出題解説

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問83 オグバーンの家族機能縮小論

Ogburn, W.F.は、かつて家族が持っていたさまざまな機能は、産業化、近代化によって、家族からはなれていったと論じました。しかし、この家族機能縮小論は、家族のあらゆる機能がそうなったわけではなく、愛情は家族の主機能とされ、強く残りつづけているとします。

1が正解です。これらのほか、地位付与と保護とが、縮小していった家族機能とされます。

234はいずれも、愛情が含まれています。

問84 システム論的家族療法と脚本分析

1、これは無関係です。複数記憶システム論は、潜在-顕在の記憶区分論を発展させて、エピソード記憶、意味記憶、知覚表象システム(PRS)、手続き記憶の4層からなる記憶システムを想定するものです。一方、家族療法のシステム論は、Bertalanffy, L.v.による一般システム論の援用です。

2が正解です。特定の誰かが悪いという発想をせずに、家族システム全体を介入対象とします。

3、これは多世代派家族療法でとられる考え方です。ジェノグラムについては、Hartman, A.によるエコマップとの、つくりや使いみちのちがいもおさえておきましょう。

4、これはBerne, E.の交流分析にみられる、脚本分析の考え方です。親の問題に由来して意識されず幼少期に得られた禁止令と、そのために拮抗禁止令で行動する人生脚本の図式は、「おぼれる人の図」がわかりやすいでしょう。日本語で見られるものとして、交流分析事典(実務教育出版)の図6があります。

問85 統合失調症と家族の感情表出

1、てんかん性脳症は、幼少時からのてんかん症状により脳機能の障害が進行する、予後不良の疾患です。なお、統合失調症とてんかんとには、躁うつ病を加えて古くから三大精神病とされてきたことのほか、てんかんにともなう精神病的な症状に対する統合失調症との誤診、統合失調症の治療への抗てんかん薬の補助的な併用、てんかんと統合失調症とは併存しないという珍説がきっかけとなった電気けいれん療法の着想など、さまざまなかたちでの関連はあります。

2、共感的羞恥は、他者が恥ずかしい行動をしたり、恥ずかしがったりしているのを見た側に起こる羞恥感情です。

3、実存的空虚は、自分が生きること、あることへのむなしさ、自己の存在の意味が感じられないことです。夜と霧(みすず書房)を著したFrankl, V.E.の用語です。

4が正解です。かつて、統合失調症や自閉症には、家族の育て方やかかわり方が原因で起こるという解釈がありましたが、今日では否定されています。一方で、統合失調症が改善、寛解へ向かい、退院して家に戻ったのに再発してしまうパターンにある要因をさぐる中で見いだされたのが、家族の感情表出(EE)です。家族教育によってこの再発因子をおさえることは、三次予防として有効です。

問86 離婚申し立ての動機のかたより

一般に、初婚よりも再婚のほうが、その後に離婚にいたる率は高いとされます。ただし、アメリカなどでは出ていますが、わが国の政府統計では、婚姻の時点と異なり、離婚に関して両者を分けた統計はありません。それでも、裁判所による司法統計の家事事件編で、年齢や婚姻期間、別居期間などとの対応を見ることはできます。申し立ての動機に関しては、平成25年度では第19表にまとめられています。

正解は1となります。全体的な件数のかたより、特に「暴力を振るう」での極端なかたよりと、「同居に応じない」でのその反転に注目すると、どちらが夫でどちらが妻か、見わけがつきやすいでしょう。また、初婚-再婚だとすると、これらのパターンにはうまくなじまないことも想像できると思います。

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