生駒 忍

記事一覧

アイスコーヒー好きの健康意識と澤田洋史

きょう、エンタメウスに、【注文の際には気をつけて】コーヒーだけで性格が見抜かれるらしいという記事が出ました。

内容は、1年近く前にMailOnlieに出た記事、What does your coffee say about you? Cappuccino-lovers are more likely to be obsessive – while latte drinkers try to please othersからの抽出のようです。オリジナリティがあるのは、最後の1文のみと言われそうですが、これも要注意です。「カフェラテとカプチーノの違いが泡の量であるということ」、誤解をまねきそうです。ミルクフォームの増減があれば、それだけほかにトレードオフをおこすので、泡だけが異なると考えるとおかしくなります。ロケットニュース24に2年半前に出た記事、【豆知識】カフェラテとカプチーノとカフェオレの違いが一発でわかる動画を思い出しました。なお、コーヒーなのでまさに「豆」知識だったこの記事は、「TULLYSCOFFEEJAPAN」の動画が非公開にされたことで、その概要を公開しつづける役目を負うことになりました。

あるいは、画像の使い方のオリジナリティも見るべきだという声もあるでしょう。インスタントコーヒーだけ、写真ではなくクリップアートなのは、MailOnlineのほうでコメントをつけたStephanieという人に近い考えを表現したのでしょうか。また、冒頭で、左下にクッキーが写った画像が2回登場して、同じものをくり返すのは無意味だと思った人もいるかもしれません。ですが、無意味かどうかはともかくとしても、同じ画像のくり返しではありません。きちんと見ましょう。

あとは要約といえますが、気になるところもあります。「アメリカのある心理学者」とあるのは、照明色の心理実験の記事で触れた武田邦彦のトリックパターンを思わせることもあり、名前くらい出したらどうかと思いましたが、Ramani Durvasulaのカタカナ表記に自信がなかったのでしょうか。研究手法が書かれないのも落ちつきませんが、MailOnlineは「observational study」としながらも、場面想定法のような手続きを述べていて、疑問がありますので、筆者も困惑したのだと思います。

「アイスコーヒー(甘め)」を選ぶ人は「健康に全く気を使わない。」、これは大胆を通りこして、誤訳の部類でしょう。次の文に「無謀なこうどうを取る」とあるのも、どうこう言いたくなります。ですが、非の打ちどころのない完璧なものは、なかなかできないものです。そういえば、珈琲時間 2013年11月号(大誠社)には、あの澤田洋史が1回、すべて完璧な1杯に達したお話がありました。

携帯電話による「自己中」と反舛添の市民デモ

きょう、IRORIOに、携帯電話のせいで若者が「自己中」になっているという記事が出ました。1年前に書いたうつ病と感情調整の記事で、携帯電話にとらわれる危険性について触れましたが、そのとらわれぐあいをとらえた調査を取りあげています。

「グローバルエージェンシーのハバスメディアが、16歳~65歳の英国人3,000人を対象に、デジタル機器が社会的または人の心理に与える影響を調査したところ、16歳~24歳の74%が「片時も携帯電話が手放せない」と回答した。」そうです。ですが、下部に3種類並んだ「出典元」のうち、MailOnlineは74%としましたが、あと2か所は画像の中で、71%としています。多数決で後者だと考えたい人も多いと思いますが、MailOnlineの74%は、3回登場します。

「ソーシャルメディアの影響で、若者たちのナルシズム(自己中心主義)が増長し」とあり、narcissismを「ナルシシズム」と書かないことはともかくとしても、「自己愛」では語感がずれそうなので、「自己中心主義」と書いたのでしょう。さらに、「実際に2/3の若者が、「友達や同僚と一緒にいても、会話が途切れれば携帯をチェックしたくなる」と自己中っぷりを発揮。」とあり、俗語の「自己中」に相当する英語は何だろうと思いましたが、「出典元」を見ると、3分の2という割合は、MailOnlineではalmostがついたことをのぞき、どこも同じなのですが、それらしい表現をともなってはいませんでした。あるいは、会話の最中に行動に移すのならまだしも、こんな欲求があるくらいで「自己中っぷり」と表現する筆者が行きすぎだと見るべきでしょうか。ですが、「自己中」については、自分でそれらしく気がつくところがあるなら、すでに相当なものだという見方もあるでしょう。なぜ、あの人と話がかみ合わないのか(細谷功著、PHP研究所)は、「自分の身勝手さが問題なのではないかと「うすうす気づいている」という方は、現実にはその一〇〇倍ほどは自分中心だと思うぐらいでちょうどいい」とします。

そういえば、この人は気づきがあるのかわかりませんが、舛添要一都知事が訪韓して勝手な発言をしてきたと批判されていることに関して、Business Journalにきょう出た記事、舛添都知事、韓国優遇策の背景に私的な感情とルーツ?都内に韓国学校増設、在日韓国人融資が取りあげ、出自がらみの可能性を指摘しました。きょう、舛添批判の市民デモの列に、私は八重洲で遭遇して、おそらくはなしのつぶてだろうと感じましたが、どうでしょうか。

