出題解説

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問54 トランスセオレティカルモデル

トランスセオレティカルモデル(TTM)は、Prochaska, J.O.らによって、禁煙支援の研究から体系化された、ヘルスプロモーションのための行動変容モデルです。「行動変容ステージモデル」と呼んで紹介したものを挙げておきます。

 行動変容ステージモデル - eヘルスネット

1が正解です。形成された健康行動が、ドロップアウトやスリップを起こすことなく、永続的な習慣となっていく段階です。

2は2番目です。上記のサイトでは、「関心期」と訳されています。

3は3番目です。熟考期と順番を逆に誤解されやすいですが、この準備は、健康のために具体的な行動を起こす考えが強まってからのものです。

4は4番目です。これが半年持続すると、維持期へと移行することになります。

問55 プリシード-プロシードモデル

プリシード-プロシードは、親しみにくい名前ですが、PRECEDE、PROCEEDともアクロニムであると同時に、介入実施前に進めていくprecedeと介入後の進行であるproceedとの意味を乗せてあります。Green, L.W.が体系化したプリシードモデルに、介入以降の展開を発展させたものです。MIDORIモデルという和名があり、考案者の名前を意識したアクロニムでもありますが、定着していません。

1、これはトランスセオレティカルモデルの説明です。このモデルについては、問54解説を参照してください。

2、プリシード-プロシードモデルは健康教育のモデルですので、変化を起こすためのものです。なお、弁証法的行動療法(DBT)は、Linehan, M.M.が体系化した、境界性パーソナリティ障害の治療に有効な認知行動療法です。変化と受容という正反で改善をもたらす点が、弁証法的と呼ばれる理由です。

3が正解です。介入へ向けてのプリシードの過程は、社会診断から始まります。なお、プリシードは4段階で表現される場合と、5段階の場合とがありますが、これは疫学診断と行動・環境診断とを、ひとまとめで社会診断の次に置く改訂版か、分けてそれぞれ第2・第3段階とした原版かによります。

4、介入効果の評価は、モデルの後半、プロシードの過程で行われます。

問56 ロジャーズの予防動機づけ理論

健康行動に関するモデルには、いろいろなものがあります。名前から内容がイメージしにくいものも多いですし、そこに提唱者も対応させるのは、意外に覚えにくいところですので、気をつけてください。

1、TTMはProchaska, J.O.らが提唱したものです。Ajzen, I.は、計画的行動理論の提唱を主導しました。

2、健康信念モデルはBecker, M.H.とMainman, L.A.が提唱したものです。Green, L.W.は健康教育のプリシードモデルを提唱し、これがプリシード-プロシードモデルへと発展しました。

3、計画的行動理論はAjzen, I.らが提唱したものです。Prochaska, J.O.は、TTMを提唱しました。

4が正解です。Rogers, R.W.は、健康への脅威の評価と対処行動の評価とが予防行動を動機づけるという、予防動機づけ理論を提唱しました。なお、クライエント中心療法やエンカウンターグループを考案したRogers, C.R.や、イノベーションの普及(翔泳社)を著しイノベーター理論を提唱したRogers, E.M.とは別人です。

問57 七つの健康生活習慣と食行動

アラメダ郡調査は、健康に関するさまざまな知見をみちびいた縦断研究です。Breslow, L.は、その結果から、健康長寿にかかわる7種の生活習慣を見いだしました。自身もこれを意識した健康な生活を送ったとされ、従軍や離婚など、ストレスフルなライフイベントも体験しつつ、97歳まで生きました。なお、数がたまたま一致するものの、七大生活習慣病と対応するわけではありません。

1、過重な残業の害は明らかですが、7習慣には含まれません。なお、わが国には、長時間残業者に対して、労働安全衛生法66条の8によって医師の面接指導を受けさせる制度があります。

2が正解です。朝食はきちんと食べて、間食はしないのが、健康長寿によいのです。

3、テレビの長時間視聴の害は明らかですが、7習慣には含まれません。なお、害に関して、日本語で読みやすいものとして、日本生活習慣病予防協会のサイトから、テレビの長時間視聴は体に悪い 視聴時間6時間超で余命5年短縮を挙げておきます。

4、7習慣に含まれませんし、ポジティブな自己提示は、むしろ健康を促進することが考えられるでしょう。

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