出題解説

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問6 タイプA行動パターンの特徴

タイプAは、Friedman, M.とRosenman, R.H.によって、虚血性心疾患と関連する行動パターンとして報告されました。ただし、有効な介入研究の報告もある一方で、関連に否定的な知見や、タイプA自体よりもそこに含まれる敵意性が本質だとする指摘など、議論もあります。わが国では、がん研のJPHC Studyの一環、タイプA行動パターンと虚血性心疾患発症リスクとの関連で、言われているような虚血性心疾患との対応は認められないという知見が出ています。

1が正解です。典型的なタイプAでしょう。

2は、タイプAの対極におかれた、タイプBの方向です。

3は、後に提唱されたタイプCの特徴です。問8解説も参照してください。

4はタイプAではなく、YG性格検査のA型の特徴です。目だった特徴がないのが特徴で、こちらのAはaverageの頭文字です。

問7 パーソナリティ障害と自傷

DSM-5は、多軸診断を廃止しましたので、第2軸にあったパーソナリティ障害も、ほかの精神障害と並列されることになりましたが、特定不能(NOS)を含む11種類が、ほぼ同様に引きつがれました。

1が正解です。診断基準にも、自傷行為自体や、自殺企図、自己にダメージを与えかねない危険な行動が挙げられています。クラスターBに属し、自傷で注意をひくなど、疾病利得的な側面もあり、周囲を振りまわして疲弊させます。

234は、いずれもクラスターCに属します。それぞれ独特の不安にとらわれるパーソナリティ障害ですが、1ほどに自傷が目だつことはありません。

問8 タイプCとメラノーマ

Temoshok, L.が提唱したタイプCは、タイプA-タイプBに合わせてタイプC行動パターンとも、ストレス対処の特徴と免疫系との関連に本質があるとみて、タイプC対処パターンとも呼ばれます。

1は、タイプAと関連するとされました。ただし、問6解説で取りあげたように、議論があります。

2、う歯と不安との関連の指摘はありますが、タイプCの提唱とは無関係です。

3は、心身症としての特徴を持ちやすい疾患ですが、タイプCの提唱とは無関係です。

4が正解です。タイプCは、メラノーマ患者の調査から浮かびあがり、がんと関連するパーソナリティとして知られるようになりました。Cは、cancerの頭文字でもあります。また、近年では、タイプCとAIDSの進行との関連も指摘され、免疫系との結びつきが考えられています。ちなみに、わが国では2014(平成26)年に承認されたニボルマブ(オプジーボ®)は、T細胞を活性化させてメラノーマの治療をはかるものです。

問9 クレッチマーの『体格と性格』

Kretschmer, E.はドイツの精神医学者で、『体格と性格』を著し、気質と体型、精神疾患との対応を論じました。

1は、名前からわかるように、今日でいう統合失調症と関連づけられた気質で、体型としては細長型が対応します。

2が正解です。躁うつ病と関連づけられました。

3は、てんかんと関連づけられた気質で、体型としては闘士型が対応します。

4は、Kretschmer, E.の理論にはありません。なお、心理学の用語では、気質は「きしつ」と読みます。

問10 味覚の分類と特性

1、味覚と嗅覚とは、化学物質の検出に特化した感覚として、化学的感覚に分類されます。触覚や痛覚などの皮膚感覚は、それとは別です。

2が正解で、舌の上に色で塗りわけたり、点線を引いて区切ったりした味覚地図説は、すでに科学的には否定されています。位置によって多少の閾値のちがいはあっても、あの「地図」のように分かれて分布してはいません。ただし、一次味覚野内での味ごとの神経反応の分布を示したものを「味覚地図」と呼ぶことがあり、こちらは実在します。基礎歯科生理学 第6版(医歯薬出版)の図14-12で、2種類を見ることができます。

3、基本5原味に渋味はなく、そのかわりにうまみが入ります。4原味説でも、渋味は入りません。なお、最近、第6の味として、油脂に対応するオレオグストゥスが提案されています。Chemical Sensesの論文、Oleogustus: The Unique Taste of Fatですが、いかがでしょうか。

4、味覚は発達早期から機能しはじめ、新生児でもある程度の味覚の弁別ができます。もちろん、経験をとおして発達する側面もあります。