生駒 忍

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マクルハーンではなくマクルーハンです

シリーズ第7弾です。

ワークブック124ページから125ページにかけて、「マクルハーンは、地球全体が1つの村のように緊密な関係になることを何と表現したか。」という出題があります。正解は、すぐ右にあるように、「グローバル・ビレッジ」だということです。正確には、緊密な関係になること自体ではなく、緊密な関係になったものがグローバル・ビレッジなのですが、ここでは目をつぶりましょう。一方、この正解の参照先として示されたところに戻ると、100ページから101ページにかけてですが、「マクルーハン(McLuhan, M.)は」と書き出されています。

「マクルハーン」と「マクルーハン」、どちらが正しい表記でしょうか。もちろん、外国語の発音をカタカナにあてはめることに正解はないといえばそれまでですが、たいていの文献では、「マクルーハン」と書かれているはずです。ですので、覚えるのであれば、そちらが無難でしょう。ほかに、「マックルーハン」と書くこともありますが、これも少数派です。生誕100年に合わせて出版されたマクルーハン(河出書房新社)では、竹村健一がテレビ時代の預言者M・マックルーハンで、1か所を除いてすべて「マックルーハン」で通していますが、これは1966年に書かれたものの再録で、2002年のメディアの軽業師たち(ビジネス社)では、竹村はその例外だった「マクルーハン」のほうに合わせています。

なお、本物の発音は、それでもまだ異なります。信じられない方は、発音を聞けるサイトを当たってみてください。PRONOUNCE IT RIGHTでのMarshall McLuhan、FORVOでのMarshall McLuhan、どちらでも、長音記号の位置は「マクルーハン」に合致しますが、「ハ」の子音があるようには聞こえません。アクセントが両者で異なりますが、音はほぼ同じはずです。見なれた「マクルーハン」という文字と、より昔からあるこの発音の聴覚と、競合をおこすところが、何ともマクルーハンらしいとも思えます。