生駒 忍

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子どもあつかいの効果とシャインの生存不安

きょう、マイナビウーマンに、モチベーションが低い、非協力的な人へ仕事を任せるときの心がまえという記事が出ました。

「仕事に対してやる気がなくて、モチベーションが低くて、仕事をお願いしてもいろいろ言い訳を付けてやってくれない同僚や後輩、身近に一人はいるでしょう。」と書き出されます。先輩がないのは、お願いする頻度が多くないこと以上に、後で提案されるやり方になじみにくいためでしょうか。

「積極的に話しかけるようにしましょう。」「難易度は低くていいので達成感を感じる仕事を、できれば毎日与えるようにしましょう。」「もちろん、一人で出来たら褒めてあげましょう。」、これではもう、子どもあつかいです。むしろ、こんなあつかいから抜けたいといやがられてしまいそうですが、それで自分からどんどん仕事をするようになっても、結果的に問題解決になるという、治療的二重拘束のような攻め方です。

「でも、そういう火ともあるとき変わることがあるのです。そのきっかけを作るのは、あなたかもしれません。」、そうかもしれません。がんばって、火をつけてあげてください。

それにしても、そこまでしないと仕事をしないとなると、さすがに心配になってしまいます。松村淳平ブログの記事、会社は学校じゃねぇんだよの論点にもとどかない、挑戦して学ぶ経験やチャンスをもらっていく意欲もうすいはたらき方で、本人はそれでよいと思っているのでしょうか。それとも、学ぶ気はあっても、失敗するものは謝絶、成功だけをもらって学びたい、きれいなキャリアにしたいという考えなのでしょうか。認知症患者を含む高齢者支援の世界では、誤りなし学習を求める視点がありますが、それとはさすがに異なるでしょう。たいせつな言葉(角川春樹事務所)の80番目を持ってきたりすると、とたんにお説教くさくなってしまうところですが、うまくいかない間に別の道がひらけることも、世の中にはめずらしくありません。おもしろい会議の記事で取りあげたような、はずし続けると正しいものが出てくるという現象もそうでしょうし、あえてキャリア研究者を持ってくると、キャリアアンカー理論で知られるシャインは、教化研究の成果が出ずにつまずいていた中で、対極ともいえるアンカーの理論をひらめきました。そのシャインのいう第二の不安、生存不安の視点から考えると、学ばずにいることもまた、苦しみにつながるはずなのですが、どうでしょうか。