生駒 忍

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父子間での「完全に一致」となやみ共有の意味

きょう、mamatennaに、疲れが吹っ飛ぶ♪ほっこり育児あるある7選!という記事が出ました。

内容は、「ネットでみつけた、育児あるあるを紹介します!」というものです。手ぬきだと思った人も多いと思いますが、つくる苦労と、結果のすばらしさとが対応するとはかぎりません。福田裕彦のきのうのツイート、だいたい「今の日本映画はつまらない」とか「神目線」言う人間は、への反応を見てください。

「最近はSNSに写真を投稿する人も多く見られますが、パパと子どもの寝相がまったく同じという姿に癒されるママは多いのだとか。」とあります。夫の寝姿が、「完全に一致」などと書かれて投稿されているのでしょうか。意外なところで似るのは、偶然の一致にすぎないか、意味あるシンクロニシティを読むところかは、それぞれでしょう。トムとジェリーまちがい探しランド 2012年5月号(白夜書房)にある、山中伸太という人の、主題歌の体験談はどうでしょうか。

「「リモコンがいつの間にか消えている!」という家庭は少なくないようですよ。」、皆さんのところではどうでしょうか。日刊ゲンダイの記事、中野劇団員殺害 捜査線上に浮上した“リモコンフェチ”の謎のようなこともありますので、気をつけてください。

「「ベランダで洗濯物を干していたら鍵を閉められた」「うっかりおむつを洗濯機に…」など、悲しいあるあるがチラホラ…。」とあります。UDやDfAの負の側面というと大げさかもしれませんが、皆さんのところでは、ベランダなどのかぎは、子どもにもあつかいやすいものになっていますでしょうか。スポーツ報知のウェブサイトにきょう出た記事、大阪小1女児転落死、空飛ぶシーンのアニメが影響?のようなこともありますので、気をつけてください。一方で、週刊現代 4月16日号(講談社)には、埼玉失踪少女保護事件に関して、「捜査関係者が言う。」として、「被害少女は『外から鍵が掛けられていた』と話しているが、いまのところはっきりした痕跡は見つかっておらず、手錠やロープなどで拘束していた様子もない。」という指摘があります。

「ママ友やパパと、悩みやその日あった子どものかわいいと思うことなどを共有するだけで、気分が軽くなるかもしれません。」と締めます。心理学的にも、意味のあることです。むしろ、日常的なこと、軽いものごとのほうが、共有しやすいかもしれません。ふと、世界最高のクラシック(許光俊著、光文社)にある、Jean Sibelius: Symphonies Nos. 4&6で聴けるケーゲルのあの名演は、他人にすすめるとなると躊躇するというお話を思い出しました。それでよいと思います。

エビングハウスの忘却曲線の別種と反転授業

きょう、It Mamaに、習わせるだけじゃダメ!子どもの「英語力を高める」ために知っておくべき5ステップという記事が出ました。「幼児・小学生向け英会話教室の講師経験をもつ筆者が、“幼児期の子どもに英語を学ばせるために知っておきたい5つのポイント”をご紹介」するものです。

「■1:覚えるのではなく、「習慣」を身につけよう」では、「ドイツの心理学者エビングハウスが記憶と忘却の関連性について研究し、作成した『エビングハウスの忘却曲線』によると、“学習後に全く復習をしなかった場合”、1週間後には約80%ものことを忘れてしまいます。」とあります。「記憶と忘却の関連性」と書かれ、それならきれいな負の相関が出ることが自明だと思ったところに、有名な曲線の名前が出てきて、ですがこれは、有名なものとは別のようです。再学習法の解釈はともかくとしても、記憶について 実験心理学への貢献(H. エビングハウス著、誠信書房)のおなじみのものでしたら、1週間ではなく6日後に25.4%、31日後に21.1%に落ちますので、7日後を内挿で求めて四捨五入をしても、20%にはなりにくそうです。それでも、Essentials of Educational Psychology(S.K. Mangal著、PHI Learning)の277ページにEbbinghaus's curve of forgettingとして登場する、いったんは20%さえ下まわってから、やや回復して31日目をむかえるような曲線でしたら、ありうることではあります。

