生駒 忍

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障害基礎年金をもらうとうらまれるという情報

きょう、Yahoo!知恵袋に、障害基礎年金をもらってると人から恨まれると聞いたのですが、 実際そうなのでし...という記事が出ました。

誰から聞いたのでしょうか。一家に3人も受給者がいるのはめずらしいと思いますが、それでも実際そうなのかと質問してくるほどですから、まずありえないことだと思います。もちろん私も、聞いたことがありません。ねたまれる、あるいはうらやまれるというならば、まだ理解できますが、うらみではつじつまがあいません。安直ですが、デジタル大辞泉を引くと、「他からの仕打ちを不満に思って憤り憎む気持ち。」とあります。日本の年金に関心のある、日本語に不慣れな人が言っていたのかもしれません。

そういえば、グッド・ヴィジョン(佐藤富雄著、ゴマブックス)は、「絶対に他人の成功や富をうらやんではなりません。あなたの心が思ったことは、かならずあなたの内部に何かをもたらします。」と断言しています。そして、その根拠に、フェリー沈没事故への発言の記事でも触れた、「脳は主語を理解できない」説が登場します。

株主総会の分散と横にはすべらないサーフィン

きょう、YOMIURI ONLINEに、株主総会は分散化…集中日、初の1000社割れという記事が出ました。

「株主総会の集中日となった27日、警察庁の推計で、全国で957社が総会を開いた。」とあります。ですが、おそらくこれは、単純に数えただけですので、「推計」と呼ぶことには、やや違和感があります。そこで、ほかの新聞社でのあつかいを見てみました。すると、朝日新聞デジタルの957社が株主総会 総会屋は20年前の半数にでは「警察庁によると、全国で昨年より101社少ない957社が総会を開く。」、毎日新聞の株主総会:開催の分散化進む ピークも初の30%台では「東京証券取引所によると、この日だけで東証に上場する企業2375社のうち、38.7%にあたる918社が総会を開催。」、msn産経ニュースの株主総会、きょうピーク 上場企業の4割弱 武田薬品、ユニチカ、任天堂…では「東京証券取引所の集計では、対象となる3月期決算の上場企業2375社のうち、4割弱の918社が27日の総会を予定。」、日経電子版の株主総会ピーク957社開催 武田はウェバー氏の取締役選任可決では「警察庁の前日の集計では全国で957社が開催。」、といったぐあいでした。

写真のキャプションには、「三菱UFJフィナンシャル・グループの定時株主総会に向かう人たち」とあります。ですが、もうほとんど到着しているようなもので、いま向かっているという感じがあまりしません。また、看板を正面にして真横へ向かう流れをとらえたのも、向かう感じを受けにくくしているように思います。そういえば、サーフィンがおもしろいほど上達する本(枻出版社)に、「「斜めに滑る」を「横に滑る」と思っている人が少なくない」というお話がありました。

ためになるDSゲームとのび太へのプレゼント

きょう、OKWaveに、為になるゲームはなんですか?という質問記事が出ました。

同じ人が15分ほど前に立てた女性の扱いがうまい人、慣れている人とはどんな人?とは異なり、こちらはまだ、まったく回答をもらえていません。私としては、以前に論文で触れたこともあり、SIMPLE DSシリーズVol.19 やればできる! THE マイクロステップ技術で覚える英単語(D3 PUBLISHER)を紹介できたらとも思うのですが、「体験を含めて」と言われても、監修者とこれのお話をした体験を書くわけにはいきません。また、このソフトはためになることに重点があり、そのぶんゲーム性は二の次のようで、この質問者が期待するバランスからはずれるかもしれません。ここは、興味や立場によるでしょう。てんとう虫コミックスでの終刊となったドラえもん 45(藤子・F・不二雄作、小学館)の「タイムワープリール」で、毎度のためになるプレゼントにのび太ががっかりする展開を思い出しました。

