きょう、しらべぇに、【自分アピール】40代女性の7割が「自撮りウザい!」 30代男性の2倍を超える謎という記事が出ました。
「SNS、中でもとくにFacebookには、写真つきの投稿が多い。」「美味しそうな料理の写真、ペットの犬や猫、子供の写真や風景など」と書き出されます。orangestarの雑記にきょう出た記事、はてな村奇譚76が表現した、「ただ生きる」がしあわせな世界です。
ですが、ここでの話題は「自撮り写真」、「リア充アピールの場」のほうです。調査結果は、「全体で見ると、6割近くが自撮りに「自己顕示欲」と「嫌悪感」」、「女性は全般的に自撮り嫌いが多かったが、40代がもっとも顕著で7割超え。」というものでした。その理由の考察は、妥当なところだと思います。あえて、補助的な要因を足すと、プリクラの影響もあるでしょう。登場からそろそろ20年になりますが、たのしく自分を撮っては見せて見られての日々で育った世代の女性と、世間でブームのころにはもう、はずかしくて使えない年齢になっていた世代とで、落差は小さくないはずと思います。
「30年の月日とソーシャルメディアが、人間の自己顕示欲を肥大させたのかもしれない。」と締めます。ネット、特にSNSの影響はもちろんですが、音楽の世界の「見下し現象」の記事で取りあげた石田衣良の指摘、文学を読むことの意味の記事で取りあげたp_shirokumaの指摘などのような、80年代に起きた文化的な転回にも、起源をたどることができそうです。
それ以前には、写真に限らず、「自分アピール」がこんなに好まれることはありませんでした。「男は黙ってサッポロビール」、70年代の有名なコピーです。「ゆとり世代」が職場に来たら読む本(柘植智幸著、日経BP社)にある、「ゆとり世代の若者は大学でプレゼンテーションを学んでいますから、一方的に語ることは得意です。」「教育・研修の場で様々な彼らの意見、特に新入社員の言葉を聞いていると「いったい何様なの?」と思うことがよくあります。」、そんな今とは、まるで正反対だったのです。WirelessWire Newsに3か月前に出た記事、AO入試偏重は技術立国の自殺であり階層を固定するには、「日本が戦争の焼け跡から立ち直ろうと頑張っていた時代に、日本を技術立国として引っ張って来たのは、ご立派な非営利活動や海外留学をひけらかし、しゃべりとプレゼンはうまい若者ではありませんでした。家は貧乏だが、勉強が好きで、せっせと真面目に働く地味な青年達でありました。」とあります。文藝春秋 2015年2月号(文藝春秋)に楠本利夫という人が書いた、家がまずしい成績優秀な同級生はめっき工になって、という回想、こういう人が高度経済成長をささえたという指摘とも重なります。