「■2:毎日の生活に「英語を見る」習慣を」では、「英語を“見る”機会を増やしてあげましょう。」とあります。より身近にたくさん売られているもので、しかも英語を「身につける」という意味で、衣服もありでしょう。Webマーケッタータツヤにきょう出た記事、【心理学検定挑戦日記】心理学検定の概要や挑戦することを決意した理由。で言うところの、ファッションから入る効果である「ジンバルド」にも近いかもしれません。それでも、何が書かれているかには、気をつけてください。Walyouの記事、10 T-Shirts That Kids Shouldn't Be Wearingは、とても刺激的です。レコードチャイナにきょう出た記事、ステージ衣装に「売春婦」の文字!韓流ユニットの台湾人アイドル、所属事務所が謝罪―台湾のような事例もあります。一方で、平野綾や高橋愛の事務所が謝罪したとは聞かないように思います。「まだ16歳の少女」ではなかったからでしょうか。

「■3:CDを流して英語に触れることを「当たり前」に」では、「大人と違い、子どもは英語を“身体で”覚えます。」とします。この方向でしたら、CDではないのですが、CatChat英会話たいそう Dan★sing★lish DVD(mpi)のような商品もあります。出水麻衣、ラッキィ池田、住友紀人のコラボレーションとみると、おとなも楽しめそうです。

「■4:宿題を一緒に「楽しむ」」では、「宿題が終わったら「すごいね」「こんなにやったんだね」と一緒に軽く復習を。」とあります。会社で寝る人を起こす方法の最後に触れた話題との関係は、どのようになりますでしょうか。

「■5:ママは英語が「できなくてOK」!」では、「“教える自信がないわ”という場合は、子どもを先生役に。」とあります。反転授業のようです。

親が宿題に手を出す理由とディープリンク

きょう、mamatennaに、夏休みの宿題、子どものSOSに応えるべき?という記事が出ました。

「アクトインディが実施した調査によれば、小学生の子どもを持つ親の4%が「夏休みの宿題をほとんど手伝っている」、79%が「手伝うものもある」」という調査結果が話題にされます。くわしくは、いこーよの記事、2014小学生の夏休みの宿題実態調査をご覧ください。なぜ今さらと思ったかもしれませんが、10日前に放送されたネプリーグです。

「しかし一方で、手伝う派にもそれなりの理由があるようで、大半は中学受験に集中させるため、宿題の未提出・遅延によるマイナス評価を子どもが受けないため、といった親心。」だそうです。「毒親」とたたかう女性の記事で触れた「ゲーム」が、ここにもつながります。別冊宝島2333 教師が危ない(宝島社)で、宿題代行業者の代表は、「内容の高度な受験勉強に忙しく、レベルの低い学校の宿題をこなす時間がもったいないという理由での依頼も多い」と明かしています。また、「『賞をとれるような読書感想文を書いてほしい』という依頼」「娘さんは周囲の友達からも優秀だと認識されているので、感想文もそのレベル、つまり入賞レベルに仕上げてくれという依頼」を、「通常の2倍近くの料金で引き受けた」お話も、インパクトがありました。

「ちなみに、アメリカの家族療法専門誌「American Journal of Family Therapy」は研究論文のなかで、子どもの宿題の量が増えると家族のストレスも増すと論じている。」とあります。最近では、43巻に掲載されたHomework and Family Stress: With Consideration of Parents’ Self Confidence, Educational Level, and Cultural Backgroundが近いように思えますが、宿題量とストレスの程度との相関を直接にみている研究ではありません。

「ウチの娘、夏休み残り一週間なのに、凄い余裕。」「夏休みの宿題終わってないのに娘のんき。」、よくあることです。おとなでも、意味なくしてしまうことです。女に惚れさす名言集の、惚れさせ1609 「期日はギリだぜ」の世界です。

