生駒 忍

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TA学会・HC心合同大会サイトの背景画像

あすからの2013 ITAAに前後して、はじめて知る方も多く出てくるのではないかと思いますが、日本交流分析学会第39回学術大会と、日本ヒューマン・ケア心理学会学術集会第16回大会とは、合同開催となります。9月13日・14日に、サンポート高松を会場として行われます。

合同大会のウェブサイトは、こちらです。まだ情報が少なく、title要素を空にしてあるなど、検索エンジンから見つけてもらうことを考えていないようすですが、紹介しておきます。なお、私の目には、背景画像が、いまいち落ちつかないように見えます。風景写真 2013年7・8月号(風景写真出版)にあった、「意識下にない風景は見えていない」というお話ではありませんが、そう言われて気になってきた方もいるかもしれません。私は、作者には迷いがあったのだと考えています。この背景画像の、p2b.gifという無味乾燥なファイル名を1文字いじって、p1b.gifとしてみると、対立候補だったと思われる背景用画像を見ることができます。どちらがよいか悪いか、それとも興味が全然ない、どうでもいいでしょうか。どっちもどっち(森高千里)のようですね。

一橋大は研究大学に応募して落とされました

先週、文部科学省が、平成25年度「研究大学強化促進事業」の支援対象機関の決定についてという文書を公表しました。地味な事業名で、金額も地味だという方もいるかもしれませんが、研究者の世界からみると興味深いところもあります。

やはり、注目すべきなのは、並んだ大学名はとても手がたいように見えて、実は従来的なヒエラルキーのほころびがうかがえるところです。対象に選ばれた全22機関には、今年度の配分予定で4億円、3億円、2億円の3段階で、金額に差がつけられています。4億円のトップグループには、東北大、東大、名大、京大が入り、昔ながらの序列なら入れそうな阪大は、その下の2番手グループへ回されています。また、旧帝大のうち、北大はその3億円のグループにも入れず、ここだけが3番目、一番下のグループになりました。さらに、ここが一番話題になっているようですが、旧帝大のすぐ下というイメージのある一橋大にいたっては、一番下のグループにさえも見あたりません。

一橋大が1円ももらえないのは、審査に落ちたからでしょうか、それとも、はじめから応募していなかったのでしょうか。応募した機関の一覧は公表されていないのですが、一橋大の公開ずみの学内文書の中に、手がかりがあります。平成25年度第1回経営協議会議事要録を見ると、おだやかでない内容の審議事項1が目をひきますが、後ろのほうの「その他」に、「7月頃にヒアリング審査が予定されている」との記述がありますので、この時点で応募が完了していたかどうかはわかりませんが、応募が既定路線であることは明らかです。ですが、次の段落にある、「本事業は、これまでの公募事業と異なり、国が一方的に選定する形で、30大学が選定され、ヒアリング審査が行われることとなった。」という認識は、少し気になります。ヒアリング審査は募集に応募して受けてくるものなのに、受け身の態度が出ていますし、その前に選定されたのは「30大学」というのは多すぎで、27機関です。

逆に、昔ながらのヒエラルキーを飛びこえたといえる大学もあります。ですが、一部で福岡大学が選定されたという情報が出ていて、これはさすがに考えにくいです。おそらく、出所はBLOGOSの、研究型大学トップ20のインパクトという記事です。文科省の文書と見くらべると、熊本大学を「福岡大学」と書いてしまったのだとわかります。

日本選択理論心理学会尼崎支部9月尼崎研究会

きょう、日本選択理論心理学会尼崎支部のウェブサイトに、来月の尼崎研究会のお知らせが出ました。以前に、遠州支部研究会の予定変更について書きましたが、こちらはいつもどおり、第3土曜日の21日に、いつものセンターでの開催です。

その会場へのアクセスについて、支部サイトでの研究会案内でも、9月研究会のブログ記事でも、バスの場合の説明が、わかりにくく感じます。これは、会場であるトレピエのウェブサイトから、コピペでとってきたためだと思います。改行や太字設定が落ちて、文字情報だけになったことが効いているのでしょう。バス以外のところからも、コピペに基づいている可能性がうかがえます。距離の単位を書くときのmとメートルとの使いわけ、立花駅のほうでは北口と書いても武庫之荘駅は南口ではなく「南出口」、1.8kmを約20分で移動するという速歩設定、トレピエのものと符合します。なお、この移動速度は、不動産屋が使うものよりも速いペースです。不動産の公正競争規約にある、不動産の表示に関する公正競争規約施行規則10条(10)を適用すれば、この道のりなら23分と書くことになります。

