きのうの記事で、月刊ケアマネジメントについて、いつも校正が甘いというようなことを書きました。この雑誌は、各号の特集の冒頭2ページをPDFで公開していますので、そこを取りあげて、実例をならべてみることにします。
最新号、2013年6月号から見ていきます。特集は「使ってみよう 定期巡回・随時対応サービス」、PDFはこちらです。架空と思われる対談の当事者、オシャベ・リンダを紹介する丸がこみの中に、「ケアマネジャー暦」と誤字があります。また、対談相手の名前は「マジメダ・ゾウスケ」という設定なのですが、それを「マジメダ・ゾウ」に、少しだけ縮めてしまっています。Daniel SchacterをDan Schacterと呼ぶような、親しさの出る表現のつもりなのでしょうか。
2013年5月号、特集は「最新! イチから学ぶ障害福祉制度」で、PDFはこちらです。障害者総合支援法について、「施行は今年・来年の二段階。」「施行は今年4月と来年4月の2段階で実施されます。」という数字表記のゆれがあります。そして、「施行のスケジュール」という表に、きのうの記事で触れた、2万年以上先という気の遠くなるミスがあります。
2013年4月号、特集は「若葉マークのケアマネさんへ 押さえておきたい法令集」で、PDFはこちらです。かこみの中に「ここを読め!」というかこみがあり、「厚生省令第37号第24条の2」というものが提示されていますが、このとおりに覚えてはいけません。まず、省令の法令番号は、年が替わるとまた1から始まるものですので、「厚生省令第37号」という呼び方では、一意に定まりません。11年厚生省令37号、つまり指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準のほかに、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律施行規則、厚生年金保険法施行規則、そして死体解剖保存法施行規則、すべて37号の厚生省令です。さらに、11年のものだとしても、そこに「第24条の2」は存在しません。引用内容からすると、24条2項を指したかったのだと思われます。
2013年3月号、特集は「できるが広がる! リハビリの視点に学ぶ」で、PDFはこちらです。匿名の作業療法士の発言の中に、「そういう成功体験がケアマネ自身にもないのではないのではないでしょうか」とあり、本人が話したとおりに起こしたのかもしれませんが、手を入れたほうがよかったように思います。
2013年2月号、特集は「もしかして栄養失調?」で、PDFはこちらです。nが落ちて、"PEM (Protein-Energy Malutrition)"となっています。また、介護予防のための基本チェックリストに血清アルブミン値の基準が入っているように書かれていますが、本文中に「血液検査で分かる」とあるように、チェックリストには入るはずのない項目です。地域支援事業の実施についての別添2を見れば、ないことが確認できますし、別添3を見れば、この誤りの原因が見えます。BMIの定義式が、その表でも本文でも「体重(kg)÷身長(m)の二乗」と書かれていて、2乗するタイミングを誤解しやすい書き方なのも気になりますし、「家でカップ麺やお菓子ばかりを食べていた、と、在宅の低栄養状態って意外と見過ごされているようです。」というわかりにくい表現も、見すごされているようです。
2013年1月号、特集は「今年こそ“発表”デビュー!」で、PDFはこちらです。大川絵理・宮田雅子の研究発表に関して、「オムツやパットに出す回数を減らし」とありますが、よくある誤記で、「パッド」のことでしょう。日本語版ウィキペディアでパットを見ると、ゴルフのパットの単独記事ではないのですが、そこには「パッドの誤り」ともあります。また、都丸昭唯・宇津木忠の研究発表に関して、「抄録集の作成は宇津木さんが担当」とありますが、大会運営側ではなく単なる発表者でしょうから、抄録集を作るはずはなく、抄録集にのせる自分たちの原稿しか作っていないと思います。PDFの最後には、都丸の「発表の経験を与えてくださった職場や、仲間に感謝しています。」という発言がありますが、発表の機会を与える、発表の経験を積むといった表現はありますが、発表の経験を与えるという表現はなじみがありません。これも、本人が話したとおりに起こしたのかもしれませんが、手を入れたほうがよかったように思います。