無意味にで思い出したのが、TechCrunch Japanにきょう出た記事、ディープリンクに第二のブームが訪れる…ここでもやはりコンテキストがすべてです。はやりのディープリンクの話題を、ひとつ覚えとは言いませんが、「最大の問題は、ユーザがリンク先のアプリをすでに持っていなければディープリンクは無意味であること。」と斬りすててきた人も少なくないと思いますが、この論理が意味を失いつつあるのです。「新しいタイプのディープリンク」、「コンテキスト的ディープリンク(contextual deep-linking)」の登場です。「そこで、Branchのネットワーク上の何千ものアプリの中からランダムに選んで調べてみた。」結果が、とてもあざやかです。どの指標でも、従来のほぼ倍の効果が上がっていたのです。

倍で思い出したのが、産経ニュースにきょう出た記事、45歳容疑者と接点どこに…急展開もナゾ多く 保護者説明会中に逮捕状のニュース流れるです。逮捕されたのは、同じく産経ニュースにきょう出た記事、土地勘、残虐性、暴走型…絞れぬ犯人像、専門家の推測はで、「犯人像について、矢幡氏と碓井教授は「比較的若い人物」で一致する。」とされたイメージの、おそらく倍の年齢でした。絶歌(元少年A著、太田出版)の筆者のときは、専門家はほぼ倍の年齢の犯人像を示していましたが、その逆の方向です。

いじわるする子の親の心理と強い自己顕示欲

きょう、ママスタセレクトに、どうして意地悪しちゃうの?幼稚園で子どもが意地悪する心理という記事が出ました。

「自分の子どもが意地悪をされた場合、とても胸が痛むと思います。ただ逆に「意地悪をしてしまった子」の親も同時に悩みを抱えてしまうのです。」、どちらもつらいことですが、人間として、そうあるべきだと思います。前者は当然ですし、後者の場合、当然の罪悪感だけでなく、「少年A」この子を生んで…… 父と母悔恨の手記(「少年A」の父母著、文藝春秋)の母のほうのように、問題行動のたびになぜかが理解できないことの困惑もあるでしょうし、あるいはその後の、被害者の親との関係が不安になることもあるでしょう。女の子どうしって、ややこしい!(R. シモンズ著、草思社)に、「ときどき、いじめの関係が、当事者の母親のあいだにも生じ、間接的な攻撃と怒りがいっそう激しくなることがある。」とあることにも近いと思います。なお、ここに佐野の連続自殺事件を連想した人もいると思いますが、週刊女性プライムに3週間前に出た記事、栃木・LINEママ友いじめ、母親連続自殺の現場で真相を追うに画像つきであるように、「大がかりな監視員」、町会長などの名義で取材非協力をうながす文書など、地域の力がよくうごいているようです。

「意地悪をしてしまう子どもは「自分を認めて欲しい」「知ってほしい」という自己顕示欲が強いのです。周りが子どもの気持ちを認めてあげる事や受け入れる事が重要になってきます。」とあります。ここ数十年での自己顕示欲の増大については、自撮りをきらう女性の記事で取りあげましたが、こちらは子どもの個人差のことになります。心理学的には、いじわる行動が出ることに、「認めてあげる事や受け入れる事」で反応すると、かえって強化してしまう危険もあります。一方で、愛着の考え方からは、意味のあることにも思えます。思春期の親子関係を取り戻す(G. ニューフェルド・G. マテ著、福村出版)に、「自分では気づいていないが、いじめっ子は大人との愛着の喪失と仲間との貧弱な愛着のために、欲求不満に満ちている。」「いじめっ子は満たされないつながりの渇望を認めることができず、ほとんどの場合、それを意識することもできない。」「いじめっ子を元に戻す唯一の方法は、最初にいじめっ子を作ったダイナミクスを逆転させることで、子どもを適切な愛着の階層に再統合し、それから子どもの防衛を和らげ、愛着の飢餓を満たすことだ。」とあることともつながります。

