生駒 忍

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かやぶき美術館が来年3月で廃止されます

きょう、新潟日報モアに、かやぶき美術館廃止へ、上越市 13年度限り、老朽化と利用者減少という記事が出ました。すでに休館中のかやぶき美術館が、廃止の方向となったことを報じています。

市議会に、廃止のための条例案が提出されていて、否決の可能性はほぼないと思います。記事には「6日までに」とありますが、提出は議案第214号として、4日付となっています。

「12年度は203人」という入館者数は、開館日の少なさ、開館時間の短さを考えても、公営美術館としてはこれより下が思いつきません。同じくきょうの新潟日報モアの記事、漫画・アニメ施設、来場者数伸び悩む 新潟市がことし開設に、「新潟市マンガの家の来場者は、11月末時点で約3万4千人で、厳しい状況が続いている。」とあるのが、まったく問題に見えないほどです。ですので、廃止は当然で、むしろ遅かったとさえ思ってしまいます。それでも、「ここ数年、年間100万円以上の支出超過」ですんでいたのが救いでしょうか。ですが、以前にやきもの検定の不適切出題の記事で触れたように、「以上」というのは上がどこまでも入りますので、わからないところがあります。

「松苗一正さんの絵画191点、江添治人さんの民家模型36点を所蔵」とありますが、これはあくまで所蔵数ですので、のべ400平米程度に全部が展示されていたわけではありません。では、実際の展示数はというと、はっきりはわかりません。新潟県公式観光情報サイトのかやぶき美術館のページは、ほぼ1年前に更新ということですが、「両氏の作品を約100点ほど展示」とあります。Komachi Webという地域情報サイトのかやぶき美術館のページには、「かやぶき民家をモチーフにした約80点ほどの絵画、模型を展示。」とあり、自然王国ほその村の周辺観光情報のページでは、「画家「松苗一正」による絵画約80点創作作家「江添治人」による立体(かやぶき民家)約20点」が「常設展示」となっています。所有者の上越市はどう書いているのかと思い、探してみると、上越観光ネット 観光施設のご案内に以前はあったかやぶき美術館が、「※随時情報更新中」とあるように、すでにはずされています。リンク先は無事に残っていて、こちらなのですが、展示作品数も含めて、県公式観光情報サイトのページと似ているのに、示してあるURLは同名の、ほかの自治体の「かやぶき美術館」のサイトのものになっています。

その美山かやぶき美術館・郷土資料館のほうは、かやぶきの建物ですが、こちらはそうではないわかりにくさがあります。展示物をかやぶきを表現したもので固めたのであって、建物は記事の写真でわかるように、かやの一本も使われていないようです。まるでめがねをかけたレーシック医のようですが、これは「1883(明治16)年に建てられた旧東頸城郡役所を改築」して美術館にしたためです。美術館化の経緯を知らないのですが、歴史的建造物を活用しようというところに、地元出身者の作品を入れよう、そしてテーマをそろえたらかやぶきになったという組みあわせ方だったのでしょうか。心理学では、解決指向アプローチや危機介入など、手がとどく資源を見つけてつなぐ発想もとりますが、限界もあります。マイナビニュースにきょう出た記事、大金を投じて作りたいものを作る - 日本のロボット研究者がはまる罠には、「ちなみに比留川研究部門長によれば、効果が不明な点については、現状、自身も含めたロボットの研究者が、大金を投じて作りたいものをまず作って、それから「これ、どこかに使えませんか?」とやっていることが多いことも問題だ自嘲気味に話す。」とあります。街おこしに関しても、商店街再生の罠 売りたいモノから、顧客がしたいコトへ(久繁哲之介著、筑摩書房)には、たとえ客観データにもとづいていたとしてさえも、街にある資源を見つけて活用したつもりが税金のむだになってしまった事例が、いくつも挙げられています。

佐賀県DV被害者支援基本計画と加害者対応

きょう、YOMIURI ONLINEに、DV家庭の子、心のケア強化 県第3次計画案という記事が出ました。「県」とあるのは佐賀県のことで、「DV被害の現状」というグラフも、佐賀県の状況を示しています。

