生駒 忍

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他者追随派と「山形ではリンゴとは言わない」

きょう、ZDNet Japanに、消費者の価値観--他人の目が気になり、周囲にあわせる「他者追随派」が最多という記事が出ました。「心理学に基づいて設計されたアンケートで、2月に日本全国を対象に調査した。」結果の紹介です。

以前に、上司のまねをする心理の記事を書きましたが、消費者行動でも、つい追随してしまう心理がわかる人も多いと思います。そして、この記事自体も、ある意味で追随的です。「アビームコンサルティングは8月12日、消費者の深層心理にある価値観に着目し、価値観ごとの消費の意識と実態に関する調査「価値観別消費実態調査 2014」を実施した。」と書き出されますが、そのアビームコンサルティングによるきのうのプレスリリース、消費者の26%の価値観は他者追随派 アビーム、日本国民の価値観分布、それぞれの生活意識・実態を調査 ~「価値観別消費実態調査 2014」~を見ると、ZDNetのものは、独自にコメントを足すようなひと手間もかけない、ほぼリライトであることがわかります。図は、そのままの縮小で文字が読みにくくされており、劣化コピーといわざるをえません。

本文はどうでしょうか。少なくとも、最後にあるディレクターの考察は、劣化のような感じを受けさせます。以前に『月刊ケアマネジメント』の校正の記事で取りあげたように、発言に手を入れたほうがよさそうな場合もありますが、ZDNetは、プレスリリースにある発言の中ほどをコピペで切りだして、読点をひとつ足しただけです。ですが、まるで別人のように、冷たく無愛想な印象になってしまいました。実践国語研究 2014年1月号(明治図書出版)にあった、小川雅子が山形で言われたという無愛想なことば、「山形ではリンゴとは言わない。ふじ、ジョナゴールド、王林などと言う。」を思い出しました。