生駒 忍

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「落ちもの」フィクションと出版不況の問題

きょう、しらべぇに、【退屈なら自分で何とかしろ】「なんかいいことないかなー」独り言に14.0%がイラッ!という記事が出ました。

「「活字離れ」と言われる昨今ですが、人々が触れる活字の量は、以前よりも増しているのではないかという指摘があります。」とあります。「原因がインターネットのテキストサイト、特にSNSの普及拡大」だということは、「テキストサイト」ということばがなつかしさを感じる私には気になってしまうこともありますが、この「活字」は本来の活版印刷どころか、とても広い意味での用法です。「いいね!」が社会を破壊する(楡周平著、新潮社)の「若者の活字離れ」論にも、そういう立場が見られました。そのあたりでの混乱がありますし、お金の問題である出版不況を「活字離れ」という表現とつなげる議論も、あまり好ましくないように思います。週刊朝日 5月2日号(朝日新聞出版)で、先ほどの「いいね!」が社会を破壊するの著者である楡は、「ただ、みんなコンテンツに対してお金を出さなくなった。」「読者の絶対数はそんなに減ってなくて、要はタダで読むことを覚えちゃったんです。」とし、「活字の世界でお金を得ることに対して、すごくネガティブな反応を示す人たちがいる」とも指摘します。ガベージニュースの記事、図書館の貸出冊数や利用者動向をグラフ化してみる(2015年)もご覧ください。

「自分が何気なくつぶやいた一言がきっかけで、よくも悪くも事態が転がっていく。」とあります。そのうち、この後の例は、悪い方向のものになります。ちなみに、ひとりごとが、事態がよい方向へと転ぶようにはたらく例としては、おさわり探偵小沢里奈 ライジング3 なめこはバナナの夢を見るか?(サクセス)があります。

「あーなんかいいことないかなー」に対して、「本サイトの調査によると14.0%の人がこのセリフを言われて腹が立ったことがある」そうで、「回答者は、こ憤りを覚える理由を次のように語ります。」として、自由記述がならびます。「受け身の姿勢で待っている態度に批判の声」、そうでしょう。毎朝、食パンをくわえては曲がりかどに飛びだしなさいとは言いませんが、自分は日常を送るだけのところに、向こうから来て自分の世界を変えてくれる「落ちもの」は、フィクションの世界なのです。ロスジェネ心理学(熊代亨著、花伝社)が、「なぜ「惚れたい」でなく「モテたい」なのか」、「「私が愛されたい」「私を幸せにして欲しい」という受動的な欲求」を論じたことを思い出します。自分からうごきましょう。金持ちになる教えのすべて(R. キヨサキ著、マイクロマガジン社)の著者メッセージには、「お金が欲しい人はたくさんいるが、『金持ちになろう』と決心して行動する人は人はとても少ない。」とあります。

ですが、「こころマーク」の記事で紹介した警句ではありませんが、よくない行動は止めることも必要です。時事ドットコムにきょう出た記事、下着一枚で荒川泳がせる=16歳男子生徒に水路でも-高校生3人逮捕・警視庁は、Infoseekニュースでは「パンツ1枚でカメやコイ捕る16歳」と、被害者がユニークな人であるかのように紹介されましたが、加害者は「イケイケで舞い上がり、自分を止めることができなかった」と言っているそうです。警察発表にはなじみにくい、古くさい擬態語が刺激的です。そういえば、日本経済復活が引き起こすAKB48の終焉(田中秀臣著、主婦の友社)には、「好況期には正統派アイドル人気は低迷し、より強い刺激を求めるようになり、過激でイケイケなセクシーアイドルたちが台頭してくる」とありました。