ビキニ水爆実験被害の「遺伝性」と多崎つくる

きょう、カナロコに、【ビキニ被ばく60年】第2部:漂う「当事者」(3) 家系図を独自作成 子、孫へと続く苦しみという記事が出ました。

意義のある記事なのですが、誤解をまねきそうな部分もあります。「ロンゲラップ島で直接被ばくした8人の受診結果で、動脈硬化や糖尿病、腎疾患、肝機能障害の症状が発覚」、ここに「しかし、こうした生活習慣病症状の進行と被ばくとの因果関係は定かではない。」と添えてあります。実験から40年以上がたってから発覚した「生活習慣病症状」ですので、8人の平均年齢がどのくらいかも書いてあるとよかったでしょう。因果関係があると信じたい人は読みとばすかもしれませんが、そうでない人にも届く記事のはずです。「原因不明の甲状腺異常や白血病などに苦しむ島民」とあるのも、信じたい人は病気の部分だけ信じて、「原因不明の」は信じずに頭の中ですりかえてしまうのかもしれませんが、それでも書いてよかったと思います。

一番の問題だと感じたのは、「放射線被害の遺伝性を立証するためにアンケートに基づき作成した家系図」です。直後の「環礁間を行き来する船長のケースでは、夫婦に加え、子ども12人中11人が被ばく。」という例示には、「3人の子どもが甲状腺手術を受け、中には大人になって7回の流産を経験したり」とありますが、子どもは一人を除いて直接にあびたのですから、ここは被害の「遺伝性」とは無関係でしょう。また、図のキャプション、「被ばくの世代を超えた影響を示す家系図。」は不適切です。実験以降しか書かないのでは、それより前からの遺伝との区別がつきませんし、以前を書いてもほかのコホート要因との分離はできませんし、遺伝とは無関係な家庭環境の要因も、家系内での対応関係をつくります。比較すべき対照条件も示されていませんので、フレデリック側の子孫も追跡されているカリカック家の研究よりも劣りますし、たったこれだけの人数でものを言うのなら、ジューク家の研究よりも劣ります。ですが、こういったことが理解されない人には、「世代を超えた影響を示す」証拠が出たのだと誤解されることでしょう。カリカック家の研究を世界中へ知らせた、今はインターネット・アーカイブで読むことのできる、The Kallikak family: A study in the heredity of feeble-mindednessの36ページからの家系図の、遺伝だと確信させてしまう説得力が、世界を優生学へと走らせ、多くの命やそこからつづくはずの子孫が絶たれる一因となったことを、忘れてはならないと思います。

この図の選択にも、疑問を感じます。船長のケースは、図の右上で「11人のこども全員が被曝」とされ、「11人」か「全員」かのどちらかは誤りでしょうから、資料としての信頼性の低さを感じさせるところを記事に切りだしてしまったように思えます。シート1枚でおさえられるのに裏写りを起こして、ほかにも家系図があることがわかるので、ほかを使えばよかったのにと、よけいに思ってしまいます。

図ではほかに、左下のアンジーの子かブレレンの子かよくわからないところに3回の流産が記されて、「①1人腕がなかった。」とあります。本文に「腕のない子が産まれたりする」とあるのは、これを表現したつもりなのでしょうか。ですが、ことばの定義にもよりますが、流産ならば産まれたとはいえないように思います。あるいは、②や③から考えると、実は①は流産ではなかったのでしょうか。この点でも、なぜこの、資料としての信頼性をうたがわせるようなところを選択したのか、疑問を感じます。

外科医の発言だという、「人類史上いろんな奇形は産まれたけれど、指が6本あるというのは聞いたことがない」も、今日の意味でいう確信犯なのかどうかはわかりませんが、疑問です。これほどよく知られた奇形を、見たことがないのならまだわかりますが、医師であって聞いたこともないとは、考えにくいはずです。白髪三千丈の国の文書を真に受けるなと言われそうですが、隋書卷八十三列傳第四十八によれば、疏勒国の人は誰もが6本指だったそうです。そういえば、色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(村上春樹作、文藝春秋)には、主人公が駅長に、「六本指が優性遺伝するのなら、どうしてもっと多くの人が六本指にならないのでしょう?」とたずねる場面がありました。病む女はなぜ村上春樹を読むか(小谷野敦著、ベストセラーズ)は、このあたりの展開に、東工大に入った理系と思われる設定を、作者が忘れてしまった可能性を指摘します。

