生駒 忍

記事一覧

死語ランキングと森口博子と告発された講師

きょう、しらべぇに、これを使うとオヤジ認定!「死語ランキング」トップ4という記事が出ました。

タイトルに「トップ4」とあり、3でも5でもなく、ワースト4でもありません。四大死語、ないしは死語四天王とでも言えるような、第30回新語・流行語大賞のように4本がほかと大差をつけた先頭集団になっているのかと思ったのですが、「しらべぇ編集部が選んだ4つの言葉「ナウい」、「ヤング」、「ドロンします」、「チョベリバ」から選んでもらった。」とあり、そもそも4語しか調べない調査でした。しかも、4択ではなく、5択だったようですし、その「選んでもらった」とされた中にはない選択肢が圧勝するという、ふつうは思いつかない展開です。ふと、小学一年生 2016年4月号(小学館)で「4つ使うアイデア!」とたたえられた、藤森あいりという人の作品を思い出しました。

せっかく調査結果を得たにもかかわらず、4語に関する考察は、「ナウい」について少しあるだけなので、少しふれておきます。「チョベリバ」は、若い人には単に見かけない文字列で、死語とさえ思わないかもしれません。その断絶をいかして、合わせて死語になった対義語をタイトルに使った、Exciteニュースの90sチョベリグニュースが、意味がわかるような世代の人をフィルタリングしています。そもそも、ニュースなのかという批判もあると思いますが、いまの話題とうまくつなげるくふうもあります。きょう出た記事、ウエンツ瑛士、「ホラッチョ」と呼ばれていた過去も、その手で注意をひきました。須藤玲司という人のきのうのツイート、時事ネタあげ忘れてた。が、課長 島耕作 7(弘兼憲史作、講談社)を取りあげたように、あの素材は使いたくなります。

「ドロン」「ヤング」がずいぶんと低いのも、第5の選択肢があることの影響だけでなく、死語とさえ思わないことが効いているのでしょう。ですが、見かけない文字列と思われたのではなく、同綴同音異義のために、死語になったほうの存在に気づかないこともありそうです。固有名詞以外にもあるヤングは当然としても、トラウマ日曜洋画劇場(皿井垂著、彩図社)に「ドロンの演技も意味不明」とあったドロンがわかるのでしたら、若い人も捨てたものではないと思います。

ここでは「トップ4」よりも、後半の「他の「死語」は?」のほうが、くわしい説明がされます。おかしな構成ですが、いつの間にか、しらべぇの記事の質はまちまちになってきましたので、特におどろくこともないでしょう。「アウトオブ眼中」、このことば自体がもう「アウトオブ眼中」です。「アゲアゲ」、これもありました。アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士(DJ OZMA)のヒットから、もう10年になります。「バッチグー」は「『クイズ年の差なんて』で森口博子らが多用した」、この人名のほうがなつかしい感じもありますが、YOMIURI ONLINEにきのう出た記事、元気な歌声 多くの人に…森口博子さんで、変わらずほがらかなすがたを見せていて、永遠に「Pray don't break a peace forever」な風です。「ヒューヒュー」では、「頭のおかしい人と思われてしまう」などとある文を太字にしたのが奇妙ですが、その後長く不安定だった華原朋美の連想とつなげたかったのでしょうか。華原の笑えないお話の記事で取りあげたころには落ちついてきて、よかったと思います。いまも心配なのは、ロックスターの早死にの記事で取りあげた元トップスターですが、こういうことを書くと、ダンナ様は霊媒師 視える人だけが知っているこの世をラク~に生きるコツ(ケプリ夫人著、KADOKAWA)の109ページのようなことを言われるのでしょうか。

「古くさいイメージのある死語だが、一瞬で時代を感じることができる。これも日本語独特の文化といえるのではないだろうか。」と締めます。これこそ「頭のおかしい人と思われてしまう」と思った人は、いますでしょうか。少なくとも、英語にも死語はあります。さらに、日本人が気づかずに死語の英語を使っているという、日本人のちょっとヘンな英語(D. セイン著、アスコム)のやや強引な指摘もありますが、Amazon.co.jpでは多数の低評価をあびました。ふと、netgeekにきょう出た記事、生徒にAmazon最高評価を強要し証拠まで提出させている大学教授ハイディ矢野、告発されるを連想しました。ここにも、あの素材が登場して、失笑をさそいます。

