先週、文部科学省が、平成25年度「研究大学強化促進事業」の支援対象機関の決定についてという文書を公表しました。地味な事業名で、金額も地味だという方もいるかもしれませんが、研究者の世界からみると興味深いところもあります。
やはり、注目すべきなのは、並んだ大学名はとても手がたいように見えて、実は従来的なヒエラルキーのほころびがうかがえるところです。対象に選ばれた全22機関には、今年度の配分予定で4億円、3億円、2億円の3段階で、金額に差がつけられています。4億円のトップグループには、東北大、東大、名大、京大が入り、昔ながらの序列なら入れそうな阪大は、その下の2番手グループへ回されています。また、旧帝大のうち、北大はその3億円のグループにも入れず、ここだけが3番目、一番下のグループになりました。さらに、ここが一番話題になっているようですが、旧帝大のすぐ下というイメージのある一橋大にいたっては、一番下のグループにさえも見あたりません。
一橋大が1円ももらえないのは、審査に落ちたからでしょうか、それとも、はじめから応募していなかったのでしょうか。応募した機関の一覧は公表されていないのですが、一橋大の公開ずみの学内文書の中に、手がかりがあります。平成25年度第1回経営協議会議事要録を見ると、おだやかでない内容の審議事項1が目をひきますが、後ろのほうの「その他」に、「7月頃にヒアリング審査が予定されている」との記述がありますので、この時点で応募が完了していたかどうかはわかりませんが、応募が既定路線であることは明らかです。ですが、次の段落にある、「本事業は、これまでの公募事業と異なり、国が一方的に選定する形で、30大学が選定され、ヒアリング審査が行われることとなった。」という認識は、少し気になります。ヒアリング審査は募集に応募して受けてくるものなのに、受け身の態度が出ていますし、その前に選定されたのは「30大学」というのは多すぎで、27機関です。
逆に、昔ながらのヒエラルキーを飛びこえたといえる大学もあります。ですが、一部で福岡大学が選定されたという情報が出ていて、これはさすがに考えにくいです。おそらく、出所はBLOGOSの、研究型大学トップ20のインパクトという記事です。文科省の文書と見くらべると、熊本大学を「福岡大学」と書いてしまったのだとわかります。