生駒 忍

記事一覧

いじわるする子の親の心理と強い自己顕示欲

きょう、ママスタセレクトに、どうして意地悪しちゃうの?幼稚園で子どもが意地悪する心理という記事が出ました。

「自分の子どもが意地悪をされた場合、とても胸が痛むと思います。ただ逆に「意地悪をしてしまった子」の親も同時に悩みを抱えてしまうのです。」、どちらもつらいことですが、人間として、そうあるべきだと思います。前者は当然ですし、後者の場合、当然の罪悪感だけでなく、「少年A」この子を生んで…… 父と母悔恨の手記(「少年A」の父母著、文藝春秋)の母のほうのように、問題行動のたびになぜかが理解できないことの困惑もあるでしょうし、あるいはその後の、被害者の親との関係が不安になることもあるでしょう。女の子どうしって、ややこしい!(R. シモンズ著、草思社)に、「ときどき、いじめの関係が、当事者の母親のあいだにも生じ、間接的な攻撃と怒りがいっそう激しくなることがある。」とあることにも近いと思います。なお、ここに佐野の連続自殺事件を連想した人もいると思いますが、週刊女性プライムに3週間前に出た記事、栃木・LINEママ友いじめ、母親連続自殺の現場で真相を追うに画像つきであるように、「大がかりな監視員」、町会長などの名義で取材非協力をうながす文書など、地域の力がよくうごいているようです。

「意地悪をしてしまう子どもは「自分を認めて欲しい」「知ってほしい」という自己顕示欲が強いのです。周りが子どもの気持ちを認めてあげる事や受け入れる事が重要になってきます。」とあります。ここ数十年での自己顕示欲の増大については、自撮りをきらう女性の記事で取りあげましたが、こちらは子どもの個人差のことになります。心理学的には、いじわる行動が出ることに、「認めてあげる事や受け入れる事」で反応すると、かえって強化してしまう危険もあります。一方で、愛着の考え方からは、意味のあることにも思えます。思春期の親子関係を取り戻す(G. ニューフェルド・G. マテ著、福村出版)に、「自分では気づいていないが、いじめっ子は大人との愛着の喪失と仲間との貧弱な愛着のために、欲求不満に満ちている。」「いじめっ子は満たされないつながりの渇望を認めることができず、ほとんどの場合、それを意識することもできない。」「いじめっ子を元に戻す唯一の方法は、最初にいじめっ子を作ったダイナミクスを逆転させることで、子どもを適切な愛着の階層に再統合し、それから子どもの防衛を和らげ、愛着の飢餓を満たすことだ。」とあることともつながります。

「誰も自分の子どもを意地悪に育てたいとは思いません。」、そのとおりです。だからこそ、先ほどの「少年A」この子を生んで…… 父と母悔恨の手記の、あまりに正直な母の困惑のようにもなるのです。