きょう、YOMIURI ONLINEに、DV家庭の子、心のケア強化 県第3次計画案という記事が出ました。「県」とあるのは佐賀県のことで、「DV被害の現状」というグラフも、佐賀県の状況を示しています。
ローカル記事なのでしかたがないと言えばそれまでですが、書きたいことはだいたいわかる一方で、文章力にはやや疑問を感じながら読みました。たとえば、「長引くほど、DVは子どもに心理的影響が大きく、子どもが問題行動を引き起こす恐れもある。」とある文は、私でしたら「DVは、長引くほど子どもに与える心理的影響が大きく、問題行動を引き起こすおそれもある。」のように書きたいところです。また、「DV被害者支援に取り組む市民団体「Co―ring佐賀」は結成3年目。」とありますが、きのう書いた記事にも登場したような、ダッシュの誤用と思われるものがあり、2年半前の佐賀新聞の記事、DV被害者件数が過去最多 民間支援グループ発足にあるのが、正しい団体名のはずです。
このような記事タイトルで、2文目は「計画案では、DVを目撃して傷つく子どもの心のケアなどの支援体制の整備に乗り出す方針。」となっていますが、具体的な「子どもの心のケア」については、ほとんど書かれていません。「児童相談所などが子どもの見守りを行うなど継続的な心理的支援をし」とあるくらいです。話題としては、離婚へのためらい、民間シェルター、加害者対応のほうが、タイトルにあるものよりも分量を割かれています。
その加害者対応が、よくわからない方向性になっているように思えます。「加害者への教育や啓発が進んでいない実態」や、「加害者に男性が占める割合が多いこと」はよく理解できますが、これが「男性向けの電話相談窓口を月3回設けたり、相談員のスキルアップに努めたり」へと対応するのは、ややずれていませんでしょうか。その男性向け窓口が開いているのは月に計6時間で、もちろんないよりはよいことは明らかですが、加害者側から自発的に相談を持ちかける可能性がどのくらいあるのか、ほかのやり方よりも教育や啓発の場としてすぐれているのか、心配なところです。それ以前に、内閣府男女共同参画局が7月に発表した、配偶者暴力相談支援センターにおける配偶者からの暴力が関係する相談件数等の結果について(平成24年度分)で佐賀県のデータを見ると、相談件数は全国でも上のほうで、九州では福岡県に次ぐ2位に位置していますが、男性からの相談事例は全国でここだけが0になっています。来所相談と電話相談との比率での、来所へのかたよりぐあいも特徴的です。ですので、男性向けの電話相談に、県内の相談実体からみた優先度はあまりないようにも考えられます。ないとは思いますが、少しでも男性からの電話相談を掘りおこして、全国データのパターンに近いふつうの県に見せるねらいなのでしょうか。大学の約束 2013年版(リクルートホールディングス)によれば、メッツコーラの開発者である鈴木深保子は、「普通のコーラですね」と言われるのがうれしいのだそうですが、そういうイメージのつもりなのでしょうか。普通に働け(常見陽平著、イースト・プレス)には、「「普通」は暴走するのである。」とあります。また、相談員のスキルアップにつとめるのは、ここに書かれている範囲では、特に加害者対応に対応するものではないようですので、相談業務であればふつうにあるものです。もちろん、努力義務と法定義務との対比のようですが、つとめること自体ではなく、その成果としてのスキルアップを目標にしてほしいところです。BLOGOSにきょう出た記事、社会人と学生を分けるもの。頑張ったらご褒美があるメンタリティ。を思い出しました。そういえば、「がんばります!」や「やる気だけは誰にも負けません。」は、人生を最高に楽しむために20代で使ってはいけない100の言葉(千田琢哉著、かんき出版)のNGワードとなっています。