生駒 忍

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流行語のトリクルダウンとダッチワイフかくし

きょう、東洋経済ONLINEに、2014年、世相を映す「職場流行語」はこれ! 流行のあの言葉、職場ではネガティブワードという記事が出ました。

「「営業部女子課」メンバー協力のもと、「職場で流行った言葉」を調査し、ランキング」した結果の発表です。ですが、途中で「番外編」がはさまれることをのぞけば、トップ3をならべただけの、簡素なものになっています。

3位は、「アベノミクス」です。「皆さんの職場でも、今年1年で聞くことが多くなったであろう「アベノミクス」という言葉。」とありますが、このことばは、本家のほうでは昨年のトップ10に入っていました。遅れて「職場流行語」となる、トリクルダウン的な展開が、いかにもアベノミクスらしいところです。

2位は、「ありのままで」です。「ありのままの自分でいるということを勘違いして、今までの自分のまま、楽な状態でいようと思うこと、これは間違いですよね。」「そうではなく、「ありのままの自分」とは過去の失敗にとらわれない、「成長していこうと前を向く状態」と、映画では表現されているはずです。」、何も映画のこのような解釈にこだわる必要はないと思いますが、「今までの自分のまま、楽な状態」の正当化に使えるフレーズが、金子みすゞ以上に流行してしまい、しかもよりによって、ありのままではいけない人にばかり好まれているように思われるところが、残念に思われます。「ありのまま」の恋愛心理の記事で触れた、「駄目な俺を受け容れてくれ症候群」とも関連するでしょう。

1位は、「ダメよ~ダメダメ」です。YouTubeにきょう出た動画、【全国の女子に聞いてみた】結婚不適合者だと思う男性の特徴は?の最後も、これでした。「サイバーエージェントが実施した「2014年の女子中高生流行語」調査でも、流行語トップは「ダメよ~ダメダメ」だったようで、世代を問わず浸透していたことがうかがえます。」とありますが、公式発表の「Ameba」が2014年「JCJK流行語ランキング」発表 流行語1位は「ダメよ~ダメダメ」、「かまちょ」「KS」など新しいJCJK語も上位に 流行っていたモノ・コト1位は「壁ドン」によれば、調査を実施したのはサイバーエージェントのウェブサービスであるAmebaということになっています。6位の「KS」の上と下とに大きな落差がある、ジフ構造に見えないことばのデータが得られた調査です。また、あのキャラクターは、「「ダメよ~ダメダメ!」と断る未亡人朱美ちゃん」と表現されて、ダッチワイフとも、ラブドールとも書かれませんでした。「営業女子を応援するためのコミュニティ」、「女性営業職の活躍を拡げることで、結果男女ともに輝きながら働ける社会創造を目指しています。」という立場では、さわりたくないことばだったのでしょうか。あだ名が「日本人形」だった筆者には、かんにさわることばだったのでしょうか。

「来年こそは職場内外を問わず、ポジティブな流行語、たとえば「イイよ~イイ!イイ!」などが使われ、明るく活気のある1年になるように願います。」、たとえは1位よりも品がない印象ですが、明るい流行、明るい新年へのねがいは、同じ思いです。産経ニュースにきょう出た記事、「面白・アホらし話題」はあの“号泣県議会見” 関西プレスクラブ10大ニュース、1位は集団的自衛権の閣議決定で、番外編の「面白・アホらし話題」なのに記事タイトルにされた「元兵庫県議の号泣会見」は、ことしのお茶の間を笑わせた事件でしたが、日本を世界中で笑いものにされ、号泣自体も、常習的な不正のうたがいも、本来は明るい話題ではないはずです。週刊ポスト 12月26日号(小学館)によれば、年内に立件されて、ことしの汚れはことしのうちに、となりそうですが、FRIDAY 1月2日号(講談社)には、「奈良県の宗教法人」が味方についたという説があり、気になるところです。