出題解説

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問106 BBS会の起源と運営

BBS会は、更生保護をささえる青年ボランティア団体です。全国に約500ある地区BBS会のほか、大学のサークルとして活動しているものもあります。日本BBS連盟が、最上位の組織として全国の活動を統括しています。

1、BBS運動のはじまりは、1947年の京都少年保護学生連盟の結成だとされます。1950年には、保護司法の成立にともない、保護司の全国団体である全国保護司連盟が結成されました。

2が正解です。兄や姉のようにささえたいという思いから名づけられました。日本BBS連盟の英語名は、Big Brothers and Sisters Movement of Japanとなります。ネット掲示板とも、BOOM BOOM SATELLITESとも無関係です。

3、自立更生促進センターを運営するのは国で、法務省保護局に属します。現在、福島と北九州とにあります。

4、BBS会には自治体等の補助金が入っていますが、資金は潤沢でなくても、破産してはいません。補助金不正でつまずき、2007年に破産したのは、全国精神障害者家族会連合会です。かつてマスコミにも影響力のあった全家連ですが、マスコミに不正を暴かれて、つぶれたのでした。

問107 少年鑑別所と保護観察所

非行少年の処遇の図示は、犯罪白書にあるものが有名で、平成26年版(日経印刷)では30ページに載りました。設問では、家庭裁判所から先を、見やすく整理してみました。

1、家庭裁判所は刑罰を科すことができませんので、刑務所に行くことはありません。

2、少年鑑別所は、審判のための鑑別にかかわりますが、更生の場ではありませんので、審判後に送られるという意味不明な展開はありえません。飛ぶように売れた週刊新潮 2015年3月12日号(新潮社)の、最も注目された記事は、「鑑別所でも更生しなかった「18歳主犯」の身上報告」と題して、もうこの時点で、更生保護への無理解を露呈していました。

3が正解です。問106解説で取りあげたBBS会や保護司もかかわる場所です。

4、わが国には反革命分子を懲罰する制度も理由もありません。

問108 認知加齢への観点と介護認定

1が正解です。この3者は相互に独立ではありませんが、認知加齢のさまざまなあらわれを還元的に理解する上で、有用な観点を提供します。

2、調査項目の第3群は「認知機能」そのものですし、第4群の「精神・行動障害」、第5群の「社会生活への適応」にも、認知加齢が反映される項目があります。各項目の詳細は、厚労省のサイトの要介護認定から、認定調査員テキスト2009改訂版を参照してください。

3、そんなことでほぼ予防できるのでしたら、日本では認知加齢がもっとめずらしいはずです。

4、結晶性知能は、20代ですでに下降へと転じる流動性知能とは対照的に、ゆるやかに長く伸びていきますが、老年期には頭打ちになるとされますし、年齢に比例してという伸び方は、常識的にありえません。

問109 離脱理論と活動理論

エイジングの理論については、ここで取りあげた離脱理論と活動理論とが、古典的な対照としてよく言及されますが、遅れて現れたサクセスフル・エイジングやプロダクティブ・エイジングなどの考え方も、合わせて整理しておきましょう。

1が正解です。加齢による心身のおとろえは防ぎきれませんので、無理を生じる前に整理していくことが望ましいとします。

2、離脱理論は脱施設のうごきの足場ではありません。むしろ、老いたらそれまでの社会関係からきちんと引くという点では、施設福祉への親和性が高いという見方もできるでしょう。

3、エイジングの理論である活動理論は、1970年代に展開されて、離脱理論との論争が起こりました。一方で、心理学で活動理論と呼ばれる考え方には、Vygotsky, L.S.以来のソヴィエト心理学のものもあり、相互に結びつきはありません。後者の本質を正統につぐEngeström, Y.は、拡張による学習 活動理論からのアプローチ(新曜社)を著しました。

4、エイジングの活動理論は、そのようなマクロな骨組みでつくられてはいません。

問110 エリクソンの老年期の発達課題

1、これは初期成人期の課題です。

2、これは幼児後期の課題です。

3、これは成人期の課題です。

4が正解です。なお、一般にはこの理論は、8段階からなる構造とされ、最後がこれとなりますが、Erikson, E.H.は晩年に、この先に第9段階をつけ足す提案をしています。