生駒 忍

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「女子」とは異なるはたらき方と車のメリット

きょう、マイナビウーマンに、【スターバックスで働くステキ先輩】「がむしゃらだった20代に後悔はない」という記事が出ました。

「コーヒーチェーンのスターバックスで商品開発に取り組んでいる東由紀さん。」の紹介です。一般的な知名度から考えて、単にスターバックスとだけ書いてもよさそうなところですが、どうでしょうか。もう、鳥取にもできました。

「20代の東さんは、まさに“男勝り”だったそう」、「普通の女子が自宅にいたり、遊んでいるような時間も働いて」、性別にかかわる表現をしなくてもよさそうなところですが、どうでしょうか。後者は、Amazon.co.jpでとても評価の高い、「人を動かす人」になれ!(永盛重信著、三笠書房)のような世界との比較はしないという意味かもしれません。

2度目の転職でスタバを選んだのは、「まず、私自身がスターバックスを好きだったこと。」からだそうです。一周回ってということかどうかはわかりませんが、アラサーちゃん 無修正3(峰なゆか作、扶桑社)の「今日からキミもコーヒー通」のような人よりは、正直な印象が出ます。

「以前は仕事をするために休みがあった感じ。でも、プライベートを充実させるために、いい仕事をすべきなのだと30歳を機に考えを改めました」、レデスマの記事でもそうでしたし、このくらいの年齢が、変わるタイミングになりやすいのかもしれません。また、J-CASTにきょう出た記事、会社選びは「休日重視派」増加中 今どき若手社員の目のつけどころから考えると、感性としてはむしろ、若返ったようにも見えます。

「お客様のちょっとた癒しや、うるおいになっていることがうれしい。」、幸せそうで何よりです。小さなことでも、プラスであればよいことです。

それで思い出したのが、マイナビウーマンにきのう出た記事、79.7%の女性が思う、マイカーを持っていない男性と付き合えない理由です。「「マイカー持ちの男性」派の意見」に、「なくても困らないけど、あると便利なので」とあります。なお、「ドライブデートが好きな人は、好きな男性と合う前に、車の有無と、運転が好きか、変なこだわりは無さそうか、ちょっとチェックした方がいいかもしれませんね。」とあり、男好きでも条件面でアウトな人と意気投合しないようにとのメッセージかと思いましたが、そうではなく、「合う」とは書かずに「会う」としたほうが合うところかもしれません。

ドアのノック回数で採否が決まることの実証

きょう、東洋経済ONLINEに、20代社員が生き残るために必要な2つのことという記事が出ました。

「あと、これも日本のビジネスならではの風物詩だと思うのですが、就職活動する時って、どうして皆、同じ格好なのでしょうか。」、定番の話題です。最近ではたとえば、教員養成セミナー 2015年6月号(時事通信社)で川村二郎が、面接をする側のことも想像するよううったえる中で取りあげました。

「一部のネットメディアでも話題になったのですが、たとえば面接室に入る前に、就活生がドアをノックするじゃないですか。その回数は3回だと合格、2回だと落ちるなんてことが、まるで都市伝説のように言われていましたよね。」、この手を信じられると、手におえないことがあります。会社のお金を40年以上もふり込みつづける相手を選ぶ真剣勝負で、自分が採用する側ならこんな基準で決めるか、想像しないのでしょうか。あるいは、就活のバカヤロー(石渡嶺司・大沢仁著、光文社)がさんざんに指弾したように、就職活動に不合理はつきものですが、そういうレベルにさえも達しない、誰の頭でも不合理と思えるものを開陳して、不合理に苦しむ学生の代弁者や、事情通を気どりたい人に好まれる素材なのでしょうか。数社でかまわないので、そうしている実例を出して実証してほしいとも思いますが、誰かから聞いたというソースよりもたどる気は、この手ではなさそうです。Togetterまとめにおととい出た記事、「鳥獣戯画」を使用した商品は不正利用になるのか?の騒動を思い出しました。あの「日本の伝統文様を継承し活用する会」は、疑問続出の「キャラクター登録」の説明はしないままですし、おもいやリスの記事で触れたコミケスタッフのように貝になるならまだしも、その後にも一説によると北斎はサバン症候群的な極めて特殊な目(脳)を持っていると言われている。というツイートまで打っています。それでも、「商品の6割以上が不正使用らしい」「痛い目にあいますから」などと書いた2本目のツイートは消したことだけでも、評価するべきでしょうか。はてな匿名ダイアリーにきょう出た記事、大手飲食チェーンのクレカ導入に絡んだ事ある者だけどの、「昔iPhoneが世に出た時に「こんなものは普及しない」「iPhoneが普及しない~つの理由」とかいう記事を書いてたブロガーたくさんいましたよね。」「でもブロガーってそんな時でも何事も無かったように次のブログ記事を書き出しますよね。」の世界です。私もよくはずしますし、「仮に予測が当たらなくても、その過程で得られたものが所属する企業や社会に還元されてる。」と言いきれるほど高度な話題はあまりありませんが、「企業の意思決定に関わる人」ではないのであれば、「いいポジションっすなあ。」でよいとは思います。それでも、連呼してあおったことや、すぐに疑問の声が集まったことには、フォローを出すのが、世の中のためになりますが、相当にむずかしいことなのかもしれません。Togetterまとめの記事、福島県で3年後に出た真実。もっと拡散運動。が、とにかく痛烈です。