ブログ記事のほうでは、連絡先のメールアドレスが2件並べてありますが、単なるメールアドレスという以上の情報が拾えるようなもので、よけいな心配をしてしまいます。その下にあるように、どちらのメールアドレスも使わずに、「メッセージを送る」からという連絡方法もとれますが、それは「右」には見あたらず、左ペインにしかないはずです。更新のときにめがねをはずしていたのだろうという憶測では、下山事件 最後の証言(柴田哲孝著、祥伝社)のめがねの話にも笑われそうですし、なぜこうなったのか、こちらのほうは見当がつきません。

びも~るの「高校生のための心理学講座」情報

北海道大学発だというベンチャー企業の調和技研が、札幌のイベント情報を集めて発信する、びも~るというウェブサイトを運営しています。きょう、そこに、高校生のための心理学講座「心の不思議を解き明かす」 北大 (8/10)という案内が出ました。日本心理学会による高校生のための心理学講座シリーズの中の、北海道地区のものを取りあげています。

あさっての開催だというのに、今ごろに案内するのは不親切だという批判もありそうですが、今のところ、定員がもう埋まったとは聞いていません。日心が全会員に郵送したチラシには見あたらない、「座席に余裕がある場合は当日参加も可」という文言を足したことからみて、申し込み手続きをとらずに、直接行っても問題なさそうだと思います。少なくとも、これから往復はがきを出して、受付にもう出してあることを申し出るよりは、おたがいの負担が小さくてすみそうです。それでも、他の手段でかまわないので、事前に申し込みをしてもらえると、今後の企画告知の参考になる情報がとれて、学会としてはありがたいかもしれません。お気づきの方も多いと思いますが、日心のチラシと、びも~るのこの案内とでは、申し込みに必要な情報の組みあわせを変えてあります。ですので、そこから、どの媒体が効いたのかが、直接聞かなくてもわかるようになっているのです。

行橋京都児童発達相談センター開設の報道

少し前のことになりますが、毎日新聞の京築版に、山本紀子という記者が、児童発達相談センター: 行橋に開設 臨床心理士ら、平日は毎日対応という記事を書きました。相談援助の場が増えるのは、とてもうれしいことですし、こうして周知されるのも、ありがたいことです。ですが、この記事には、やや適切でないところもあります。

冒頭から、「落ち着きがなくパニックになりやすい子供などの発達相談と診察」の場という書かれ方がされていて、例示としてまちがいではありませんが、かたよったイメージを持たせてしまうかもしれません。また、「当事者はこれまで、他市の病院に足を延ばすか、保健所での月1回の往診を待つしか」という表現は、大辞林 第三版(三省堂)がとった「足を伸ばす」という表記ではないことは気にしなくてよいと思いますが、「足を延ばす」という慣用句はふつう、どこかに外出をしたときに、その行き先からさらにもうひと息という場合に使うものでしょう。すると、近所の専門外の病院に行ってから、出なおさずに直接、「他市の病院」へと移動するということになります。もちろん、他を紹介されて、矢も楯もたまらず直行する方もいるでしょうし、子どものためを思って一刻も早くという気持ちを否定するつもりはありませんが、帰宅せずに直接移動をしないと、あとは保健所の往診以外にありえないのでしょうか。いったんは帰って、じっくり考えたり家族と相談してからにしたり、最初から「他市の病院」へ直接行ったりする方も、認めてほしいです。

そして、「発達障害の子は、国の調査で小中学校に6・5%いる可能性が指摘されている。」です。これは、文科省が昨年に調査して発表した、通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果についてのことでしょう。今回にかぎらず、たびたび報道等に使われていますが、しばしば、数値のひとり歩きのようになってしまうものです。まず、あの調査は、「全国(岩手、宮城、福島の3県を除く)の公立の小・中学校の通常の学級に在籍する児童生徒を母集団とする。」というものです。私学はまったく入っていませんし、それ以上に注意すべきなのは、文書のタイトルに「通常の学級に在籍する」とあるところで気づいてよいはずなのですが、特別支援学級ははずされていることです。また、これももう、タイトルにもあることなのですが、「本調査の結果は、発達障害のある児童生徒数の割合を示すものではなく、発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合を示す」ところを、「特別な教育的支援を必要とする」面はとばして、「発達障害の可能性」だけにされがちなところも、批判的にみられることがあります。さらに、報告書は、推定値だけでなく、その95%信頼区間への留意も求めているのですが、これはさすがに、一般紙ではむずかしいと思います。心理学者の世界でも、信頼区間を理解できていない人がほぼ一掃されたのは、伝えるための心理統計(大久保街亜・岡田謙介著、勁草書房)が出てからだと言ったら、さすがに言いすぎでしょうか。

なお、このセンターについては、行橋市のウェブサイトにある、行橋京都児童発達相談センター「ポルト」の開設につてでも知ることができます。FAX番号など、記事中にはない情報もあります。