出題解説

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問108 認知加齢への観点と介護認定

1が正解です。この3者は相互に独立ではありませんが、認知加齢のさまざまなあらわれを還元的に理解する上で、有用な観点を提供します。

2、調査項目の第3群は「認知機能」そのものですし、第4群の「精神・行動障害」、第5群の「社会生活への適応」にも、認知加齢が反映される項目があります。各項目の詳細は、厚労省のサイトの要介護認定から、認定調査員テキスト2009改訂版を参照してください。

3、そんなことでほぼ予防できるのでしたら、日本では認知加齢がもっとめずらしいはずです。

4、結晶性知能は、20代ですでに下降へと転じる流動性知能とは対照的に、ゆるやかに長く伸びていきますが、老年期には頭打ちになるとされますし、年齢に比例してという伸び方は、常識的にありえません。

問109 離脱理論と活動理論

エイジングの理論については、ここで取りあげた離脱理論と活動理論とが、古典的な対照としてよく言及されますが、遅れて現れたサクセスフル・エイジングやプロダクティブ・エイジングなどの考え方も、合わせて整理しておきましょう。

1が正解です。加齢による心身のおとろえは防ぎきれませんので、無理を生じる前に整理していくことが望ましいとします。

2、離脱理論は脱施設のうごきの足場ではありません。むしろ、老いたらそれまでの社会関係からきちんと引くという点では、施設福祉への親和性が高いという見方もできるでしょう。

3、エイジングの理論である活動理論は、1970年代に展開されて、離脱理論との論争が起こりました。一方で、心理学で活動理論と呼ばれる考え方には、Vygotsky, L.S.以来のソヴィエト心理学のものもあり、相互に結びつきはありません。後者の本質を正統につぐEngeström, Y.は、拡張による学習 活動理論からのアプローチ(新曜社)を著しました。

4、エイジングの活動理論は、そのようなマクロな骨組みでつくられてはいません。

問110 エリクソンの老年期の発達課題

1、これは初期成人期の課題です。

2、これは幼児後期の課題です。

3、これは成人期の課題です。

4が正解です。なお、一般にはこの理論は、8段階からなる構造とされ、最後がこれとなりますが、Erikson, E.H.は晩年に、この先に第9段階をつけ足す提案をしています。

問111 記憶のレミニッセンス・バンプ

1、いずれも若年者で発見された記憶現象です。最後にある、反復学習における逆説的下降は、高齢者での知見はまだないはずと思いますが、すでに検証された方はいますでしょうか。あるいは、関心のある方は、これから取りくんでみてください。

2が正解です。レミニッセンス・バンプと呼ばれます。

3、顕在記憶は加齢の影響を受けやすく、一方で潜在記憶は比較的頑健です。

4、回想法では、長期記憶、特に幼い、ないしは若いころのエピソード記憶の想起をうながします。いわゆる「脳トレ」のようなものではありません。

問112 ライチャードの5類型

1、円熟型は、最も前向きで、適応的なタイプです。

2、装甲型は、現役のようにあり続けることで、老いの現実から身を守ります。問109解説で取りあげた、活動理論に類似します。

3、安楽椅子型は、悠々自適の老後というイメージです。

4が正解です。自己嫌悪型は、自責型、あるいは内罰型という意訳でも呼ばれ、自分の人生への否定的な思いにとらわれ、それによって抑うつ的になりがちです。敵意型とともに、不適応的なタイプとされます。

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