出題解説

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問104 刑法犯少年の人数と内訳

わが国の犯罪関係の資料としては、法務省のもの、特に犯罪白書がよく知られていますが、警察白書など、警察庁によるものもあります。「凶悪犯」など、両者の間で定義の異なる用語もありますので、気をつけてください。非行に関しては、処罰対象になる犯罪は多くないこともあり、警察庁のほうの資料が主にあつかっています。

 平成25年中における少年の補導及び保護の概況 - 警察庁

1、総数は半減どころか、4割近くまで減りましたので、人口比で考えても、減少は明らかです。

2が正解です。そして、そのおよそ半分が、万引きです。

3、全体の傾向ほどではありませんが、初発型非行も減少しています。また、初発型非行は、非行の道のはじまりで、万引きなど軽微な事犯ですが、「いきなり型非行」は、殺人のような重大犯罪を、非行の方向への徴候がみられなかった少年が行うものを指します。

4、大麻は男子が大半を占め、覚醒剤は女子に多いという性差があります。ちなみに、シンナー等の乱用は男女が半々程度ですが、近年は件数自体が激減しました。

問105 非行を抑止する社会的絆

Hirshi, T.は、非行の統制理論の重要な著作である、非行の原因(文化書房博文社)を著しました。性悪説的な立場から、一部の少年を悪に走らせる要因ではなく、多くの少年を実際には悪に走らないようにさせる要因を見いだしました。それが、4種の社会的な絆が非行を抑止するという、絆理論です。

1が正解です。よい愛着があるほど、悪に走ればそれを失う損失は大きいので、抑止力になります。

2、コミットメントは、「投資」と意訳されることもあり、よい将来につながる努力の積みあげです。街をきれいにして犯罪をしにくくするのは、環境犯罪学の割れ窓理論の考え方です。

3、巻き込みは、カタカナでインボルブメントとも書かれ、社会的に好ましい諸活動に時間を費やすことです。ひまがなければ、悪事に手が出てしまう機会も生じません。

4、規範信念は、非行は悪、してはいけないという内面化された意識です。

問106 BBS会の起源と運営

BBS会は、更生保護をささえる青年ボランティア団体です。全国に約500ある地区BBS会のほか、大学のサークルとして活動しているものもあります。日本BBS連盟が、最上位の組織として全国の活動を統括しています。

1、BBS運動のはじまりは、1947年の京都少年保護学生連盟の結成だとされます。1950年には、保護司法の成立にともない、保護司の全国団体である全国保護司連盟が結成されました。

2が正解です。兄や姉のようにささえたいという思いから名づけられました。日本BBS連盟の英語名は、Big Brothers and Sisters Movement of Japanとなります。ネット掲示板とも、BOOM BOOM SATELLITESとも無関係です。

3、自立更生促進センターを運営するのは国で、法務省保護局に属します。現在、福島と北九州とにあります。

4、BBS会には自治体等の補助金が入っていますが、資金は潤沢でなくても、破産してはいません。補助金不正でつまずき、2007年に破産したのは、全国精神障害者家族会連合会です。かつてマスコミにも影響力のあった全家連ですが、マスコミに不正を暴かれて、つぶれたのでした。

問107 少年鑑別所と保護観察所

非行少年の処遇の図示は、犯罪白書にあるものが有名で、平成26年版(日経印刷)では30ページに載りました。設問では、家庭裁判所から先を、見やすく整理してみました。

1、家庭裁判所は刑罰を科すことができませんので、刑務所に行くことはありません。

2、少年鑑別所は、審判のための鑑別にかかわりますが、更生の場ではありませんので、審判後に送られるという意味不明な展開はありえません。飛ぶように売れた週刊新潮 2015年3月12日号(新潮社)の、最も注目された記事は、「鑑別所でも更生しなかった「18歳主犯」の身上報告」と題して、もうこの時点で、更生保護への無理解を露呈していました。

3が正解です。問106解説で取りあげたBBS会や保護司もかかわる場所です。

4、わが国には反革命分子を懲罰する制度も理由もありません。

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