出題解説

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問25 催眠と被暗示性の研究者

1、催眠と睡眠とは、訳語だけでなく原語でもまぎらわしいのですが、まったく別の状態です。催眠下でも意識は明らかにありますし、脳波でも区別がつきます。

2、催眠下で「想起」されたものはむしろ真実性に問題があり、訴訟の証拠としては不適切です。アメリカでは一時期、催眠下で取りだされたと主張する虐待の「記憶」を持ちだした訴訟が横行しましたが、激しいあらそいの後、そのやり方は認められなくなりました。このあたりをまとめたものとしては、怪しいPTSD 偽りの記憶事件(矢幡洋著、中央公論新社)が読みやすいと思います。

3、催眠下では被暗示性が高まります。それを利用して暗示の効果を上げるのが、催眠療法の基本的なやり方です。

4が正解です。Hull, C.L.は、学習理論の数理的な体系化を行った、新行動主義の中心人物のひとりですが、Hypnosis and Suggestibility: An Experimental Approach(Crown House Publishing)が今も読みつがれるなど、催眠研究でも活躍しました。ほかに、モーズレイ人格検査や治療効果論争、精神分析批判などで知られるEysenck, H.J.も、催眠にも関心を向けた、行動主義的な立場の心理学者として有名です。

問26 筋萎縮性側索硬化症と意識

1、てんかん発作の際に、ゆさぶりや大声などを加えることは、かえって有害、危険です。安全や呼吸の確保に徹してください。

2、昏迷の間は、ある体勢のままで固まったように動かない状態が続き、もちろん発話も起こりません。

3が正解です。ALSでは、運動ニューロンのみが選択的に障害されます。意識には何ら影響がなく、「車いすの天才物理学者」Hawking, S.のように、人類の知の最先端に立つことさえも可能です。

4、寝言への会話が原因で、脳死を含む死にいたった例は見つかっていません。もし見つけたら、学会で発表してください。ちなみに、しゃっくり百万べんも、同様です。

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