レストランで効くフレーズと「ありのまま」

きょう、マイナビウーマンに、レストランのメニューに書いてあるとつい「頼みたくなるフレーズ」10という記事が出ました。

「女性のみなさんはどんなフレーズで「つい頼みたくなってしまう」のでしょう」というテーマの、「第1位は30.4%で「本日のオススメ」でした。」とあります。私などはつい、かたよってだぶついた食材を廃棄から救う意図ではと考えてしまったりもしますが、システム1的に決めさせる、COURRiER Japon 2014年8月号(講談社)でいう「現代の魔法」の一種が効くのでしょう。

「第3位は20.7%で「○食限定」。」です。「第2位は22.5%で「今が旬!」。」にも、「「この季節にしか食べられない」まで変換されてしまったらもうあとは注文するだけ」とありますし、限定品商法の要注意ワードの記事でも取りあげたように、限定メッセージの力も強力です。

結論は、「ちょっとしたフレーズにも影響されてしまうというのは何も恥ずかしいことではありません。」「食事くらい楽しくいきたいものですから、どんどん影響されてしまいましょう。」となります。気をつけましょう、ではなく、ありのままでいこう、あるいはむしろ恐怖突入のような、ポジティブな態度です。ですが、流行語のトリクルダウンの記事で取りあげたように、「ありのまま」はむしろ、ネガティブワードなのです。

意味を誤解していたことばと失敗から逃げる人

きょう、暮らしニスタに、思わず赤面!「勘違いしていた言葉」で死にたくなった体験談という記事が出ました。

「人間、「知らないこと」「勘違いしていること」なんて沢山沢山ありますよね~。」と書き出されます。ここで話題になる「大恥をかいた勘違い言葉」に手を出さなくても、きちんと知っていることばだけを使えば、誰にも知られずにすむことではあります。ダイバー 2015年5月号(ダイバー)でセイン・カミュは、「知っている単語を並べるだけでもじゅうぶん通じるよ!」と言っています。ですが、知らないことを知って、ほしいものを得て、そだっていくためには、失敗をおそれすぎてもいけません。「モテ」に効果のなかった努力の記事で取りあげたように、失敗から学ぶものもありますし、「ロストゲイン効果」の記事で取りあげたように、失敗を利用することもできます。好きな人の前でミスしたときの記事で取りあげた、六角精児のことばもそうです。そうはいっても、日英語の比較 発想・背景・文化 第二版(日英言語文化研究会編、三修社)に、「古来,日本人の考え方は消極的なもので,人間はただ悪いことをしなければよいというものであり,無難に人生を送ろうとしてきた。だから日本では「勤続40年」や「20年無事故運転」が表彰の対象になる。」とあるような、失敗回避の文化は根強くあります。あるいは、今は時代が変わって、「黒子のバスケ事件」でのねたみの記事で取りあげた「ゲーム感覚」が身につき、失敗したらリセットボタンか自爆かとなってしまうのかもしれませんし、上昇志向のない若者の記事で取りあげた、とにかくリスクから逃げる感覚も、さまたげになります。一方で、失敗はだめ、「ダメ、ゼッタイ」だけにせず、言いわけする大人にさせない方法の記事で取りあげたやり方もありますし、「かくれんぼ」ができない子どもたち(杉本厚夫著、ミネルヴァ書房)にあるように、「「だからいったでしょ」といって過去を振り向かせるか、「どうしたらいい」と未来を向かせるかによって、子どもの失敗に対する考え方が大きく変わってくる。」のです。あるいは、おとなの失敗から、子どものためになるようにつなげることも教育的でしょう。「小1のカベ」に勝つ(保育園を考える親の会編、実務教育出版)にある入学式でのできごと、「校長先生も失敗しちゃったけど、学校では失敗してもいいんだよ」はみごとですし、PHP 2014年12月号(PHP研究所)にある佐藤佐知典という人の回想、「間違ってもいいんだあ!」も近いかもしれません。武井咲の強さの記事の最後に触れた発言や、趣味へのお金のかけ方の記事の最後に取りあげた女子高生のような態度が、そだってほしいものです。

「立派に子どもを育てている100人の主婦の方々」を対象とした調査で、「勘違いして覚えていた言葉で、恥ずかしい思いをしたことはありますか?」という問いに対して、YESが91人と、大多数を占めました。そして、「NOと答えた人の中でも「とくに恥ずかしいと思った経験がない」という人は、たったの4名。」、優秀な人もいるように見えて、残念なエリート(山崎将志著、日本経済新聞出版社)に登場する「「何もしない」エリートたち」ではありませんが、リスクにいっさい手を出さず、手をはさまれずにきたという優秀さ、ロスジェネ心理学(熊代亨著、花伝社)でいう「全能感を維持するために「なにもしない」人達」のようにも思えます。PRESDIDENT Onlineの記事、「採用したい男子学生がいない」採用担当者が嘆く3つの理由の、「『あなたの失敗した経験を聞かせてください』と言うと、『失敗したことはありません』と平然と答える学生」のようなものです。