「誰も自分の子どもを意地悪に育てたいとは思いません。」、そのとおりです。だからこそ、先ほどの「少年A」この子を生んで…… 父と母悔恨の手記の、あまりに正直な母の困惑のようにもなるのです。

ママカーストと暴走するモンスターペアレント

きょう、wifeに、ママカーストに隠された心理とは!?という記事が出ました。

「インドの身分制度として有名なカースト。」と書き出され、「日本でもこの制度になぞらえて、学校でクラス内の格付けをスクールカースト、職歴の優位性を競いキャリアカースト、といったものが登場」と続きます。カースト制度に肯定的であるようにも感じられてしまうのが、少々気になります。同じくwifeに、ママ友の『断舎利』と健全なママ友関係の作り方についてという、仏教をちゃかすようなタイトルの記事を書いたライターとしては、ヒンドゥー的な伝統に関心があるのかもしれません。なお、不可触民とカースト制度の歴史(小谷汪之著、明石書店)のような、書名に採用しつつも、「カースト」という表現の問題を指摘する考え方もありますが、日本の概念をヴァルナ・ジャーティで読みかえるのもいろいろと不自然ですので、これはやむを得ないでしょう。

「中でも有名なのは、ママ同士の間で優劣をつけ合うママカーストです。」、有名であることはそのとおりですが、あの中では、スクールカーストのほうがより早くから知られ、今もより有名だと、私は思います。キャリアカーストよりは有名でしょう。こういう話題だけに、つい上下を考えてしまうことをねらって、こう書いたのかもしれません。

「ママカーストは夫の年収と子供の能力」という節の2事例は、mamatennaの記事、最恐! ママカーストってなんだ?にある、「Rさん・29歳」と「Aさん・34歳」との声を、それぞれリライトしたものと考えられます。そして、リライトの前後とも、少なくとも直接には、夫の年収や子供の能力がカーストを決めたとは言いにくいものです。

「自分自身の能力ではなく付属品での勝負を考えるのは、自分に自信を持てていない証拠」、人格を持った家族を付属「品」とは品がありませんが、よくあることです。格付けしあう女たち(白河桃子著、ポプラ社)は、「しかし女性は「人の人生に乗っかり、格上げする」「リボーン」という夢が残されています。」としつつ、「セレブ妻の取材をした時に感じたのですが、高収入の夫と結婚して、優雅な生活を送っている奥様達の中でも、よりセレブらしく自分を演出し、派手にふるまう人ほど、自信がない人が多かった。」と明かします。

子どもでも同様で、わかりにくい表現ですが、「子供に評価を下し、比較して優位に立つことが、自分の評価のように感じられてしまうのかもしれません。」とあります。音羽幼女殺害事件(佐木隆三著、青春出版社)は、まだ「ママカースト」ということばのない時代の、このあたりの感覚を伝えます。あるいは、いわゆるモンスターペアレントの暴走にも、勝負の品にぼろが出たことが自己評価に直結してしまう、「自己分化」ができていない問題がありそうです。Toggetterにきょう出た記事、【あまりにも酷すぎる話】栃木の小学校 ママ友2人がLINEいじめで連続自殺の壮絶の、コメントの2番目にあるような解釈です。でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相(福田ますみ著、新潮社)にある、ほかの児童への暴力を説諭されてもなおやめないという、最近では岩手中2自殺事件でいじめ加害者がしていたとされる姿勢の子が、家庭訪問を受けた後に「教師によるいじめ」にあっていると訴えだし、一部マスコミが学校たたきにつなげた事件が、歯が折れる、キリスト教批判、自殺強要、「いじめ」によるPTSD発症など、異様な主張はことごとく裁判で否定されて終わり、一部認められた体罰までも、実際は虚言だったという事件も、近いかもしれません。

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