生駒 忍

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心身障害者対策基本法は1970年施行です

シリーズ第28弾です。

ワークブック473ページに、「1971(昭和45)年に制定された心身障害者対策基本法」とあります。1971年は昭和46年で、昭和45年は1970年なのですが、制定されたのはどちらなのでしょうか。

この法律は、20年前に障害者基本法へ変わりましたが、心身障害者対策基本法として制定されたのは、1970年5月のことです。日本における差別と人権 第4版(部落解放人権研究所)では、翌年に施行されたように書かれていますが、附則にあるように、即日施行でした。1年後になったのは、27条および当時の内閣府設置法15条に基づく中央心身障害者対策協議会の設置です。

このワークブックの472ページには、「障害者施策等の主な歴史の流れ」という表がありますが、そこでは制定年が1970年になっていて、こちらは正しいです。一方、いまなぜユニバーサルイベントなのか 新しいイベントの概念を求めて(日本イベントプロデュース協会)を見ると、「高齢社会を生き抜く人づくり塾」が作表したという「国連と日本の人権推進の主な流れ」という表で、心身障害者対策基本法に1971年という年代が与えられていますが、これは誤りです。月刊ケアマネジメント 2013年5月号(環境新聞社)は、障害者総合支援法の2段階目の施行が2万年以上先になっていたり、高経協第1回シンポジウムが日曜日の開催のように案内されたりと、毎号のことながら校正が甘いのですが、特集記事にある「障害福祉政策の歴史」という年表では、心身障害者対策基本法は1970年になっています。

『WILLPOWER 意志力の科学』の評判

WILLPOWER 意志力の科学(R.F. バウマイスター・J. ティアニー著、インターシフト)が公刊されてから、1か月がたちました。読んだ方はいますでしょうか。

Yahoo!ニュースBUSINESSに『スタンフォード~』の次はこれ?「意志力」の第一人者によるベストセラーという記事が立つなど、あのスタンフォードの自分を変える教室(K. マクゴニガル著、大和書房)の類書として紹介されることも多いようです。ですが、特に売れているという話は耳にしませんし、amazon.co.jpのカスタマーレビューは、1件しかついていません。そのレビューでは、「背景となる研究がきちんと紹介されている分、『スタンフォードの自分を変える教室』と比べてややとっつきにくい印象」と書かれている一方で、Yahoo!ニュースBUSINESSの記事では、「当然同じ教訓、ノウハウが書かれた個所もありますが、全体的に見て、こちらの方が詳しく、実験が行われた背景や条件などもわかりやすく書かれてい」ることが評価されています。

第一著者が、amazon.co.jpの内容紹介では「心理学者として世界で最も研究成果の引用が多く、影響力があるひとりとして知られる」、Yahoo!ニュースBUSINESSの記事では「心理学者として世界で最も研究成果の引用が多く、影響力のある学者」とされています。私のイメージでは、心理学関係での被引用では、アトキンソン-シフリンの多重貯蔵モデル、あるいはフロイトの夢判断あたりが敵なしだと思っていましたが、これらを超えたのでしょうか。そういえば、この本のはじめのほうに、マシュマロ実験の話題の中で、「フロイト派の精神分析法にとって大きな打撃となった」という表現が出てきます。

看護学書編集者のシンポジウム話題提供

来週末、6月1日に、第46回比較心身症研究会が開催されます。会場は、隅田川のほとり、帝京科学大学千住キャンパスです。

今回は、教育講演とシンポジウムとの2本立てですが、そのシンポジウム「動物の看護・ヒトの看護」の話題提供者に、竹内吉夫というお名前があります。正直なところ、私はまったく知らない方です。「看護学書編集者」という肩書きがめずらしいので、どんな本を編集されているのか、興味がおきましたが、CiNii Booksの検索結果では、昭和のころに翻訳に参加した本しか見あたらないようです。amazon.co.jpの検索結果でも、同様です。

日心77回大会各種申込が締め切られました

きょう、日本心理学会第77回大会の、各種の申込や登録が、いっせいに締め切られました。予定の次の日にずれ込みましたが、これくらいでしたら、いっさい延長しないという約束が、おおむね守られたといってよいと思います。

申込に使うマイページも、入口のhttps://cos.congre.co.jp/jpa2013/mypage/からきれいに削除されました。こういう場合には、締切となりましたと書いたページに差し替えることも多いように思いますが、この大会では、ファイルを消すだけというとてもシンプルな対応となっています。

世田谷区待機児童問題と保坂区長の明言

週刊新潮 2013年5月23日号(新潮社)を購入しました。同じ日に出た週刊文春 2013年5月23日号(文藝春秋)も、モンスターペアレントについて、プライバシーを理由に家庭訪問を拒否、外から撮影されないように自分の子は窓ぎわの席にさせない、外見の指摘に「宗教上の理由」を持ちだすなどの事例が集められた記事が興味深かったのですが、こちらは見送りました。

今号で私が最も関心があったのは、先日亡くなった精神医学者小田晋の追悼記事でした。「特集」と書かれている割には短い記事でしたが、あの正義感、反骨精神をふり返るとともに、心なごむ意外なエピソードにも触れることができました。あらためて、ご冥福をいのりたいと思います。

まだ読みきってはいないのですが、ワイド特集の中にあった、世田谷区の待機児童問題も注意をひきました。あの区長と労組とがあって、全国ワーストとされる事態の改善策がさまたげられているということのようです。そういえば、つい先日出た経堂Walker(角川マガジンズ)でも、保坂区長は「保育のキャパシティが足りないという深刻な問題があるのは事実」と明言していて、わかってはいることが確認できます。