎり入っていた直近のデータ、2.3%のほうが、どちらかといえば妥当かもしれません。また、低い年齢層ではニートがまだ発生しにくいので、それを含めた全体での割合からでは、低めの推測になるでしょう。NEETの2番目のEか3番目のEかには混乱がありますが、学生の間は「無業」でも定義からはずれます。少し前のデータですが、内閣府による若年無業者(15~39歳)数及び割合 ~就業構造基本調査(平成19年)の再集計結果~を見てください。

それと関連しますが、「でも、63万から3万5千を引くと59万5千人のはずなのに60万人なのは、新しい15才のニートが案外いるのか、全世代にわたってプチ増加しているのか?」とあるのも、気になる理解です。この筆者なら、ニートのかなりの割合を占める引きこもりの実体を、知っているはずです。中学校の不登校からそのまま移行した引きこもりの多くは、ニートの定義に該当します。「案外」なのかはわかりませんが、これだけで一定数がいるはずです。また、「プチ増加」という表現がよいかどうかはともかくとしても、むしろニートの大半は、15歳よりも後でニートになります。未成年のうちは、先ほどのEがあることでニートに入りようがない人が大半であることが、高校進学率、大学進学率を考えれば見当がつきます。また、ニートと強く対応する引きこもりのデータが、白書の41ページ、第1-4-17図にありますが、きっかけの1位は「職場になじめなかった」です。6位の「大学になじめなかった」も同様ですが、中学校卒業時点にすでにではなく、その後でそうなったことが明らかなきっかけです。個別の割合はわかりませんが、高校の不登校、大学受験の失敗、大学卒業時の就職活動の失敗などの関与もあるでしょうから、ライフステージごとに新規参入のタイミングがあり、同世代ですでにニートの人がそれ以上に脱却しないかぎりは、各世代の「プチ増加」は避けられません。

「子どもの社会保険や「障害者年金」の可否」とありますが、公的年金に「障害者年金」という制度はありません。ニートの場合、障害厚生年金や障害共済年金に該当する人は少ないでしょうし、ニートになる前のアルバイト中の労働災害を理由としての障害年金や障害補償年金も可能性としてはありますが、ほぼ障害基礎年金のことだと考えてよいでしょう。ですが、「ひきこもりの高齢化」と関連した議論であれば無拠出年金は考えにくいので、残り2年を切った特例はあるにしても、保険料納付要件は避けられません。なお、国民年金といえば、ニートの定義が34歳までなのは、国民年金の受給資格期間とのからみだというお話を考えると、10年に短縮されるのですから、定義を変える機会につなげられるかもしれません。

最終的には、「これは、「減らない」種類の問題」として、タイトルにあるように、ニート問題は福祉の問題だという結論にいたります。筆者のお仕事に関連する福祉予算を増額しろと言いたいのだと読んだ人もいるかもしれませんが、私が思い出したのは、社会的ひきこもり 終わらない思春期(斎藤環著、PHP研究所)です。この本はもちろん、ニートではなく引きこもりを論じたものですが、抜けられない引きこもりに、精神保健福祉的な居場所の利用を提案していました。使いにくいところはあっても、現実的な選択として、その方向を挙げたのでした。「ひきこもり対応フローチャート」では、「社会参加」に抜けられない場合に入る先は、「テイケア・クラブの利用」「入院・ハウス利用」でした。

90度回転で別の絵になる「鳥のグラフ」画像

きょう、らばQに、別の意味で秀逸だと評判を呼んでいた「鳥のグラフ」という記事が出ました。

顔のだまし絵の一種で、ひっくり返すとまた別の顔になるものは、よく知られています。ですが、そこまでいかず、その半分の回転で別ものになる絵は、めずらしいと思います。ガジェット通信の記事、「しんふ」←これ何に見える? ネットで話題に! 90度回転させると……を思い出した方も多いと思いますが、あれは文字と顔という関係で、どちらも絵というわけではありません。あるいは、90度回転に反転も足したものとして、トリック 劇場版(堤幸彦監督)の「トイレツマル」がありますが、あれはどちらも文字でした。

「いささか課題もありますが」とされたのは、同感です。Trinograph.に名前以外でも近づくのは無茶であるにしても、もう少しくふうをしたくなります。ですが、片方の向きからいじって、せっかくよくなっても、もう片方がまたずれますので、手間がかかりそうです。ふと、家族の悪知恵 身もフタもないけど役に立つ49のヒント(西原理恵子著、文藝春秋)にある、「整形した姉が「あんたも整形しろ」と言う。」を思い出してしまいました。

笑点の台本の存在を指摘する「業界関係者」

きょう、メンズサイゾーに、祝、桂歌丸師匠復帰! カオス状態のイレギュラー回も絶賛された『笑点』の安定人気という記事が出ました。現在、人気女子アナ「AV出演」疑惑で騒動に…担当番組から顔写真消えるが相当なアクセスを集めているメンズサイゾーですが、こちらはお色気の気のない話題です。

記事の主題は、復帰そのものではなく、それより前の放送内容についてなので、今さらと思った人もいるでしょう。それも、取材したといえる内容は、「業界関係者」のやや長い声があるくらいです。やや長いのは、主題につなげる導入があるからで、出だしは「常にアドリブで勝負しているように見える笑点ですが、きっちり台本があって大喜利のお題も事前に知らされているというのは有名な話ですよね。」です。ブックでも入手できたのならともかく、業種までふせた匿名の人に言わせるほどのことでもないように思いますが、「業界」では一大タブーなのでしょうか。週刊ポスト 11月22日号(小学館)では、ビートたけしが笑点を、「あんなもん、落語家たちは放送作家が作ったネタを読み上げてるだけ」と斬りましたが、そのくらいの人でないと言えないのでしょうか。一方で、テレビの伝説 長寿番組の秘密(文藝春秋)には、歌丸も登場し、大喜利の回答を「全てアドリブ」と断言しています。

この後、かわって司会をつとめた時の林家木久扇や三遊亭圓楽の暴走の紹介が、最後の論評まで続きます。「やりたい放題」なのは筆者のほうも、とは思いませんでしたが、もっと前に出せる話題、ほかでもう話題になった話題で今さらという感じはあります。

そういえば、やりたい放題で思い出しましたが、きょう、OKWaveに、アンケートカテゴリーは無法地帯?という質問記事が出ました。回答にある、「KBT☆3とかMTNなど意味不明な単語が横行」は、私は別に困りはしませんが、一般論として困ったものだとは思っていました。また、「踏み潰されたら~シリーズってどこにあるんですか?」と疑問を向けた人もいますが、これはおそらく、以前にはちべえトマトパンの記事で触れた人の、最近の活動のことでしょう。