さて、この記事の救いは、「昨年の派遣中、首都マジュロの食堂でマグロの刺し身を注文した。」というお話です。日本人で、あの世代で、ブラボー実験の被害といえば、マグロを連想しそうです。それでも、まだこわがる現地人を知りながらもおいしく食べるところに、水爆の被害に取りくみつつも、不合理な放射線恐怖とは一線を画す、この人物の理性がうかがえます。まさか、知らないはずはないと思い、検索してみたところ、ヒロシマ平和メディアセンターに4か月ほど前に出た記事、「ビキニ」60年見つめ直す 平和団体など相次ぎ現地へで、「当時は高校生で、マグロが大量廃棄される現実に衝撃を受けた。」という発言を確認できました。

34歳は団塊ジュニアの定義に入るでしょうか

きょう、マイナビニュースに、34歳女性「下の世代はのんきだと思う」という記事が出ました。毎日1本ずつが追加される連載、マイ・ジェネレーションの3本目です。

今回登場するのは、「34歳女性(食品・飲料/販売職・サービス系)」です。ですが、「Q.あなたは何世代と呼ばれていますか?」という問いに、「団塊ジュニア世代」と明言します。この歳で、皆さんは納得できますでしょうか。一般的に、1971年から74年の間に生まれた世代が、こう呼ばれます。先日書いたニート人口の記事でも触れた人口動態統計で見ると、いまのほぼ倍、年200万人以上の出生数があった時期に、この世に生を受けた世代です。やや古い本ですが、団塊ジュニアの消費と行動意識 2002年11月調査報告書(日経産業消費研究所)も、コンセプト2000 「団塊」家族 12のキーワードで読む団塊世代と団塊ジュニア((株)読売広告社・(財)ハイライフ研究所著、PHP研究所)も、ぴったりこの定義です。また、やや雰囲気の異なるものとして、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが3か月ほど前に公表したレポート、大企業における「2020年問題」~バブル・団塊ジュニア世代の高齢化による人件費負担増~の「バブル・団塊ジュニア世代」がありますが、「2014年時点でバブル・団塊ジュニア世代は40~49歳となっているが、彼らの年齢が上がってきたことで大企業にとっては人件費の負担が一層重くのし掛かってきている。」とします。この人は34歳ということなので、これらに入るはずはありません。労働経済白書 平成24年版(厚生労働省編、日経印刷)のとらえ方で見れば、団塊ジュニアどころか、ポスト団塊ジュニアにも届かない可能性があります。すると、いわゆるさば読みでしょうか。ですが、私としては、この人は一般的な定義よりも、「真性団塊ジュニア」概念のほうが妥当だと考えている可能性を考えたいと思います。あの下流社会 新たな階層集団の出現(三浦展著、光文社)は、「1975~79年生まれあたりが最も真性団塊ジュニア世代と言える世代」としますので、これなら入れそうです。また、団塊世代の40年(青井なつき著、創成社)には、「1972年~1981年生まれの「真性団塊ジュニア」」とありますので、こちらであれば確実です。役所関係では、国土交通政策研究の47号、団塊ジュニア世代の住宅ニーズに関する調査研究の団塊ジュニアの2定義があり、「イ」の定義が一般的なもの、「ロ」は「真性」側で、「1973~80年生まれの世代が、団塊ジュニア世代」とします。なお、そのアイデアは「三浦展(2003)」に基づくそうなのですが、おそらくこれからの10年 団塊ジュニア1400万人がコア市場になる! マーケティング戦略の狙い目はここだ!(三浦展著、中経出版)を指したつもりで、書きまちがえたのだと思います。

続く質問、「Q.あなたはその世代の特徴にあてはまりますか?」には、「あてはまらない。特徴がわからない」と答えます。こちらも明言ですが、わからないのは、その世代の特徴なのか、あてはまるかどうか判断する対象である自分の特徴なのかが、わかりません。そして、どちらにしても、片方がわからないというのに、あてはまらないと断言できる感覚もわかりません。

「Q.今後の人生の目標を教えてください」への回答は、「母親、妻と仕事の両立」です。3種類の役割をすべてこなす多重役割だと思った人もいるかもしれませんが、両立ということばは、二つのものについて使います。ですので、この人の目標は「母親」と、「妻と仕事の両立」との2本立てでしょうか。3本以上であれば、「並立」と書くはずです。ちなみに、「鼎立」では、3本足ではあっても、緊張関係が出てしまいます。