ローカル記事なのでしかたがないと言えばそれまでですが、書きたいことはだいたいわかる一方で、文章力にはやや疑問を感じながら読みました。たとえば、「長引くほど、DVは子どもに心理的影響が大きく、子どもが問題行動を引き起こす恐れもある。」とある文は、私でしたら「DVは、長引くほど子どもに与える心理的影響が大きく、問題行動を引き起こすおそれもある。」のように書きたいところです。また、「DV被害者支援に取り組む市民団体「Co―ring佐賀」は結成3年目。」とありますが、きのう書いた記事にも登場したような、ダッシュの誤用と思われるものがあり、2年半前の佐賀新聞の記事、DV被害者件数が過去最多 民間支援グループ発足にあるのが、正しい団体名のはずです。

このような記事タイトルで、2文目は「計画案では、DVを目撃して傷つく子どもの心のケアなどの支援体制の整備に乗り出す方針。」となっていますが、具体的な「子どもの心のケア」については、ほとんど書かれていません。「児童相談所などが子どもの見守りを行うなど継続的な心理的支援をし」とあるくらいです。話題としては、離婚へのためらい、民間シェルター、加害者対応のほうが、タイトルにあるものよりも分量を割かれています。

その加害者対応が、よくわからない方向性になっているように思えます。「加害者への教育や啓発が進んでいない実態」や、「加害者に男性が占める割合が多いこと」はよく理解できますが、これが「男性向けの電話相談窓口を月3回設けたり、相談員のスキルアップに努めたり」へと対応するのは、ややずれていませんでしょうか。その男性向け窓口が開いているのは月に計6時間で、もちろんないよりはよいことは明らかですが、加害者側から自発的に相談を持ちかける可能性がどのくらいあるのか、ほかのやり方よりも教育や啓発の場としてすぐれているのか、心配なところです。それ以前に、内閣府男女共同参画局が7月に発表した、配偶者暴力相談支援センターにおける配偶者からの暴力が関係する相談件数等の結果について(平成24年度分)で佐賀県のデータを見ると、相談件数は全国でも上のほうで、九州では福岡県に次ぐ2位に位置していますが、男性からの相談事例は全国でここだけが0になっています。来所相談と電話相談との比率での、来所へのかたよりぐあいも特徴的です。ですので、男性向けの電話相談に、県内の相談実体からみた優先度はあまりないようにも考えられます。ないとは思いますが、少しでも男性からの電話相談を掘りおこして、全国データのパターンに近いふつうの県に見せるねらいなのでしょうか。大学の約束 2013年版(リクルートホールディングス)によれば、メッツコーラの開発者である鈴木深保子は、「普通のコーラですね」と言われるのがうれしいのだそうですが、そういうイメージのつもりなのでしょうか。普通に働け(常見陽平著、イースト・プレス)には、「「普通」は暴走するのである。」とあります。また、相談員のスキルアップにつとめるのは、ここに書かれている範囲では、特に加害者対応に対応するものではないようですので、相談業務であればふつうにあるものです。もちろん、努力義務と法定義務との対比のようですが、つとめること自体ではなく、その成果としてのスキルアップを目標にしてほしいところです。BLOGOSにきょう出た記事、社会人と学生を分けるもの。頑張ったらご褒美があるメンタリティ。を思い出しました。そういえば、「がんばります!」や「やる気だけは誰にも負けません。」は、人生を最高に楽しむために20代で使ってはいけない100の言葉(千田琢哉著、かんき出版)のNGワードとなっています。

「虐待加害親の心理と●」とは何でしょうか

きょう、ナカニシヤ書店から、心理学教科書目録2014と、心理学新刊図書案内2013春が届きました。いつもお世話になっています。ながめるとほしいものが増えるとわかっていて、しかも何かと物いりになるこの時期でも、これは目を通さずにはいられません。

教科書目録は、表紙に桃色が使われて、やわらかい印象です。領域ごとに整理され、新刊書には「新」とついていて、見やすくて助かります。ですが、常にページの右半分におかれている目次に、細かい表記の不統一があって、やや気になりました。今回が初めてというわけではなく、毎年あるものなのですが、いくつか挙げてみます。

ページ右半分の情報は、内部用の管理コードと思われる部分を除き、ゴシック体になっているのですが、そうでない場合のある文字があります。ローマ数字です。ゴシック体にあわせてあるところと、そうでないところとがあります。新刊書の場合はあわせないようで、社会的養護内容(曻地勝人・進藤啓子・田中麻里編)、働くひとの心理学(岡田昌毅著)と、キャリアカウンセリング再考 実践に役立つQ&A(渡辺三枝子編)とで、そうでない書き方をされています。

