生駒 忍

記事一覧

軽トラ詐取事件とアンナがかくした理由の理解

きょう、下野新聞SOONに、軽トラック詐取容疑の男逮捕 那珂川署という記事が出ました。

容疑者は自称で茨城県在住、被害者は福島県で、逮捕したのは那珂川署ですから栃木県警と、3県にまたがった事件です。「現金を下ろしてくるので軽トラックを貸してほしい」と言ったそうですが、水郡線で矢祭山駅へ行かなくても、自称の住所近辺でお金を下ろせるところはいくつもあります。きのうのお昼前に起きて、1日もしないうちのスピード解決で、栃木といえば安愚楽牧場事件もありましたし、欺もう行為、不法領得の意思の立証はだいじょうぶなのかやや気になりますが、翌日に隣県にいるところを逮捕となったのでしたら、お金を下ろしてくるという設定にはさらに無理があったと見ることができそうです。

「返還する意志がないのに」とありますが、私ならここは「意思」と書きたいところです。借りたものを返すことに強い意欲が必要かどうかではなく、法律用語としてはというところです。このあたりは、分野によって異なるところかもしれません。安全活動にカツを入れる本 建設現場をもっと“元気”にする方法(中村秀樹・高木元也・志村満・降籏達生著、労働調査会)には、同じページの中で、本文では「返す意思」のみ、図では「返す意志」のみがそれぞれ複数回使われ、使いわけられている例を見ることができます。

被害は「軽トラック1台(約10万円相当)」、ささいな被害だと思った人もいるかもしれません。ですが、農家のだいじな仕事道具、相棒のはずだと思います。私としては、なぜそれをわざわざだまし取りにいったのかが気になります。ですが、本人にも意外にわかっていない可能性も考えられます。思い出のマーニー 下(J.G. ロビンソン作、岩波書店)で、アンナがボートのいかりをかくした理由を、自分でも理解できなかったのを思い出しました。

墨汁投げいれ事件と「チョコレートのアイス」

きょう、東スポWebに、ストレスがたまると郵便ポストに“異物”を投函する心理という記事が出ました。

YOMIURI ONLINEにきのう出た記事、「ストレス解消」ポストに墨汁…病院事務員逮捕のほうが、「病院事務員」「郵便法違反と廃棄物処理法違反の疑い」など、こちらよりもくわしいところがあります。一方で、「チャック付きビニール袋に入れた墨汁のような液体」は、バールのようなもの(清水義範著、文藝春秋)で主題にされた警察発表用語のようですが、東スポのほうがより具体的に見えます。被害を起こした物質だけでなく、その容器まで書いたことには、以前に書いたカレー投げいれ事件の記事で取りあげた報道を思い出しました。

「同法違反の罰則は懲役5年以下、または50万円以下の罰金だ。」と、郵便法違反について述べています。ですが、この病院職員は、廃棄物処理法違反にも問われていますので、そちらはもっと重いです。16条違反であれば、25条に「五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」とあるとおりです。

ほかより遅れての今回の記事は、ポストに異物を投げいれた先例をならべて、差別化をはかったようです。「高野豆腐2丁と氷2袋」、「人糞」、「火のついたロケット花火」と、理解しがたい事例が集められました。そして、「チョコレートのアイスを入れたとして、埼玉県の男も過去に逮捕されている。」ともあります。私ならここは、「の」を入れずに、「チョコレートアイス」と書きたいところです。食べものつながりで挙げると、週刊朝日 5月30日号(朝日新聞出版)で東海林さだおが、「世の常として、人気者の名前は短縮化される傾向がある。」と書きました。

義務教育で論語を学ぶ日本人と人手不足倒産

きょう、キャリコネに、「儒教」を知らない中国人 漢文を学ぶ日本人の方がよく知っているという記事が出ました。

「日本では義務教育の中で、孔子の「論語」などを学びます。」とあります。「孔子の「論語」」という表現に、単に論語とだけ書けばいいのにと思ってしまいましたが、それは論語が日本人にいかになじみ深いものかの反映ともいえそうです。小中学校の学習指導要領やその解説には、音楽の教材のようなかたちで、特に論語を取りあげるような指定はありませんが、漢文の代表格のようなものでしょう。

「センター試験にも、漢文の科目があるほどです。」、これは適切ではありません。国語の科目の中で、漢文も必ず出題される配分になっていますので、漢文を出題する科目があるとはいえますが、漢文という科目はありませんし、漢文で出題する科目もありません。

