1、催眠と睡眠とは、訳語だけでなく原語でもまぎらわしいのですが、まったく別の状態です。催眠下でも意識は明らかにありますし、脳波でも区別がつきます。
2、催眠下で「想起」されたものはむしろ真実性に問題があり、訴訟の証拠としては不適切です。アメリカでは一時期、催眠下で取りだされたと主張する虐待の「記憶」を持ちだした訴訟が横行しましたが、激しいあらそいの後、そのやり方は認められなくなりました。このあたりをまとめたものとしては、怪しいPTSD 偽りの記憶事件(矢幡洋著、中央公論新社)が読みやすいと思います。
3、催眠下では被暗示性が高まります。それを利用して暗示の効果を上げるのが、催眠療法の基本的なやり方です。
4が正解です。Hull, C.L.は、学習理論の数理的な体系化を行った、新行動主義の中心人物のひとりですが、Hypnosis and Suggestibility: An Experimental Approach(Crown House Publishing)が今も読みつがれるなど、催眠研究でも活躍しました。ほかに、モーズレイ人格検査や治療効果論争、精神分析批判などで知られるEysenck, H.J.も、催眠にも関心を向けた、行動主義的な立場の心理学者として有名です。