ダッシュと思われるところは、常にゴシック体のようですが、ダッシュではない記号のように見えるものも含め、書き方がまちまちです。基本的には、1文字分のダッシュのようですが、いわゆる「二倍ダーシ」になっているものもあり、新刊書では障害臨床学ハンドブック[第2版](中村義行・大石史博編)と、ファシリテーター行動指南書(三田地真実著)とがそうです。対照的に、enダッシュと思われる短い記号を使っているものもあり、新刊書では“いのち”と向き合うこと・“こころ”を感じること 臨床心理の原点をとらえなおす(永田雅子・堀美和子編)がそうですが、認知と感情(北村英哉著)などと異なり、この本に関してはスペース短縮がねらいだとわかります。そして、ダッシュのように見えますがよく見ると少しだけ短い、別の記号に置きかえられているものが、あちこちにあります。見つけにくいのですが、たとえば大学生の自己分析 いまだ見えぬアイデンティティに突然気づくために(宮下一博・杉浦和美著)について、同じページですぐ上の大学生の友人関係論 友だちづくりのヒント(吉岡和子・髙橋紀子編)と見くらべると、わかりやすいと思います。また、逆に、ダッシュを使うとは考えにくいところがダッシュになっていることもあり、教育実践心理学(塩見邦雄編)で混在を見ることができます。

目次の中での太字の使用は、階層的な構成のときに一番上の区分を示すためのようですが、徹底されてはいません。また、明らかに横ならびの章立ての中に、太字とそうでないものとが混ざることもあります。新刊書では、スタートアップ「心理学」 高校生と専門的に学ぶ前のあなたへ(小川一美・斎藤和志・坂田陽子・吉崎一人著)がそうで、「1. 心理学とは」「3. 認知心理学」「5. 臨床心理学」が太字で、それ以外は太字にならない表記です。

入れる必要がよくわからない文字が入っているところもあります。臨床生徒指導 理論編(八並光俊・宇田光・山口豊一編)では、13章に実際にはない百分率記号がついています。また、心の物語と現代の課題 心理臨床における対象理解(後藤秀爾著)では、終章に実際にはないアスタリスクがつくほか、2章が「現代の思春期課題―『千と千尋の神隠し』における大●」、4章が「親になるという物語の喪失―児童虐待加害親の心理と●」という、ふしぎな切れ方になっています。1億人のための心のオシャレ人生設計 心理学からのアドバイス(渡辺利夫著)では、最後に「味」がついています。

守谷ハンドボールクラブ性的いじめ提訴の報道

守谷市の小学6年生とその両親が、いじめ被害の慰謝料1000万円を求めて水戸地裁龍ケ崎支部に民事訴訟を起こしたことが、ニュースになりました。J-CASTの記事、3DSで裸の動画撮られたいじめ訴え、小6男児が同級生らを提訴には、「被害児童の両親と弁護士が2013年12月3日に会見したと新聞各紙が報じた。」とあります。地元では名の知られたハンドボールチームでの事件ですが、各紙で取りあげ方にややずれがありますので、少し整理してみたいと思います。日経以外は4日の朝刊で、読売・毎日・産経は地方版の記事です。

「スポ小仲間のいじめ」提訴 守谷の小6 少年・保護者相手取り (読売)

「毎週のように練習場の体育館でズボンや下着を下ろされたり、プールでは水中に顔を沈められたりするいじめ」が、期間は昨年5月から今年9月までで、ほかが報じていないプールの事件も書かれています。今年4月と9月の撮影は、衣服をはぎ取られての下半身画像で、ゲーム機の名前を挙げています。ここは父親のほか、「裸で逃げ回った息子の気持ちを加害者に理解してもらいたい」という母親の声も取りあげています。なお、提訴先が「龍ヶ崎支部」と書かれているのは誤りで、正しくは龍ケ崎支部です。

「3DSで裸撮られていじめ」 茨城 小6男児が同級生ら提訴 (朝日)

9月7日の事件が主で、ゲーム機名を挙げて、撮られたのは全裸にされるようすの動画と、下半身の写真です。送信ソフト名は書かれず、先月にサービス停止されたとあります。4月下旬の加害者は同級生3名、下半身を撮影されるなどのいじめです。弁護士が、画像がネットに流出している可能性にも言及しています。