アダルト動画大量視聴者の脳活動と山本圭一

きょう、日刊大衆に、エロ動画ファンは●●中毒になりやすいという記事が出ました。「世界B級ニュース」シリーズの、短いものです。

「ケンブリッジ大学のV・ヴーン博士」は、神経科学者Valerie Voonのことでしょう。そして、この研究はおそらく、PLOS ONEで発表された、Neural Correlates of Sexual Cue Reactivity in Individuals with and without Compulsive Sexual Behavioursだと思います。

「1日平均8時間以上エロ動画を観るポルノ中毒者」、これでは睡眠や労働よりも回す時間が長いとも思われ、くらしがどのように回っているのか心配になりました。ですが、PLOS ONEの論文には、「CSB vs. HV: sexually explicit material use: 13.21 (SD 9.85) vs. 1.75 (SD 3.36) hours per week」とあります。「中毒」という表現も、これで中毒と言わず何というのだと言われそうですが、学術的には適切とはいえません。ですが、依存と言いかえるのが正解かというと、DSM-5のこともあり、ややややこしいところです。

「服側線条体、扁桃体、前帯杖皮質の活動が活発」、扁桃体以外の2か所はそれぞれ、腹側線条体と前帯状皮質と書きたかったのでしょう。どちらも、字は明らかに異なるのですが、読みは正しくわかっていてのまちがいのように見えます。ちなみに、10日前にOKMusicに出た記事、まだ間に合う! 夏フェスで聴けるかもしれない意外な5曲には、「氣志團だから集められたジャンル不等のとんでもないメンツ」とあり、不問と書きたかったところを、読みをまちがっていたようです。

「これにより、ポルノ中毒者がヤクに手を出すと簡単に常習化すると判明!」、いきなり飛んだ結論です。薬物だけに、飛ぶことにしたのでしょうか、くすりとさせようと考えたのでしょうか。そういえば、とぶくすりにも出ていた元お笑い芸人について、日刊ゲンダイのウェブサイトにおととい出た記事、またまた醜聞発覚…「極楽とんぼ」山本圭一の復帰は絶望的が取りあげていました。反省を演出しながらこりないところもそうですが、イネイブラーがついていそうなことにもあきれました。せめて、性犯罪から薬物累犯へはまった田代まさしのようにはならないことを、願いたいと思います。

他者追随派と「山形ではリンゴとは言わない」

きょう、ZDNet Japanに、消費者の価値観--他人の目が気になり、周囲にあわせる「他者追随派」が最多という記事が出ました。「心理学に基づいて設計されたアンケートで、2月に日本全国を対象に調査した。」結果の紹介です。

以前に、上司のまねをする心理の記事を書きましたが、消費者行動でも、つい追随してしまう心理がわかる人も多いと思います。そして、この記事自体も、ある意味で追随的です。「アビームコンサルティングは8月12日、消費者の深層心理にある価値観に着目し、価値観ごとの消費の意識と実態に関する調査「価値観別消費実態調査 2014」を実施した。」と書き出されますが、そのアビームコンサルティングによるきのうのプレスリリース、消費者の26%の価値観は他者追随派 アビーム、日本国民の価値観分布、それぞれの生活意識・実態を調査 ~「価値観別消費実態調査 2014」~を見ると、ZDNetのものは、独自にコメントを足すようなひと手間もかけない、ほぼリライトであることがわかります。図は、そのままの縮小で文字が読みにくくされており、劣化コピーといわざるをえません。

本文はどうでしょうか。少なくとも、最後にあるディレクターの考察は、劣化のような感じを受けさせます。以前に『月刊ケアマネジメント』の校正の記事で取りあげたように、発言に手を入れたほうがよさそうな場合もありますが、ZDNetは、プレスリリースにある発言の中ほどをコピペで切りだして、読点をひとつ足しただけです。ですが、まるで別人のように、冷たく無愛想な印象になってしまいました。実践国語研究 2014年1月号(明治図書出版)にあった、小川雅子が山形で言われたという無愛想なことば、「山形ではリンゴとは言わない。ふじ、ジョナゴールド、王林などと言う。」を思い出しました。

「ちょい悪なプロジェクト」での創造性向上

きょう、ライフハッカー日本版に、ズルをすると創造的になれるかもしれない:研究結果という記事が出ました。

創造性の研究は、心理学では古くからありますが、創造性だけに、近年でもユニークな着想からの検討が続く分野です。第11回日本認知心理学会優秀発表賞の新規性評価部門を受賞したのは、もげるほどに回して思いついた研究かもしれません。

「ちょい悪なプロジェクト」がうたがわれた人物が、ユニークな対応に走って世間をおどろかすことは、よく起こります。きょうは、前の東京都知事が公選法違反で立件される見こみとなったと、報道各社が報じました。堂々とした借用書、かばんのコントなど、いろいろありましたが、ここまででしょうか。あるいは、小保方騒動です。かっぽう着にピンクの部屋で世間にデビューしたのも斬新でしたが、博士論文は下書き、画像切りはりは悪いと思わなかった、などの臨機応変の切りかえしも、並ではありません。きょうは、「STAP細胞」から作られたものの遺伝子が、実験に使われなかったはずの系統のマウスのものだったと、報道各社が報じました。もし、この解析結果と「STAP細胞」とが本物ならば、万能細胞どころではなく、ルイセンコもかなわないほどの、遺伝学の根本をゆるがす創造になるはずですが、どう解釈するのでしょうか。カンメラーの道だけは、誰でも想像がつく、ユニークとはいえないものですので、どうか選ばずにいてほしいと思います。