「天津甘栗を『あまつあまぐり』と呼び、『てんしんあまぐり』は別商品だと思っていた」、これは意外に正しそうで、興味深いです。重箱読みだと知らなければ、すべて訓読みか音読みかでそろえるのが、自然な読みではあります。音読みにするにしても、津を「シン」と読む機会は多くありません。もちろん、となりの国の都市名なのですが、天津甘栗は河北省で収穫されますので、その知識からは不自然になります。ちなみに、天津飯は、食べもののほうも、日本で考え出されました。すると、日本古来の読みで、神々しく「あまつ」としたくなるのも、わかります。

「「訃報をずっと『とほう』だと思っていたら、主人に指摘されて気づきました。」、漢字のつくりのうち、つくりから読みの見当をつけるヒューリスティックの失敗例でしょうか。「築き上げてきたキャラが崩壊」して、途方にくれたものと思います。

「耳からだけの情報だとありがちな間違え3選でした。」、3番目はともかくとしても、だじゃれとしてありがちなものでもあります。そして、ぐっさんさんのだじゃれの記事で取りあげたように、だじゃれは耳の問題とも関連するのです。

「ある大きな仕事を任されたときに謙遜して使ったつもりが、逆の意味だと後から知った」例では、足りない人だと思われたことと思います。知らないまま、かっこよいことばだと思って使いたくなったのでしょうか。ふと、まんがライフSTORIA Vol.12(竹書房)のハトポポコのまんがの、「衝撃」を思い出しました。あのような場合は、意味を知らなかったわけですから、マイナビ学生の窓口にきょう出た記事、【米研究】汚い言葉を使うと健康になる?!最も簡単なストレス発散方法とはのような効果はないはずです。

「『許さん』という言葉を人の名前だと思い、『ゆるさんって誰?』と聞いて周囲を凍りつかせたことがあります」、ありそうです。似ていてそうでもないものとしては、自閉症の公社職員の落語の記事で取りあげた、小さんのお話があります。

「余談ですが、「デング熱」のことを友人が「テング熱」とだと思っていたようで、「テングの鼻が蚊っぽいから!」とよくわからないことを言っていました。」、おそらくは、昨年のことだろうと思います。あのデング熱さわぎも、デング熱報道批判の記事で取りあげたような声が効いたのかはわかりませんが、この夏はすっかり冷めたようです。

「けど、大丈夫。気づいたときに、こっそり記憶をリライトすればいいんです。」と締めます。それでよいと思います。失敗自体は消せなくても、いらないことは消して、あるいは書きかえて、いまを生きていくものです。そういえば、週刊実話 9月3日号(日本ジャーナル出版)で篝一光は、歌舞伎町について、「昔の建物なんかは随分と無くなったよね。でも、大切なのは今なんだよ。」と言っていました。

それで思い出したのが、デイリースポーツonlineにきょう出た記事、濱田龍臣 三船美佳への“恨み”明かすです。5年前にあだ名でいじられたことで傷ついたという濱田の主張に対して、「三船に改めて取材したところ、“あだ名事件”について覚えておらず「何ていったらいいか…」との返答」だったそうです。「ひそかに傷ついていた」とあるところは、ライブドアニュースへの転載記事のほうでは、「番組で泣いてしまい、子供心にずっと傷ついていた」と、大ごとのように書きかえられたのも気になりますが、三船は逃げたのか、はんなり豆腐(KADOKAWA)の80ページのようなものなのか、どちらでしょうか。また、「濱田にとっては秘密にしておきたいあだ名」とありますが、あだ名は濱田龍臣パーソナルブック たつおみ。(学習研究社)に書いてありますので、つじつまが合いにくいように思います。

「落ちもの」フィクションと出版不況の問題

きょう、しらべぇに、【退屈なら自分で何とかしろ】「なんかいいことないかなー」独り言に14.0%がイラッ!という記事が出ました。

「「活字離れ」と言われる昨今ですが、人々が触れる活字の量は、以前よりも増しているのではないかという指摘があります。」とあります。「原因がインターネットのテキストサイト、特にSNSの普及拡大」だということは、「テキストサイト」ということばがなつかしさを感じる私には気になってしまうこともありますが、この「活字」は本来の活版印刷どころか、とても広い意味での用法です。「いいね!」が社会を破壊する(楡周平著、新潮社)の「若者の活字離れ」論にも、そういう立場が見られました。そのあたりでの混乱がありますし、お金の問題である出版不況を「活字離れ」という表現とつなげる議論も、あまり好ましくないように思います。週刊朝日 5月2日号(朝日新聞出版)で、先ほどの「いいね!」が社会を破壊するの著者である楡は、「ただ、みんなコンテンツに対してお金を出さなくなった。」「読者の絶対数はそんなに減ってなくて、要はタダで読むことを覚えちゃったんです。」とし、「活字の世界でお金を得ることに対して、すごくネガティブな反応を示す人たちがいる」とも指摘します。ガベージニュースの記事、図書館の貸出冊数や利用者動向をグラフ化してみる(2015年)もご覧ください。