「この10年間では最高の就職環境」ともされる中で、「僕のイメージは、10年前には0.5%程度だったイノベーターが、今は1.5%くらいになってきたというもの。だから、そこだけ見ていると、イノベーターが3倍にも増えたということになりますが、一方で超保守的な人たちも、10年前は6割程度だったのが、今は8割程度まで増えています。」と、二極化が指摘されます。趣味へのお金のかけ方の記事で取りあげた、「動く人」と「動かない人」との分離の問題とも対応します。日本は悪くなるという信念から悪くなる方向へ誘導する「動かない人」のマイナスを、イノベーターの3倍増は、おぎなってあまりあるでしょうか。

六角精児とマイナスの気持ちを乗りこえる表現

きょう、恋愛jpに、軽蔑されたかも!? 好きな人の前でミスして凹んだ時の考え方という記事が出ました。

この春の異動で、「そこでずっと密かに憧れていた男性と一緒になったのですが、初日に朝からありえないミスをしてしまい、きっとその男性にも軽蔑されています。もう彼のことは諦めた方がいいでしょうか?」という相談です。しごとに雑念を持ちこむなと一喝する人もいると思いますが、それとは無関係に、一般論としては、他人は自分が思うほど、自分のことを見てはいないものです。PHP 2015年5月号(PHP研究所)で六角精児は、「人はそれほど見ていない」とします。あれほど見られるしごとで、こうなのです。六角はまた、「失敗は次に活かせばいい」とも言います。沖縄県産業振興公社のウェブサイトにきょう出た記事、【7月2日開催】 〜適切な対応ができれば顧客満足アップに繋がる!〜 クレーム対応スキルアップセミナーにも、「「ないに越したことはない」クレームですが、万一クレームが発生しても、対応を適切に行えば顧客満足度アップに繋がる上、サービスや商品をよりよくする最大のヒントが見つかることも...」とあります。あるいは、さらに表現へとつなげてみましょう。月刊EXILE 2015年6月号(LDH)でNE-YOは、「失敗から学んだことなど、リアルを曲にするとマイナスな気持ちを乗り越えられるんだ。」と明かしています。

若者の安定志向のデータと多重役割の拡張仮説

きょう、ハナクロに、安定したいなら「大企業への就職」ではなく「多職」を目指そう!という記事が出ました。

「仕事にやりがいを求める一方で、正社員になれないリスクに怯え、「安定したい」という願望を強く持つ若者が増えています。」と書き出されます。若者は本当にお金がないのか? 統計データが語る意外な真実(久我尚子著、光文社)を見ると、図表110ははっきりと、会社の選択基準における「一流会社だから」「会社の将来性を考えて」の低下を示していて、矛盾して見えます。ですが、新入社員を対象としたデータですので、理想の一流、安定にまでは手がとどかなかった新人たちを相当に含むでしょう。つまり、自己知覚理論や認知的不協和理論の出番です。先ほどの若者は本当にお金がないのか?は、「就職人気企業ランキング」も紹介していて、こちらはみごとなほどに「国内志向や安定志向」ですし、入社後に「入社した会社に固執する傾向が強まっている」ことも示されています。