スポーツ少年団でいじめ 守谷 小6男児が団員ら提訴 (毎日)

安味伸一という人による署名記事で、「性的ないじめ」として報じています。昨年春から「チームメート数人にズボンやパンツを脱がされ、女子に見られた」と、女子の関与を被害の中心に入れ、今年9月は裸にされ写真を撮影された被害です。4月の撮影には言及がありません。自殺念慮、少年団の退団、教育委員会によるいじめ加害者11名の認定、取手署が暴行容疑で動いていることまで報じています。最後に、父親の声があります。

3DSで裸の写真 加害児童らを提訴 (産経)

ここは、「いじめ」という表現をまったく使っていないところが特徴的です。昨年5月ごろから、チームの練習や合宿で「ズボンと下着を脱がされるなどの嫌がらせ」にあい、今年4月と9月は、脱がされて全裸の写真を撮影されたという被害です。ゲーム機名のほか、ネット送信に使われた「いつの間に交換日記」、舞台となった「スポーツ少年団守谷クラブ」という固有名詞を示しています。父親の声のほか、性的な傾向の強さを指摘する弁護士発言がついています。

「服脱がされた」 小6男児が提訴 少年7人と親を (日経)

ここのみ4日夕刊の記事です。被害は昨年春から今年9月で、複数回にわたり下着を脱がされて、そのうち2回で、ゲーム機で撮影があったとします。市教育委員会の担当者が、いじめがあったことの理解と、今後について触れています。

スポーツ少年団で いじめ 被害小6男児が提訴 茨城・守谷 (東京)

いじめは昨年5月からで、今年4月の被害には言及がなく、今年9月の被害は、全裸にされてのゲーム機での下半身の動画撮影です。ですが、「ゲーム機の交信機能を使って画像を回し見」ともあります。父親の声が、ほかの報道と異なり前向きです。

スポ小のいじめ 守谷の小6 慰謝料請求 (茨城)

「スポーツ少年団内部のいじめ」と位置づけて、被害は昨年5月から9月、ズボンを下ろされて下半身を女子団員に見せるなどがくり返されたとあります。9月7日は全裸にされて、下半身の動画と静止画をゲーム機で撮影、仲間内で見せあうなどの被害であり、4月のものには触れていません。提訴日、父親の説明、被害届提出、教育委員会のいじめ認定と指導開始が書かれています。いじめの聞きとり調査は9月7日、つまり主な被害の当日中に着手されたことがわかります。

昨年は大津・皇子山中いじめ自殺事件が社会問題化し、今年はいじめ防止対策推進法が成立、施行されました。ですが、いじめ撲滅は遠く、特に今回のような性的いじめへの対応は、出おくれているように思います。子ども白書2013(本の泉社)では、『季刊SEXUALITY』(エイデル研究所)で、ちょうど今年に2013年10月号「特集: スポーツ・部活動とセクシュアル・ハラスメント」2013年4月号「特集: 見落とさないで!「性的いじめ」」を編集した金子由美子が、いじめの調査や研究はあるのに、性的いじめについては見あたらず、「児童・生徒同士の性的いじめ・性犯罪に対して「そんなことはありえない」とされているからでしょう。」と書いています。犯罪被害者の心の傷 増補新版(小西聖子著、白水社)は、「下着を下ろすなどの性的ないじめも、あちこちで行われている。」と明言する一方で、男性の性被害はなかなか表面化せず把握されないこと、笑い話へゆがめられやすいことを指摘しています。ですが、多くのいじめ自殺事件に見つかる重い事象ですし、今回のような撮影とアップロードまで行われるものも、神戸・滝川高校いじめ自殺事件以来たびたび起きています。以前に、中学生の裸画像流出情報の記事を書きましたが、AERA 12月9日号(朝日新聞出版)には、LINEで「クラス全員にばらまかれた」高校生の被害例が載りました。大人が知らない ネットいじめの真実(渡辺真由子著、ミネルヴァ書房)では、性的いじめ事件へのネット上の怒りの大きさを指摘していますが、そういった関心に押されて、対策が少しでも進むならありがたいことです。

福岡市非常勤公募

福岡市が、留守家庭子ども会指導員の公募を出しています。10名程度を募集していて、採用にあたっては体力試験も課されます。