「自分が何気なくつぶやいた一言がきっかけで、よくも悪くも事態が転がっていく。」とあります。そのうち、この後の例は、悪い方向のものになります。ちなみに、ひとりごとが、事態がよい方向へと転ぶようにはたらく例としては、おさわり探偵小沢里奈 ライジング3 なめこはバナナの夢を見るか?(サクセス)があります。

「あーなんかいいことないかなー」に対して、「本サイトの調査によると14.0%の人がこのセリフを言われて腹が立ったことがある」そうで、「回答者は、こ憤りを覚える理由を次のように語ります。」として、自由記述がならびます。「受け身の姿勢で待っている態度に批判の声」、そうでしょう。毎朝、食パンをくわえては曲がりかどに飛びだしなさいとは言いませんが、自分は日常を送るだけのところに、向こうから来て自分の世界を変えてくれる「落ちもの」は、フィクションの世界なのです。ロスジェネ心理学(熊代亨著、花伝社)が、「なぜ「惚れたい」でなく「モテたい」なのか」、「「私が愛されたい」「私を幸せにして欲しい」という受動的な欲求」を論じたことを思い出します。自分からうごきましょう。金持ちになる教えのすべて(R. キヨサキ著、マイクロマガジン社)の著者メッセージには、「お金が欲しい人はたくさんいるが、『金持ちになろう』と決心して行動する人は人はとても少ない。」とあります。

ですが、「こころマーク」の記事で紹介した警句ではありませんが、よくない行動は止めることも必要です。時事ドットコムにきょう出た記事、下着一枚で荒川泳がせる=16歳男子生徒に水路でも-高校生3人逮捕・警視庁は、Infoseekニュースでは「パンツ1枚でカメやコイ捕る16歳」と、被害者がユニークな人であるかのように紹介されましたが、加害者は「イケイケで舞い上がり、自分を止めることができなかった」と言っているそうです。警察発表にはなじみにくい、古くさい擬態語が刺激的です。そういえば、日本経済復活が引き起こすAKB48の終焉(田中秀臣著、主婦の友社)には、「好況期には正統派アイドル人気は低迷し、より強い刺激を求めるようになり、過激でイケイケなセクシーアイドルたちが台頭してくる」とありました。

大物になりそうな人の平凡なことばと継続の力

きょう、マイナビウーマンに、「大物(成功者)になるんだろうな……」と思える人がよく発する言葉1位「ありがとう」という記事が出ました。

どん底からでも戻れるという「成功者」、「そんなオーラーが出ている人が発する言葉を、読者440名に聞きました。」という調査です。実際の成功者ではなく、そうなりそうに見える人の、しかも本人にではなく、まわりに聞くかたちの調査で、距離があるようにも感じますが、調べやすいやり方を優先したのでしょう。

「1位は「ありがとう」でした。」、成功者ならではの、「オーラーが出ている」特異なメッセージではなく、あまりにもふつうのことばです。私の夢は(小川糸著、幻冬舎)に、「偉大な人ほど、ある面では平凡なのかもしれない。」とあるのを思い出しました。

「2位は「運がいい」です。」、若者の不運の記事でも触れたように、成功者に運はつきものです。あるいは、運をうまく運用できるという、メタ的な運の力のようにも思えます。そういえば、週刊朝日 11月7日号(朝日新聞出版)の、成毛眞と林真理子との対談では、運は定量であるという考え方が話題になっていました。

「3位は「継続は力なり」。」です。人生について、父から学んだ大切なこと(山谷えり子著、PHP研究所)には、父、つまり山谷親平のことばとして、「運・鈍・根が人をつくり、物事をなさしめる。根気よく、コツコツととにかく続ける。」「他人がラクして、うまくやっていることなど気にするな。そして、“鈍”バカになる。」「こうすりゃ、運が向いてくる。また、運がきた時、パッとつかめる」とあります。継続は、2位の運につながるということになります。

ページ移動