生駒 忍

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34歳は団塊ジュニアの定義に入るでしょうか

きょう、マイナビニュースに、34歳女性「下の世代はのんきだと思う」という記事が出ました。毎日1本ずつが追加される連載、マイ・ジェネレーションの3本目です。

今回登場するのは、「34歳女性(食品・飲料/販売職・サービス系)」です。ですが、「Q.あなたは何世代と呼ばれていますか?」という問いに、「団塊ジュニア世代」と明言します。この歳で、皆さんは納得できますでしょうか。一般的に、1971年から74年の間に生まれた世代が、こう呼ばれます。先日書いたニート人口の記事でも触れた人口動態統計で見ると、いまのほぼ倍、年200万人以上の出生数があった時期に、この世に生を受けた世代です。やや古い本ですが、団塊ジュニアの消費と行動意識 2002年11月調査報告書(日経産業消費研究所)も、コンセプト2000 「団塊」家族 12のキーワードで読む団塊世代と団塊ジュニア((株)読売広告社・(財)ハイライフ研究所著、PHP研究所)も、ぴったりこの定義です。また、やや雰囲気の異なるものとして、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが3か月ほど前に公表したレポート、大企業における「2020年問題」~バブル・団塊ジュニア世代の高齢化による人件費負担増~の「バブル・団塊ジュニア世代」がありますが、「2014年時点でバブル・団塊ジュニア世代は40~49歳となっているが、彼らの年齢が上がってきたことで大企業にとっては人件費の負担が一層重くのし掛かってきている。」とします。この人は34歳ということなので、これらに入るはずはありません。労働経済白書 平成24年版(厚生労働省編、日経印刷)のとらえ方で見れば、団塊ジュニアどころか、ポスト団塊ジュニアにも届かない可能性があります。すると、いわゆるさば読みでしょうか。ですが、私としては、この人は一般的な定義よりも、「真性団塊ジュニア」概念のほうが妥当だと考えている可能性を考えたいと思います。あの下流社会 新たな階層集団の出現(三浦展著、光文社)は、「1975~79年生まれあたりが最も真性団塊ジュニア世代と言える世代」としますので、これなら入れそうです。また、団塊世代の40年(青井なつき著、創成社)には、「1972年~1981年生まれの「真性団塊ジュニア」」とありますので、こちらであれば確実です。役所関係では、国土交通政策研究の47号、団塊ジュニア世代の住宅ニーズに関する調査研究の団塊ジュニアの2定義があり、「イ」の定義が一般的なもの、「ロ」は「真性」側で、「1973~80年生まれの世代が、団塊ジュニア世代」とします。なお、そのアイデアは「三浦展(2003)」に基づくそうなのですが、おそらくこれからの10年 団塊ジュニア1400万人がコア市場になる! マーケティング戦略の狙い目はここだ!(三浦展著、中経出版)を指したつもりで、書きまちがえたのだと思います。

続く質問、「Q.あなたはその世代の特徴にあてはまりますか?」には、「あてはまらない。特徴がわからない」と答えます。こちらも明言ですが、わからないのは、その世代の特徴なのか、あてはまるかどうか判断する対象である自分の特徴なのかが、わかりません。そして、どちらにしても、片方がわからないというのに、あてはまらないと断言できる感覚もわかりません。

「Q.今後の人生の目標を教えてください」への回答は、「母親、妻と仕事の両立」です。3種類の役割をすべてこなす多重役割だと思った人もいるかもしれませんが、両立ということばは、二つのものについて使います。ですので、この人の目標は「母親」と、「妻と仕事の両立」との2本立てでしょうか。3本以上であれば、「並立」と書くはずです。ちなみに、「鼎立」では、3本足ではあっても、緊張関係が出てしまいます。