「なぜ、多職が安定につながる理由として、岡田氏は次のように説明しています。」として展開される、「仕事の量も、収入も、評価も、動的安定を目指す」やり方は、つまりはリスク分散、分散投資ともいえます。「愛人リスト」もその延長線上の発想かどうかはともかくとしても、「長い間同じ環境で、決まり切った仕事をしていると、「自分にはこの道しか生き延びる術がない」と思ってしまいがち。」、こうなるリスクをさける点では、マーケット感覚を身につけよう(ちきりん著、ダイヤモンド社)の図表34の議論にも近いかもしれません。

「自分の得意分野や適正を発見できたり、キャリアップの機会にも恵まれそう」、「とはいえ、何十種類も仕事を掛け持ちするとは、かなりストレスフルな生活になりそうな印象があります。」、そうだと思います。あちこちから仕事をいただいている私には、少なくとも後半は、とてもうなずけるところです。一方で、心理学的には、あれこれをかかえることによるよい影響も、広く認められています。多重役割の研究は、不足仮説よりも、拡張仮説を支持しているのです。

「この働き方がゆとり世代に定着するようになるには、少し時間がかかりそうです。」とあります。若者は遅れている、ですがいずれは定着するとみているようです。仕事の数をどういう単位で数えるかにもよりますが、「多職」はむしろ、昔ながらのはたらき方のようにも思います。あるいは、くらし方と表現したほうがよいかもしれません。かつての農家では、農業とひとくくりにされる中にも、水路の保守も家畜の管理も山の手いれもと、さまざまな作業があり、雨の日、日没後、農閑期にはまた別のことをしますし、村の自治や普請もと、くらし全体が「多職」でした。商店や職人仕事などの自営業も、近いところがあるでしょう。生活時間の中で、ぴったりお金と対応する時間としての仕事が区別されたくらしのほうが、後から現れたのです。そういえば、いつでも、逆に考えるとうまくいく。もっと元気が出る71のヒント(川北義則著、PHP研究所)の、「古いものでも「新しい商品」になりうる」という節には、「最近東京で人気の食べ物の一つにさぬきうどんがある。若い連中がうどんに夢中になるなど、ちょっと考えられない現象だが、マスコミがはやした効果もあって「新しい外食メニュー」として定着してきた。」とあります。

子どもあつかいの効果とシャインの生存不安

きょう、マイナビウーマンに、モチベーションが低い、非協力的な人へ仕事を任せるときの心がまえという記事が出ました。

「仕事に対してやる気がなくて、モチベーションが低くて、仕事をお願いしてもいろいろ言い訳を付けてやってくれない同僚や後輩、身近に一人はいるでしょう。」と書き出されます。先輩がないのは、お願いする頻度が多くないこと以上に、後で提案されるやり方になじみにくいためでしょうか。

「積極的に話しかけるようにしましょう。」「難易度は低くていいので達成感を感じる仕事を、できれば毎日与えるようにしましょう。」「もちろん、一人で出来たら褒めてあげましょう。」、これではもう、子どもあつかいです。むしろ、こんなあつかいから抜けたいといやがられてしまいそうですが、それで自分からどんどん仕事をするようになっても、結果的に問題解決になるという、治療的二重拘束のような攻め方です。

「でも、そういう火ともあるとき変わることがあるのです。そのきっかけを作るのは、あなたかもしれません。」、そうかもしれません。がんばって、火をつけてあげてください。

それにしても、そこまでしないと仕事をしないとなると、さすがに心配になってしまいます。松村淳平ブログの記事、会社は学校じゃねぇんだよの論点にもとどかない、挑戦して学ぶ経験やチャンスをもらっていく意欲もうすいはたらき方で、本人はそれでよいと思っているのでしょうか。それとも、学ぶ気はあっても、失敗するものは謝絶、成功だけをもらって学びたい、きれいなキャリアにしたいという考えなのでしょうか。認知症患者を含む高齢者支援の世界では、誤りなし学習を求める視点がありますが、それとはさすがに異なるでしょう。たいせつな言葉(角川春樹事務所)の80番目を持ってきたりすると、とたんにお説教くさくなってしまうところですが、うまくいかない間に別の道がひらけることも、世の中にはめずらしくありません。おもしろい会議の記事で取りあげたような、はずし続けると正しいものが出てくるという現象もそうでしょうし、あえてキャリア研究者を持ってくると、キャリアアンカー理論で知られるシャインは、教化研究の成果が出ずにつまずいていた中で、対極ともいえるアンカーの理論をひらめきました。そのシャインのいう第二の不安、生存不安の視点から考えると、学ばずにいることもまた、苦しみにつながるはずなのですが、どうでしょうか。