「中国の40代より上の年代、特に農村出身者の多くは、1966年から77年まで吹き荒れた「文化大革命」の嵐のため、またはその後の混乱のために、残念ながら十分な学校教育を受けていないように感じます。」とあります。教育全体のことだけでなく、特に論語は、その文革できびしく否定されたものです。それでも、隠れて学んでいた例はあります。私は「毛主席の小戦士」だった ある中国人哲学者の告白(石平著、飛鳥新社)に登場する、祖父がこっそり学ばせていた意味のわからない文言のお話は、日本留学時に「実に17年ぶりに」論語を学びだしたエピソードとともに、印象的なものでした。

「中国人にとって仕事とは、あくまでも「お金を得る手段」という意識が非常に強く、「勤勉」であることもあまり重視しません。」とあります。また石平を持ってくると、絶望の大国、中国の真実 日本人は、中国人のことを何も分かっていない!(宮崎正弘・石平著、ワック)の主題のひとつになっている、徹底して合理的ともいえる、現在や現実を重視する拝金主義の世界なのでしょう。

「中国の過労死と儒教とは関係ない」と考える筆者は、そのかわりに、「過労死の背景には、中国の労働条件が悪いことがあります。その原因は、何といっても「求人に対して、人がわんさかいること」だと思います。」とします。一方で、わが国では、失われた20年からようやく抜けだして、人ではなく、企業のほうがまいるようになってきました。ロイターにきのう出た記事、人手不足による倒産広がるが、端的に指摘しています。

露出狂の異常心理と「下品な男は不要だ」

きょう、ITmedia eBook USERに、露出狂の快感、ウソばかりつく……“異常心理”はなぜ起こる?という記事が出ました。

きょうと言われて、奇妙に思った方もいるでしょう。新刊.JPにおととい出た記事、露出狂の快感、ウソばかりつく…“異常心理”はなぜ起こる?をそのまま転載しただけの、一字一句同じ記事にすぎないと言われそうです。ですが、それを言ったら、きちんと読みませんでしたと宣言するようなものです。新刊.JPで「『あなたの中の異常心理』(岡田尊司/著、幻冬舎/刊)は、精神科医、作家として活動する著者が、人の心の正常と異常の境目に焦点をあて、論じる一冊です。」とある一文が、こちらでは「『あなたの中の異常心理』(岡田尊司/著、幻冬舎/刊)は、精神科医、作家として活動する著者が、人の心の正常と異常の境目に焦点をあて、論じた一冊。」となっています。紹介された本、あなたの中の異常心理(岡田尊司著、幻冬舎)が、出版からもう2年半ほどたっていることを考慮して、過去形になおしたのでしょうか。

「露出症」に関して、「不特定多数の人々のまなざしに自分を丸ごと投げ出し、姿をさらしたいと願う人々の欲求は、自撮り写真投稿といった行動などに見いだすことができるのかもしれません。」とあります。これで思い出したのが、有名大学生がmixiで陰部を大量にアップし大炎上『住所特定』もです。本人が開いた祭りが別の祭りに化けて、あれからちょうど3年がたちました。mixiの4文字も、「何もかも皆なつかしい」というほどではありませんが、時の流れを感じさせます。誤字も誤認もあるこの記事ですが、最後に「彼が人生を棒に振るだけでなく」とあるのは、棒だけにというしゃれをこめたのでしょうか。ふと、宇宙戦艦ヤマト2199 [3](出渕裕監督)にもやはり登場した、「ガミラスに下品な男は不要だ」が頭にうかびました。

「アリーヤ」と「アーリヤ」とのバランス

きょう、SankeiBizに、ゼンデイヤ アリーヤの伝記映画降板という記事が出ました。

本文では、「アリーヤ」が2回、「アーリヤ」が2回と、2種類の表記が交互に使われています。以前に、マクルーハンかマクルハーンかの記事を書きましたが、今回の記事では、どちらにするかで迷った結果、バランスをとったのでしょうか。先月29日の海外ニュースを、今ごろになって紹介するだけのものですので、あわてて書いてこうなってしまったとは考えにくいです。

伝記映画に遺族が反対する展開は、先日はホイットニー・ヒューストンでもありましたし、お金がらみのこともありそうで、むずかしいところだと思います。そういえば、WEB女性自身にきょう出た記事、ホイットニー・ヒューストンの娘、母の伝記映画の監督に噛み付くは、その映画の配役をめぐる「もっともすぎる発言」に、娘が強く反応したことを取りあげました。最後は失礼な文で締めますが、指摘としては合っていると思います。もし、以前に佐村河内ゴースト事件の記事で名前を出したミリ・ヴァニリのようなことをしたとしても、この人にグラミー賞は無理だと私は思うのですが、どうでしょうか。